GSの日常〜番外編2〜

 以前どうしようもないエピソードを共有してしまったのでちょっと真面目なエピソードをご紹介しよう。


〜制限品〜
 皆様ご存知の通り、飛行機に乗る際は荷物検査が実施される。預け荷物である『受託手荷物』と搭乗する乗客及び機内に持ち込む荷物を検査する『保安検査』の2通りがあるが今回ご紹介するのは後者である。

 ある日の夕方の便でボクは保安検査上前での案内を担当していた。記憶が正しければその日はそんなに混んでいなかったように思う。締め切り時刻まで20分程の時間で保安検査員に呼び出された。

 「これなんですけど、恐らく大丈夫かとは思いますが、危険物のマークがついてるんで念のため確認してくれませんか?」

 手渡されたのは絵の具だった。絵の具ってそんな危険要素あるか?と内心思いつつラベルを見ると確かに炎のマークがついている。お客様に航空輸送に問題ないか確認するためお待ち頂くようお願いし、絵の具をお借りし事務所に持ち帰った。
その時のインチャージ(責任者)の上司に状況報告し社内規定を検索するもなかなかヒントになるものは見つからない。上司も絵の具が引っかかるのは初めて見たと言う。

 「こうなったらメーカーに電話で問い合わせて引火点を確認するしかないな」

どういう事かと言うと炎のマークがついてるものは引火の可能性があるため引火店の確認が必要で規定の基準以内であれば輸送可能だと上司は判断したのだ。
 上司の指示通り製造メーカーの電話番号をネット検索から探しだし電話し状況説明したのだが窓口の方が驚いていたのは言うまでもなかった。
結果的に輸送に問題ない事が確認できたため、こちらのお客様は無事にこの絵の具を持って出発できたのである。


〜コロナ禍の国際線〜
 コロナ禍で渡航条件が日に日に変わるのは日常茶飯事になっていたのだが、毎回渡航書類の確認のため国際線乗り継ぎのあるお客様のチェックインは慎重に行われていた。
 ある日ボクの空港から羽田空港を経て長距離国際線に乗り継ぐお客様がいらっしゃった。ただでさえ複雑な国際線区間ありのチェックインにコロナ禍特有の確認事項の多さに手間取っていたボクだが、その間上司がお客様とお話ししており「仕事で急遽帰らないといけなくなった」という内容が聞こえてきた。大変だなと思いながらも、そういう国際的な移動があるのが何となく羨ましい気もした。無事にチェックインが終わりリリースしたのだが
「無事に目的地に辿り着きますように」
と何故かあまり普段こういう事は思わないのだがこの時は強く思ったのである。
(勿論乗客の皆さんが無事に目的地に辿り着くようにと思ってますがこの時ばかりは印象深かったのです)

その翌々日。とあるニュースが飛び込んできたのだ。

〇〇航空〇〇便 機材トラブルで〇〇に緊急着陸というものだった。

ありゃまぁと思いながらそういやこの間対応したお客さんいけたんかなー、そういやこれと同じ便名だったな、なんて呑気な事を考えてたのだが、何か引っ掛かりを覚え、時系列計算するとやはり先日対応したそのお客様が搭乗された便だった。

 リリース時の変な感触がまさかの緊急着陸という結果で直感が当たってしまった妙なでき事だった。何はともあれ乗員乗客に怪我がなくて良かったのである。

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