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キティちゃんのデザインの変遷について

日本の代表的キャラクター「ハローキティ」

私は幼い頃からキャラクターの中ではハローキティが好きで、つい先日、サンリオピューロランドを訪れた。ピューロランドは今や女子学生・OLに特に人気なテーマパークとなっており、特にハローキティは世界的にに人気なキャラクターである。

サンリオ公式のハローキティキャラクター画像
引用:https://www.sanrio.co.jp/

ちなみにハローキティは1974年に誕生し、そのデザイナーは、清水さん→米窪さん→山口さんと現在は3代目になる。

いちご新聞

今年はハローキティ誕生48年目だが、サンリオが1975年から刊行している「いちご新聞」という刊行冊子があり、2022年現在も毎月発行されている。
ハローキティ誕生40年目の際に、いちご新聞に見られるキティのデザインの変遷を分析したことがあり、これを機に改めてまとめてみようと思う。ちなみに分析した当時は、日本のすべての出版物が集まる国立国会図書館で約40年分のいちご新聞含む資料を閲覧した。。

いちご新聞 2022年6月号
引用:https://www.sanrio.co.jp/

1976年の変化~キティが立つ~

1974年に誕生したキティは座ったポーズのみであったが、この年にキティの立ち姿があらわれている。
キティが立った理由は、デザイナーが変わったことと、あくまでキティはネコが擬人化された女の子であるということを前提とすると、成長段階において二足歩行が可能になる年齢に達したこと、の2点が挙げられる。

引用:「いちご新聞」71号10項1978年2月15日

1979年~キティに動きが出る~

1976年に立ち姿が出たキティが、この年には飛んだり回ったりといった動きが現れた。
この理由について、いちご新聞100号には2つの説が示されている。1つ目は、“キティが成長したから”というもの。2つ目は、“いちごの王さま(つまりサンリオ社長)がアメリカを訪れた際、現地の子供たちにキティの説明をすると「アニメーションもあるんでしょう?」と言われたから”というものである。

引用:「いちご新聞」100号228項 1979年5月15日

ちなみに、社会的背景として、1979年という年は、日本ではアニメ「ドラえもん」が始まった年であり、また日本のアニメ「宇宙戦艦ヤマト」がアメリカで放送された年である。アメリカの子供たちにとってアニメのキャラクターは非常に人気であった。
アメリカで人気を得るためには、キティのような「日本の子供たちに人気なキャラクター」は、アニメのキャラクターである必要があったのだろう。そのため日本でも、アニメに登場するような動きをするキティが誕生したのだろう。

1980年~ボーイフレンド登場~

この年は、キティのボーイフレンドが現れた年である。
なぜ突然現れたのか。それは、1980年代という新たな時代の幕開けとなる新年の号で、当時あまり人気が高くなかったキティのイメージに変化を持たせ、人気上昇を狙うという目的があったのではないかと考える。
また、1979年にサンリオを退社した米窪さんに代わってデザイナーに就任した山口さん自身はキティを人間と同じ目線・立場で考えており、またデザイナー交代に当たり、「これまでとは違うキティを書く」という課題が出されたことが、ボーイフレンド誕生の理由であると言えよう。

引用:「いちご新聞」115号20項 1980年1月1日

1983年~輪郭がなくなる~

この年はキティの輪郭がなくなるという画期的な変化が起こった年である。
これは3代目デザイナー山口さんによると、「子供たちから、『キティちゃんはなんか冷たい感じがするからあんまり好きじゃない』という言葉を聞き、ぬいぐるみには輪郭はないことに気が付いた。」とそのきっかけを挙げている。初代デザイナーの清水さんに、キティの顔は変えてはいけないと言われていたが、子供たちに受け入れてもらうために、輪郭を取り払い顔を変える決断をしたという。
これによってぬいぐるみのような、かわいらしくやわらかい雰囲気が出るようになった。

1980年代のキティちゃんデザイン

1999年~ボーイフレンドと再会~

この年はボーイフレンドのダニエルとキティが再会した年である。
ダニエルは1993年にベビーシリーズで一度登場しており、また1996年に、キティの誕生日に手紙を書く・キティの夢に出てくるという形で登場しているが、キティ生誕25周年という節目の1999年に再会という形で登場した。
キティの人気を保ち・高めるために、定期的なイメージの変化が必要だったのだろう。

また、3代目デザイナーの山口さんは、当時キティを芸能人のように扱っていた。そのため「芸能人に彼氏はいません」というスタンスでいたというが、「キティに彼氏はいないのか」という質問が多く寄せられるようになったうえ、芸能人も次第に恋人の存在を明かすようになってきたこともあり、ダニエルを登場させたようである。
つまり、当時の社会現象の影響も受けているようだ。

引用:https://www.sanrio.co.jp/

2004年~ペット登場~

これはチャーミーキティというペットのネコが登場した年である。
「ネコであるキティがネコを飼ってるなんて共食いならぬ共飼いじゃないか!」と当時の私は思ったのだが、やはり当時ももうキティは動物のネコではなく普通の女の子であるというイメージが浸透していたため、ペットの登場も物議を醸すことなく受け入れられたのだろう。

引用:https://www.sanrio.co.jp/

チャーミーキティが登場した理由として、ダニエルの時と同様、30周年という節目であるということが1つあろう。また、ファンからの「ペットは飼っていないのか」という質問が寄せられたことに加え、キティは芸能人と同様だという前提があったことを考えると、キティもペットがいてもおかしくはないだろうという認識があったものだと言えよう。

結論

以上、「いちご新聞」を基にハローキティのデザインの変化の背景を分析してみたが、すべての変化は、デザイナーの交代や社会的・文化的背景が影響しているようだ。また、前提としてキティちゃんはあくまでも人間の女の子・芸能人と同じような位置づけとされているようだ。
昔から変わらぬ人気を誇るハローキティだが、約50年の間に様々な影響を受け変化してきたと思うと、常にかわいらしいキティちゃんも社会の荒波を耐えてきたのだなと感じる。
2年後には50周年になるので、また改めていちご新聞を分析してみようかと思う。



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