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これから上がっていきそうな株をIPO銘柄の中から分析してみる①西部技研(6223)

今回は2023年10月3日にスタンダート市場に上場した西部技研(6223)について分析していきます。

想定価格 3250円
公募価格 2600円
初値 2687円
ロックアップ期間 180日(2024年3月30日まで)
2024/1/5時点の株価 1654円
2024/1/5時点の時価総額 339億円

会社の特徴

工場向けの空調設備メーカー。湿気を吸着する除湿器と有機化合物(VOC)濃縮装置が主力で、売上の9割以上を占めます。

ハニカム(ハチの巣のような網目)成形の技術力をもとに、デシカント除湿器(空気中の水分を強制的に除去)やVOC(揮発性有機化合物)濃縮装置、全熱交換器の製造・販売をおこなっています。

海外向け売上高が約8割となっていて、今後も市場の成長に合わせて会社規模も拡大していくと思われます。

除湿器には家庭用に多く使われる冷却式のものと、工業用に使われるデシカント式除湿器の2種類があります。

冷却式は空気中の水分を冷却して結露させることで除湿します。
冷却式の場合、冬場などの低温下や空気中の水分が少ない環境下では除湿効果が発揮しずらくなってしまいます。

対してデシカント式の場合、吸着剤を用いて空気から直接水分を取り除きます。
空気を冷却する必要がないため、低温時や空気中に水分が少ない低露点環境でも効率的に除湿できるのが強みです。

業界の動向と今後の見通し

主力商品であるデシカント除湿器は、リチウムイオン電池産業での採用が増えています。
それに加えて、近年のEV化の流れで米国を中心に車載向けリチウムイオン電池の製造工場がどんどん新設しています。

今後のデシカント除湿器市場はEV市場の成長に引っ張られてどんどん成長していくと考えられます。

蓄電池市場は2019年の世界の市場規模が5兆円から、2030年には40兆円と、11年で約8倍にも成長する予想となっています。

もう一つの主力商品であるVOC濃縮器は、半導体製造や自動車塗装を行うときに発生する有害物質(VOC)を吸着します。
VOCは健康や環境に有害な影響を及ぼすので除去する必要があります。

半導体は製造過程でVOCを含んだ空気を排出します。
なので半導体製造工場はこのVOCを除去する装置が必要不可欠になります。
半導体市場はAIや自動運転技術など、急成長が期待されている市場なので今後の大きな成長を期待できます。

半導体関連市場は5G インフラの整備、自動運転技術の進化などから今後も堅調に成長する見込みになってます。
2024年もchatGPTをはじめとする生成AIを中心に拡大が見込まれています。

半導体市況は2021年の供給制約が解消され、2024年の成長率は前年比13.1%増と再拡大する見込みです。
これに伴い、2024年は半導体企業の設備投資も拡大する見通しです。

VOC濃縮器は大気汚染の防止を目的としているので、顧客の環境負荷を低減させます。
デシカント除湿器は効率的に除湿することで製造過程でのロスを減らし、CO2排出量の削減にもつながります。

またデシカント除湿器、VOC濃縮器はどちらも消耗品ですので、継続的な収入を見込める点もとても良い点です。

過去の業績の推移


次は過去の業績の推移を確認します。
連結決算を始めたのが前々期からなのでそれ以前の情報はありませんでした。

決算期が12月なので今期の業績は24年2月中旬に発表予定です。
23年11月に第三四半期決算を発表したので後ほど紹介します。

上場時の予想では売上9%、営業利益が13%ほど上昇する増収増益予想で、営業利益率も約20%と高い水準となっています。
業種別の売上高営業利益率で機械は8%~9%が平均となっているので営業利益率の高さがわかると思います。

総資産額、従業員数も伸びていて、営業キャッシュフローの急激な落ち込みもないので、資金繰りも大丈夫そうです。
しかし、23年11月に発表された決算で結果的に大きく売られました。

売られた理由は営業利益の進捗率が第3四半期で62%しかなく、通期の見通しが達成できず、しかも減益になる可能性がでたからです。
主な要因は中国への売上が全体の45%を占めており、その中国が6月~9月にかけて景気停滞に陥った影響を受けたことです。

決算説明会資料によると、売上は通期の業績予想を達成できる見込みだが、営業利益率に関しては下がっていく見込みとなっています。
理由としては、7月から急激に販売競争が激化し、シェア維持を優先したために値下げをし、粗利率が下がったことがあげられています。

また今後の方向性についてですが、中国の景気の先行きが不安視される中、北米のバッテリー市場と半導体市場への投資が加速しているので、北米でのシェアを拡大する方向となっています。

また、現在日本国内だけで行っている利益率の高い部品交換やメンテナンスのサービス事業を海外にも水平展開していくことで、利益率の向上をしていくようです。

来期の予想としては、増収を見込んでいるが増益になるかは精査中とのことです。
今後の定常的な営業利益率は10%前半から中盤が目標となっているので、来期にかけて注目が高まります。

チャート分析

チャートは11月中旬の決算で大きく下げた後、11月末ごろに大型案件受注の材料が出て一時的に大きく上昇しました。
その後ダラダラと下げて窓開けした分を埋める形になっています。

今後の展開としてですが、2つ頭の中に入れておく必要があると思います。
1つ目は通期の決算発表、2つ目は大株主のロックアップ解除です。

通期の決算発表は2月中旬を予定しており、この決算の結果で大きく株価が動く可能性があります。
個人的には、決算発表を見て来期の営業利益率がどの程度落ち込む予想なのかを確認してから買っても遅くないと思います。

ともあれ、バッテリー市場、半導体市場はとても好調ですので、長期的に見れば今後の成長を見込める銘柄だと思います。
1/5現在のバリュエーションはPER9.55倍、PBR1.51倍と割安水準ではあると思います。
配当性向も30%を目途に配当を出す予定です。(まだ配当金額は決まってませんが)

大株主のロックアップは2024年3月30日までとなっていますので、3月ごろから意識されて下がっていく可能性はあると思います。
上場日から180日間という長いロックアップ期間があったので解除後いきなり売り浴びせられる可能性は低いと思いますが、覚えておいた方がいいと思います。

また、12月初旬の高値で掴んでいる人は減ってきた印象があります。
少しずつ売られては買われ、売られては買われと下がっていますが落ち着いてきた印象です。

現在は出来高が減りながら株価も下がっていますが、大きく売られた時の1400円を割ってくる可能性は低いと思っています。
目先は2月の決算発表で今年の先行きが見えてくるのではないかと考えています。

*紹介している銘柄は推奨ではありません。投資は自己責任でお願いします。

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