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【刺す言葉】 14万ふぁぼを誇る「ほんとにお前可愛いな」を倒せる言葉とは?


男性に告ぐ、「ほんとにお前可愛いな」の破壊力は異常です。男性が想像する以上に女性は可愛いって思われたいって思ってるし、その一言で苦労や悩みが紛れるし、単純に幸せになります。大事だと思ってる人には可愛いって伝えてあげてください… 

(twitter 投稿より抜粋)

このツイート見た瞬間私は思った。

「なぜ、このツイートは14万ものふぁぼを獲得できたのか?」

「本当にそうなのか?」

「この言葉の上位互換が存在し得るのではないだろうか?」

と。これらの疑問を解消すべく、バズの理由や言葉のイメージ調査と共に、この言葉よりも人の心を掴むであろう言葉を探す挑戦を始めてみた。


■ 要素を抽出し、新たな言葉を作る

なぜ、「ほんとにお前可愛いな」という一言がこんなにも人々の心を掴んだのか?「ほんとにお前可愛いな」という一言のどこに「女性をドキッとさせるポイント」があったのだろうか?

ドキッとさせるポイントさえわかれば、そのポイントを的確につく言葉を作成しバズを生み出すことができるのではないだろうか?

女性のインサイトを考えた結果、2つの仮説が浮かび上がった。

■ 仮説①

「ほんとにお前可愛いな」の「お前」という言葉に反応している説


「S彼氏にきゅんとくる♡」「俺様彼氏最高♡」このような考え方をもつ女性たちの「共感票」が、あのツイートに集まった可能性を指摘したい。

「花より男子(だんご)」という漫画やドラマをご存知だろうか?

「エリート学校に入るものの浮いてしまった、可愛い努力家庶民女子高生」が、紆余曲折を経た上で、「同学校の俺様系大富豪かつイケメン設定男子高生」に寵愛されるというストーリーだ。

この「花より男子」、知らない人はいないのではないか?という程爆発的にヒットした。ドラマの放送は、2005年、今から13年程前の話だ。海外でもリメイクされている程の人気ぶり。

この時代に学生生活を送っていた女性は、少なからず「上から目線で褒めてくる俺様系男性」に憧れを抱いているのではないだろうか?

そこで、こんな言葉を考えてみた。

エントリーno,1   「お前、ほんとにいい彼女だな」


「お前」という「上から目線俺様要素」を残しつつ、「可愛い」という褒め言葉を排除。

また、「可愛い」という、どの立場からも言える言葉ではなく、「いい彼女」という付き合った当人のみが言える言葉を明記し「所有感」を醸し出すことで、俺様を際立たせる作戦に出た。


■ 仮説②

「ほんとにお前可愛いな」の「ほんとに…だな」という「溢れ出てしまった感」にくすぐられている説


いつも「可愛い」と言っている。でも今日は、ただ「可愛い」だけでは表現しきれない。「可愛い」を最大限に伝えたい…。 そんな折に出てしまった、「ほんとにお前可愛いな」

つまり、ここでのテンションは「ほんとにお前可愛いな!!」ではない。思わず出てしまった、噛みしめるようなイメージだ。おそらく「あぁ…ほんとにお前可愛いな…」といった具合ではないだろうか?

そんな彼女に対する健気さと真剣さ、そして溢れ出てしまった想い。これを一言で伝えることがポイントなのかもしれない。


エントリーno,2 「なんでそんなに可愛いの?」


本音が溢れ落ちるだけでは飽き足らず、相手に思わず聞いてしまう。「あぁもう可愛すぎてどうすればいいのかわからない」感を演出した。

さらに、「なんでそんなに可愛いの?」と言う言葉には「他の人間の可愛さは、まぁ理解できるが、あなたの可愛さだけはもう理解の範疇を超えている!」といった、圧倒的真剣さも感じられる。


「②お前、ほんとにいい彼女だな」

「③なんでそんなに可愛いの?」

この2つの挑戦者ワードと、現王者「①ほんとにお前可愛いな」の3つのワードをアンケート形式で争わせ、どの言葉が「最も言われたい言葉」として選ばれるかを考察することにした。


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■ 好感度調査

まずはそれぞれの言葉の好感度から見ていこう。

「Q、今からあげる言葉を言われると胸キュンしますか?」(※好きな人、もしくはそれに準ずる人に言われると仮定する)


「① ほんとにお前可愛いな」

【結果:①】7割近くの人が「はい」と答えている。Twitterが証明した通り、比較的良い印象が抱かれていることがわかった。だが感想は辛口のものも多い。

【回答者の感想:①】
・偉そう
・嬉しい
・現実味がない
・ぽろっと出てしまった本音のように聞こえる。
・お前って言われたくない、上から目線でやだ
・嬉しいけど、言い慣れている感じも受ける。ちょっと軽い。
・ちょっと上から目線で言ってくるなぁ、悪くないけど


「② ほんとにお前いい彼女だな」

【結果:②】「いいえ」が75%を占めている。「俺様男性」は時代にそぐわないようだ。押し出そうとしていた所有感が裏目に出てしまった。

【回答者の感想:②】
・上から目線 
・何様って思う。
・嬉しい反面、文脈によってっては都合よく扱われてるかもと疑ってしまう
・利用されていると感じる。
・「彼女」という役割を期待されているようで、その期待されている行動が出来るなら誰でも良いという代替可能な印象を受ける。
・所有感があって苦手

「③ なんでそんなに可愛いの?」

【結果:③】こちらは、胸キュンするかしないか好みが別れる結果となった。シチュエーションを重視すると言う回答があったことが興味深い。感想からも「刺さる人にはドストライク」だとわかる。

【回答者の感想:③】
・大袈裟、冗談にも聞こえる
・戸惑う
・本当に思っとんか?
・たまりません
・かわいくてかわいくてしかたがないという印象。
・特別な感じがする
・耐えきれない
・会話が始まる感じ?


 女性が「最も言われたい!」と思った言葉は…


「ほんとにお前可愛いな」


ではなかった。

「なんでそんなに可愛いの?」

が1位を獲得したのである。(僅差ではあるが)


■ 「バズ」について考えてみる

「なんでそんなに可愛いの?」という言葉は非常に好き嫌いが別れたが「最も言われたい言葉」にランクインした。

一方、「おまえ本当に可愛いな」という言葉の好感度は一番高かったが、「最も言われたい言葉」には選ばれなかった

つまり、「なんでそんなに可愛いの?」と言う言葉に対して「胸キュンする」と答えた人が、「最も言われたい言葉」を聞かれた際に「該当なし」と答えたのだ。

「ほんとにお前可愛いな」は「嫌われない言葉」。多くの人に共感はされるが、ナンバーワンになれる確率は高くはない、いわば「無難な言葉」なのかもしれない。

では、なぜ多くのふぁぼを獲得できたのだろうか。

ツイッターのふぁぼは、どんな投稿に対してもつけることができる。そして、相対的判断でふぁぼをつける仕組みにはなっていない。

つまり、「この投稿が一番よかったから、これにふぁぼをつけよう!」という限定的な選択を行うのではなく、「あれもいいよね、これも好き」という自由な選択を行っている。

よって、「ふぁぼ」は「確実に選ばれるようにターゲットを絞って刺す」というより、「幅広い人に共感されるように放流させる」ことで成り立っていると思う。(※ この辺りは次のnoteにまとめたい)

「なんでそんなに可愛いの?」という「好き嫌いが別れたが、最も言われたいと思われた言葉」は、おそらく、ふぁぼを獲得できないだろう。なぜなら、「好きか嫌いか」別れる時点で「幅広い人に共感される」という条件を満たしていないから。


今回の検証を通して、広告に携わる人間として「ふぁぼをたくさん獲得しているツイート」=「人間の心に最も刺さっている」「必ず売れる、選ばれる」わけではないことを考えねばならないと気付かされた。


■  追記

①ツイートにリアクションしていた男女比は「男 54% 女 46% 」(検索ツール調べ)「そもそもふぁぼしてたのって男性だけじゃない?」という懸念は解消済み。

②サンプル数は女性50人。アンケート対象が、バリバリの体育会系や総合職バリキャリ女子(商社、コンサル、金融、メディア等)、留学で逞しく生き延びてきた系など、少々偏りがあったことは否めない。

年齢比は以下の図を参照してほしい。



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