2015.6.3「できます、できます」

  介護保険を利用するには、ケアマネジャーを決めるほか、「要介護度」を7つのレベルから認定してもらう必要がある。認定のための調査は、市町村から派遣された調査員が行う。

 母もその調査を受けた。手を挙げる・足踏みをするなどの基本動作や、排泄・入浴・食事などの生活動作、認知や記憶力について、実際に動いて見せたり、質問に答えたりして、ひとつひとつ確認していく。約30分の調査だった。

 毎日の生活が立ち行かなくなっているから調査を受けているのだが、母はどの質問にも「できます、できます。」と即答する。自分に助けなど必要ないとでも言うように。同席する私とケアマネジャーは、思わず苦笑いをした。

 この「問題はない」と自分に言い聞かせ、今を守ろうとする癖が、病気の発見を遅らせた原因のひとつだと思う。自分の弱さをひとに見せること、「助けが欲しい」と言えること。それは誰にでも備わっているわけではないけれど、一歩前に進むために欠かせない強さだと思う。