筝曲 夏の湖(サクト)

イランカラプテ(アイヌ語でこんにちは)。

夏の湖をイメージした筝の独奏曲です。
静かで落ち着いた雰囲気の曲になりました。

静止画は日本一の透明度を誇る摩周湖の風景です。北海道東部の弟子屈町(てしかがちょう)に在り、注ぎ込む川も流れ出る川もなく完全に孤立している珍しい湖です。このため水源は外輪山に降る雨水だと言われていますが、確かなことは分かっていません。

摩周湖は日本最大の屈斜路カルデラの内側にあり、さらにその屈斜路カルデラの中で約7千年前に噴火が起こって誕生したカルデラに水が溜まって出来た湖です。

摩周湖の周囲は約20キロメートルに及び、最深部は約200メートルで、日本国内では20番目に大きな湖になります。

摩周湖は湖に流れ込む河川がないために外部からの土砂流入等がなく、さらに北海道という寒い地域にあるため水温が低く、微生物などが繁殖しない環境にあり、湖水の透明度が保たれています。

1931年に透明度41.6メートルを記録し、かつては世界一だった摩周湖ですが、ロシアにあるバイカル湖に抜かれ、現在は透明度世界第二位となっています。

なお、摩周湖の現在の透明度はプランクトンの増加等が原因で21メートル迄低下しており、バイカル湖でも上流にある製紙工場の排水等での水質汚染による透明度低下が心配されています。

アイヌの人々は摩周湖を「カムイト」すなわち「神の湖」と呼んでいたそうで、その神秘的な青色は「摩周ブルー」と呼ばれているほど有名です。

しかしながら、摩周という名前の由来は諸説あるものの定かではないそうです。「神の湖」なら順当に「カムイ湖」になった筈なのですが、何故そうならず摩周湖と名付けられたのか不思議です。ウカンパ(アイヌ語で難しい)。

アイヌ語で近い言葉を調べてみると、古いアイヌ語で山手を意味する「マク」と断崖の形状が箱のようになっている所を指す「シュオプ」を合せたマクシュオプが言い難いので、マシュウに訛ったのではないかと勝手に推測しています。

因みに隣にある屈斜路湖の語源は、アイヌ語で湖の流れ出る所を表現した「クッチャロ」に由来していることからも、何故に摩周湖は「カムイ湖」にならなかったのかという謎が残ります。

摩周湖の生き物について、昔はエゾサンショウウオしか生息しておらず、魚はいなかったのですが、大正時代に食料とするためにマス等が人の手により放流されたそうです。しかし現在は、阿寒摩周国立公園の特別保護地区にあるため釣りなどは出来ません。

湖の周囲は急勾配の山壁で、観光の際は展望台から湖面を眺めるのが一般的です。

道外から摩周湖に行くにはレンタカーの場合、中標津空港が一番近いですが、そうでない場合は、釧路空港か網走市に近い女満別(めまんべつ)空港のいずれかに到着した後、空港からバスで各市内に出て、JR釧路駅かJR網走駅から釧網(せんもう)本線に乗り、摩周駅で下車した後、路線バスで摩周湖の第一展望台で降ります。電車やバスの待ち時間も考慮して、釧路空港から約3時間、女満別空港から約4時間掛かると見ておけばよいでしょう。

イヤイライケレ。スイ ウヌカラアンロ。(アイヌ語で有難うございました。またお会いしましょう。)

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