2015.7.30 「私、来ました。」

 自宅で過ごしはじめて5日間。短い間にも母の様子は少しずつ変化していた。まぶたがむくんで開けづらくなったこと。手のむくみで、薬をパッケージから取り出せなくなったこと。ベッドから食卓への歩行時に転倒したこと。じわじわと症状は進行していた。

 そんな生活を支える訪問介護はほぼ毎日毎食時にお願いしていた。週に19回のシフトを、3社・18名のヘルパーが支えてくれた。

 その中に、同居していた叔母が生活援助でお世話になっていたころから母と気の合う方がいた。初めての日、「A子さん、私、来ました。」と母に駆け寄った。母は「しばらくの間に、私、こんなになっちゃった。」と言った。

 お世話になっていると思うと、遠慮しないで、と言われても色々のことを我慢してしまうものだ。まして短い時間の交流は限られる。

入れ替わり訪れるヘルパーのなかに、して欲しいこと、して欲しくないこと、愚痴を素直に話せる相手がいたことは幸運だった。

その日まで、42日。