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お支払いは一括ですか?分割ですか?

留学における学費や寮費ってかんなりの出費になるわけだけど、日本人の感覚としては額が大きくなればなる程、支払時に領収書がもらえるとか、セキュリティのカッチリしたページでカード払いするイメージになると思う。
少なくとも私はそうだった。




が、諸外国の人々はそんな繊細ではない。




最初の1ヶ月分の寮費支払に至っては、まさかの
「(国際)電話かけてきてくれる?で、あなたのクレジットカードの番号教えて欲しいのよ。そしたらこっちでカード切るから。」
とメールで言われ、従うしかないと思い込んだクラスメイトは何人か言われた通りにしたらしい。

もちろん詐欺とかそういうわけではなく、大学側からの大真面目な要求である。
でも、二つ返事なんてするわけがない私なので、メールできっちり
「あまりにもセキュリティ上危ないので他の方法で支払わせて下さい。」
と返信したところ
「そうよねー、じゃあ初日に寮の受付で支払ってくれるー?」
という、ほんならさっきのは何やねんってツッコむしかない返答で解決した。


そんなもんやな、外国っていうのは(笑)


で、支払の時は日本同様一括か分割か選ぶことが出来るわけだけど、イギリスでは分割にしても支払い側に損がない(カード手数料は別)。
単純に10回払いなら10で割っただけの金額を10回かけて支払うことになる。

それならもう用意してんねんから全部一括でえぇやん?って思った私は、取り敢えず学費はネット上でクレジット払いしか出来なかったこともあり、一括でドドーンと支払った。

寮費も一括のつもりではいたけれど、どのみち渡英してから払うしかなかったので未払の状態で飛行機に乗った。


結果的に寮費は分割にしたんだけど、それがコロナの中功を奏することとなった。

分割に変えた理由は特になく、何故か偶然にも友人達が皆分割だったので何となく分割にした。

これが本当に本当にラッキーだった。




諸外国にはどうやら忖度とか恩情という概念がないらしい。




忘れもしない3月14日、それは23日のロックダウンを目前にし、大学はもはやすったもんだ状態だった。

帰れないなら仕方ないけど、帰れるならほんま帰れ、マジ帰れ。

何につけても二言目にはこのフレーズが出ていた。
まあ、気持ちは分かる。
私が大学側の人間なら頼むから帰ってくれって思うもん。

ただ、私達と大学の間には賃貸契約書なるものが当然あり、期間は2020年7月末まで、途中解約は原則許可しないが、万が一の場合は解約金を請求しますというものだった。
至って普通の内容なわけだけど、この解約出来ないという現実が生徒の帰国を躊躇させる要因の1つになっていた。

それが分かっていた大学側は、一括支払の生徒には返金するし、分割支払の生徒も滞在期間までの寮費の支払でOK、要は
「契約書の取り下げに応じます。皆さんに損もさせません。」
と14日にアナウンスを出した。
まあ、前代未聞のカオスの中では妥当な判断なわけだ。


当然ながら私も、この大学側のアナウンスで帰国の決断に一歩近付いた。
しかもその時点で支払っていた寮費でちょうど3末くらいまでの寮費と合致していたのでピッタリだった。

結果、私は3月31日にスコットランドを後にした。

ヘロヘロになりながら都内で自主隔離も終え、実に15日かけて実家まで辿り着いたわけだが、まさかのメールが5月に届く。




「あなたの寮の大家さんが契約書の取り下げに応じないと決めたので、契約書通りに7末分まで支払いを続ける様に。」




私の寮は他の寮と違い大学と関係のない大家さんがいて、私達は大学の仲介の元、彼(彼女?)と契約をしていた。
だから、決定権は大家さんにある。
でも、3月の時点で大学側のアナウンスには、全ての寮を対象に契約書の取り下げを認めるとくっきりはっきり書いてある。

これは私の憶測の域を出ないんだけど、コロナですったもんだしすぎて大学側と大家さんが契約書の取り下げに関して正式な手順を踏まなかったんだと思う。
で、予想以上に収入が減ると理解した大家さんは、口約束しかしていないことをいいことに、契約書取り下げやっぱやーめたって言い出したわけだ。




血も涙もない野郎とはコイツのことを言うんだと思う。
本気でそう思ったし、彼(or彼女)の気持ちも分かるが、それでも今尚そう思ってる。




同時期に帰国したクラスメイトと私は徹底抗戦を決意し、卒論でストレスフルの中、私はUKの弁護士免許持ってる知人を巻き込み、クラスメイトは拍手ものの抗議文を作った。
抗議文読んで感動する日が来るとは思わなかった。
それくらい素晴らしいものだった。
必要な情報が全て載せられていて、ぐうの音も出させない闘志を感じた。
私より10歳も若い彼女の将来が楽しみだ。(←お前誰やねん。)


6月になり、スコットランド政府が契約書の取り下げをしなさいという法律を作った。
要は、そこら中で同様の問題が起こり学生が悲鳴をあげまくったわけだ。
大学側はこれ幸いと自分達の3月14日のアナウンスには触れずに
「そういうことだから法律が制定されたのは6月だから、5月末までの未納分は払ってね♪」
とメールしてきた。

いやだからお前な…って話で、私達は抗議を続けた。



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忘れてはならない、ここはかの地イギリス、スコットランド。
全員O型なんじゃないかと疑いたくなる国民性のthe United Kingdomの中でも心の大き過ぎる人が9割を占める地、スコットランド。
(思いっきり私個人の意見です。)
さすがですとしか言いようがないが、6月中旬以降、あちらから音沙汰がなくなった。
要は、なんだか自然消滅してるっぽい今日この頃(笑)


で、一括か分割かって何やねんって話で。
前置き長過ぎなのは認めるけど、ちょっとこれ以上短くならない。


このなぜか「6月から」ってとこが運命の分かれ道になってしまったわけなんだけど。
つまり、一括で支払った生徒は、退寮してから6月までの期間の空家賃を取られてしまったわけだ。
もし私が一括支払を選択していたら、3末で退寮しているので約30万円程お金を捨てるハメになっていたわけだ。

あっぶねぇ。




コロナの中、賃貸契約がどういうものに変化したのか私には分からない。
でも、諸外国では契約書は絶対であり、日本人の様に
「コロナですもんね、今回はキャンセル料は結構です。」
なんていう優しい言葉は返ってこないと思った方がいい。


忖度なんて存在しない。
忖度よりも契約書。


これは、肝に銘じておくべきだと思う。

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