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デジタル・エイプ

ひとつ確実に言えることは、私たちは自分たちが使うものに依存するように発展し、能力を拡大してきた、ということである。何千年もの間に、人類の胃は火がなければうまく機能しなくなった。極地から赤道まで、私たちが住む土地のどこでも、胃が生命を維持するのに十分な機能を果たすのは絶対に不可能である。

この意味で、道具は常に私たちの一部だった。最近付け加えられた表層的な文化ではない。デジタルなサルは、斧をふるうホミニンの直系の子孫なのである。私たちの生態はテクノロジーと緊密に結び付いている。金づちを使うと必ず親指を叩いてしまう不運な人々はそう見えないかもしれないが、すべての人間はテクノロジーとの密接な協力関係の中で機能するようにできている。人間がつくるあらゆる集団やネットワークも同様であり、テクノロジーと協調して機能する能力が、テクノロジーを受け入れる力と共に発達したスキルの上で築かれている。「拡張」は現代人が強い関心を持つ話題だ。いまや私たちは、ほぼすべての感覚を飛躍的に拡張できる。拡張は私たちの生活の新しいパートではない。それは私たちが私たちになる前からずっと共にあった。

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