五月に読んだ本

はじめに

先月も忙しかったが、今月も忙しかった。これから遅まきながら公務員試験の勉強を始めるので、来月からさらに忙しくなるだろう。ふーむ。体が持つか不安である。

動物倫理の最前線: 批判的動物研究とは何か 井上太一

これ五月だったんだなという感じ。かなり分厚く、読み通すのに苦労したような覚え。ただ結局のところ、CASが立ち向かわねばならぬ本当の問いは、医学進歩の生命線たる動物実験と現場畜産業や酪農業で生計を立てている方、この二つに対してどういうスタンスを取るのかという所に尽きるのではないかと思ったし、本書の中でそれに対する回答はなかったように思う。CAS自体は勉強するにすごく値するのだが。

いのちを巡る臨床: 生と死のあわいに生きる臨床の叡智 皆藤章監修

泣く子も黙るユング心理学の牙城たる京大臨床心理コースの書籍。紀要の書籍化かな? 中身の質の差が結構あり、真面目に書かれたんだろうかという論文もあれば、涙無しには読めない事例論文(というかTh体験談)もある。自殺予防的観点を期待して読んだが、グリーフ/緩和ケア中心だった。

共生社会を生きる 橘木俊詔編

社会福祉が学問として非常に横断的で面白く、それゆえに社会福祉について社会福祉だけで語れない、つまり経済や行政、ジェンダーや市民社会論など色んな領域について語らねばならず、まさしく社会福祉という学問自体が"Nothing about us without us"できなくもなりうるのだという変な感想を持ってしまった。本自体はめっちゃおもろかった。

詳論 文化人類学:基本と最新のトピックを深く学ぶ 桑山敬己編

文化人類学をザーーッと見てみたかっただけなので読み込んではいない。贈与と交換が源流であると言うこと、モラルエコノミーの話、文化相対主義の限界など興味深い話が沢山あった。多分真面目に読み込もうとすると1ヶ月くらいかかる。

政策形成 BASIC公共政策学10 小池洋次 編

今月のMVP。結構見た目は硬いのだが、中身は超〜〜〜読みやすい。そして現場出身の方が多く書かれているので、リアルな話があったりする。現場/メディア/筆者の実例/シンクタンク/NPOなど多様な視点展開•立場から書かれていて、どれも飽きない。公共政策を学ぶ人への七箇条みたいなのもあり、興味深い。まあこの七箇条全部満たせる人なんていねえなって思いましたけれども……(いたらおかしいよw)。

キリンのひづめ、ヒトの指: 比べてわかる生き物の進化 郡司芽久

200ページあったんだが一日で読めた。進化と適応を軸にした一冊で、著者の専門たるキリンだけでなく、サカナの鰓呼吸やゾウのうんち、鵜の不合理な進化まで扱うネタは結構幅広い。表紙の雰囲気と反してまあまあ硬めの文章だが、エッセンスを伝えるのが非常に上手い。臨床心理学的には、発達について非常に考えさせられた。

まとめ

今月はまさかの先月より一冊多く読めた。まあ最後の本を気合いで一日で読み切っただけだが。かなりジャンルを幅広く読めて個人的には満足ではある。

それではまた次の記事で。