PERFECT DAYS 感想
ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演の映画「PERFECT DAYS」を観てきた。
きっかけは僕の大好きな舞台女優・犬山イヌコさんが出てると知ったから。本屋の店主役。元々は細野晴臣にオファーがいってた役だとか。全体的に配役豪華すぎる。
ネタバレになるような映画ではないけど、観ようと思ってる人はこんなん読まずにすぐ観てきてください。そのあとぜひ感想話しましょう。
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観てから数日、感想を書きあぐねていた。
僕は、こういう映画がとても好きだ。
流れる時間、日常の風景、木漏れ日。
ゆったりした映画が好き。
でも、人に「面白かった」と伝えるのが難しい。
ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースの作品とか、カンヌ国際映画祭で高い評価を受けているとか、そういったものを抜きにして自分で感じたもので面白さを伝えるのが難しい作品だと思った。
「この映画を面白いと思える自分カッコいい」って気持ちも絶対ある。そういう雑音を消して感じたことを文字にしたい。むず。
面白かったのは間違いない。
映画を観た日はひどい二日酔いだった。本当になんで飲み会の最後に水じゃなくて日本酒を飲んだのか、自分を責めながら、映画館まで赴いた。
そもそも僕は普段から映画館で寝れちゃうタイプなので、そんなコンディションで観切れるか不安だった。
でも、PERFECT DAYSでは寝なかった。あんなに起伏の少ない映画なのに、目を離せない面白さがあった。観終わってからも、あれは途中で寝てたら絶対こんなに面白いと思えてなかっただろうなと思った。
映画は、役所広司演じる平山というトイレ清掃員の12日間を描いたドキュメンタリー映画だ。フィクションの、ドキュメンタリー。
実際に渋谷の公衆トイレに行けば平山さんに会えるんじゃないかと思った。
平山というキャラクターの描かれ方も特徴的だった。口数少なく穏やかで、繰り返す日々を楽しんでいる。でもちゃんと怒りの感情をあらわにすることもある。日が進むことに、直接語られることのない平山のキャラクターを知っていけるのはとても面白かった。映画の構成を理解し始めたら、「平山さんはここではどんな反応するんだろう?」って気になりながら観ていた。
そんな役所広司の演技に圧倒された。あんなに静かなのに存在感のある役で、ほぼ何も語らないのにこんなに印象に残るのは本当にすごい。最後のアップあんなに画が持つことある?
特に印象的だったのは平山さんがところどころ笑顔になるところ。
朝の出勤前に空を眺めて、飲み屋に着いた時、困った顔をするときも、笑顔が最初に来る。きっと、平山さん自身が自分の人生に納得しているんだろう。そう感じさせる笑顔だった。
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観ていて、思考が巡った。
同じ日なんてない。毎日がPERFECT DAY。
そういうことなのだろう。
そもそも繰り返す日々自体が貴重となった今日この頃。
能登半島地震は、明日は我が身。
PERFECTな日を送るなんて、途轍もない贅沢なのかもしれない。
でも
毎日繰り返す日々に何の意味を見出すのか?
お金持ちになるわけではない、偉くなるわけではない、愛し合うわけではない。
そんな日々の中で、自分の生を何に見出すのか?
平山さんを通して、映画を通して考えたことだった。
平山さんはどこに見出していたのかな。
トイレ清掃で人の役に立つこと。
本から得られる広い世界。
木漏れ日を感じる毎日。
なんだったのだろう。
個人的には、意味なんてあとからついてくると思って生きているタイプなので、「自分の生きる意味って?」ということはあまり考えないんだけど、「自分の生を何に見出すのか?」という問いは、自分の中ではヒットした。
観ながらも思考が巡って新しい問いに出会えたという意味で、面白かったということなのかもしれない。
よかった、なんとか文章が不時着できそう。
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ついつい書き過ぎてしまいました。
映画を観てから4日間、ずっと何を書こうか考えていたから、ようやくスッキリ。
これを書いたら他の人の感想もたくさん読もうと思ってました。人が何を感じたのか気になる。
パンフレットもおすすめです。読み応えしかない。
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