夢の仕事

かつて。映画監督を夢見た田舎者にとって、撮影現場は憧れだった。

お金なんかもらえなくたっていい!ボクを現場に連れて行って下さい!

やがて、現場に行けば、弁当だけはもらえるようになり、いつしか日当までもらえるようになり、、、

映像業界に従事して約20数年になるが、アタマの片隅には常に

「こんなことでお金がもらえるなんて申し訳ないなぁ」

という思いがあった。その罪悪感のせいなのか、かつていた先輩助監督たちは、のむ、うつ、かう、で宵越しの銭はもたねえぜ、が多かった気がします。

時は流れ。撮影現場は今の若者にとってかつてのような憧れた場所では

どうやら無いらしい。

昨今の過労死問題や働き方改革により、撮影業界のブラックさもずいぶん薄くなった気がします。

休みも残業代もキチンと出て。かつてのような口より先に手が出るおっかないオッチャンたちもいない。

結果。

普通の仕事になっちゃった。

大卒の新卒のコが、給料やお休みの規定を確認して入社して。

普通の会社になっちゃった。

この感じにどうも馴染めない。そう、まごう事なき

「老害」

と私は化したらしい。

労働環境が良くなるのはもちろん良いこと。それが改善されずに若手が入ってこなければ、業界は衰退して行ってしまう。

けれども。

普通のシューカツをして普通に入る業界にもの凄い違和感を感じてしまう。

新人の話で先ず最初に出てくるのは、お金と休日の話。

いやいや、もっとこうさ、なんかあるじゃん?こんな映画が好き!とかこの作品のあのセットがサイコーなんすよねえ、とか。

なんか。

そう、そんな若手に物足りなさを感じてしまうワシはれっきとした老害なのです、、、


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