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2015.6.10 「ひとまず、安心」

 母の負担を減らすためには、共に暮らす家族に、母に頼らず生活してもらわねばならない。父は糖尿病で、定期的な通院や毎食前のインシュリン投与を必要としていた。これらは全て母頼みだったため、低血糖で倒れるリスクが高まっていた。足が悪い父がひとりで通院すると、薬局に薬を取りに行けないことも問題だった。

 そこで、既に叔母がお世話になっているA医師に父の往診も依頼した。同時に、かかりつけ薬局を決め、薬や医療材料の管理を依頼した。

 初めは父が血糖値管理に関心を持つことから。その後、母の症状が進行し、父が自立を迫られると(もちろん介護サービスも導入しつつ)、その都度、より簡易で確実な血糖値管理の方法を探り、親身にアドバイスを下さることとなる。

 A医師にご挨拶を済ませた帰り道、私は実家の生活を維持するのに必要な手配を終えたことに満足し、「これでひとまず安心」とつぶやいた。そして、いくつかの新しい支えが母の回復に役立ちますようにと祈ったのだった。

(写真 新聞紙に包まれた赤紫のアジサイ)