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動画編集、ソレ儲かるの?

動画編集者は儲かってるか?

動画編集者が足りないのだそうだ。

動画編集って、触ったことのない人にはやたら高度なテクニックのように思われているフシがある。

Facebookなどには3カ月で動画編集者になれる、みたいなスクールの広告がよく表示される。
たった3カ月でそんな高度なテクニックが身につくんだったら、ということで申し込み者が殺到する訳だろう。

動画編集者の世界を隅から隅まで知っているわけでもないのに、ごめんなさいよ。
とりあえずPCを使った動画編集は27年以上やってるんで、それに免じて聞いてください。
(私の動画編集歴については「動画編集個人史」というマガジンに書いておいたので、興味があったら読んでほしい)

本気でやれば、世間で言われている受注動画編集者になるのは、3カ月あれば可能だろうと思う。

だが、それをやったところで儲かるんだろうか?
と私などは思ってしまうのだ。

ワープロオペレーターの末路

ワープロ専用機が出始めた頃の話だ。
若い人はおろか、中年でも知らないかもしれない。

ワープロオペレーターという職種があった。
ご存知だろうか?

ただワープロが使えるだけという人だ。
で、仕事の内容はというと、手書きの書類を預かって、それをワープロで清書するだけのこと。
清書屋さんだ。

当時は、まだIT化前のことで、ワープロが使える人が少なかった。
中高年のサラリーマンでワープロが打てる人は皆無だった。

だからワープロオペレーターという職種が存在したのだ。

さて、その時代から数十年を経て、令和の今。
日本中で何人のワープロオペレーターが現存するだろうか?

動画編集は映像のワープロだ

動画編集は、言ってみれば映像を切ったり貼ったりするだけのこと。
映像のワープロみたいなものだ。

しかも、ワープロなら文字だから、それだけを使ってクリエイティブな仕事をすることはできる。

動画編集は、そもそも動画素材が存在することを前提としている。
編集だけで生み出せる動画は、あってもごくごく少ない。

動画制作を工場にたとえてみよう。

設計が企画やシナリオ作成にあたる。

パーツ作りが、撮影やCG制作だな。

そうしてパーツを組み立てて製品を作る、アッセンブリーと呼ばれる工程が動画編集だ。

そう朝ドラの「ひよっこ」で主人公のみね子が最初に就職したラジオ工場でトランジスタラジオを組み立てていたようなことだ。

動画編集者は、設計にもパーツ作りにもかかわることが出来ない、黙々と製品を組み立てている労働者みたいなものだ。

企業YouTubeって成功しているのか?

もうひとつの側面から見てみよう。

動画編集の技術を身につけたばかりの、ひよっこ動画編集者は、ランサーズやクラウドワークスなどのサイトに登録して発注者を探すんだそうだ。

そうすると、企業などからの発注をゲットできる。(運が良ければ)そして、編集の腕を見せればリピート受注がもらえるんだと聞く。(運が良ければ)

その企業は、動画編集をさせて何をしているんだろう?
多くは企業YouTubeチャンネルを運営しているんじゃないかと思う。

じゃあその発注者たる企業はYouTubeをやって成功しているのか?

日本の企業YouTubeチャンネルの大半は成功とはいえない、と聞いたことがある。
YouTubeをやったことで売上を伸ばしたり、顧客を増やしている企業はごく少ないと。

なら、なぜ企業はYouTubeをやり続けているのか?
ごく近くの人たちから「YouTube見てますよ」と言われるから、ではないだろうか?

いや、そんな人たちに見てもらっても売上が増えたりはしないんだけどね。

YouTubeをやってる中小企業の多くは効果測定ができていない。
近しい人からそう言われると辞めるにやめられない。
それに、辞めたら悪い影響が出るのが怖い。

こういう企業はYouTubeにかける予算を増やせない。
むしろ削りたがる。

こんな企業から動画編集の発注を貰っていても、編集費が増額されることは、まずない。
もっと安い編集者にとって代わられることはありうる。

動画編集はクリエイティブじゃない

動画編集だけを請け負っていたとしても、クリエイティブな工夫ができる範囲はごく狭い。

動画撮影はクリエイティブに直結する可能性が高い。
しかし動画編集は、回ってきた素材を形にするだけの作業なので、そんなに変わり映えがしない。

よっぽど発注企業とフランクに話ができる間柄であれば、企画提案をすることもできなくはないだろう。
しかしクラウドソーシングサイトを間に挟んだような関係じゃそれも望みが薄い。

いい企画を思いついたとしても、撮影や演出の腕がなければそれを実現できない。

だんだん動画編集の腕を上げてステップアップしていくにしても、単純作業の繰り返しだと難しい。

儲かると稼ぐの違い

タイトルに動画編集は儲かるのか? と書いた。
結論からいうと儲かることはない。

動画編集で稼ぐことはできるだろう。
稼ぐというのは作業に当てた時間をお金に替えてもらうことだ。
これはかけた時間分しかお金にならない。

動画編集の請け負いは、どう時間を使うかは自由だ。
作業スピードを上げていけば稼ぐ効率は上がるだろう。
しかし、どこまでも自分が動かないと金は入って来ない。
儲かるという状態には程遠い。

儲かるためには、商品を作ることだ。
商品が売れれば儲かる。

動画編集者には商品がない。
だから、儲かることはない。

動画教材という世界

別に動画編集者をディスるために本稿を書いているのではない。
動画教材の世界を紹介するための枕に使わせてもらっただけだ。

動画教材も、動画編集の腕があれば出来る。
しかも、儲かる可能性がある。
動画教材というのは、商品だからだ。

今後、不定期にはなるが、動画教材について書いていく。
ご期待ください、とは書かないが、よかったら読んでほしい。

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