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雑記:書くために生きられない;20191016



 最近はもう何にも書けない。もう駄目だ、頭から何にも出てこないぞ、という状態でほとほと困っている。
 
 困っているというか、つらい。もともと私は創作活動を人生の中心として生きてきた人間だった。それこそ十代の前半から小説、漫画、DTM(作曲)、ニコニコ動画、やる夫スレ……と色んなプラットフォームで創作活動を楽しんできたタイプの人間だった(そのおかげで学生生活の方は散々だったのだが)。

 そういった過程で、創作活動が自分のアイデンティティになってきたし、それこそが自分の生きる道なのだと思うようになってきた。おそらく私はこの行為を死ぬまでやるのだろう、と信じて疑わなかった。

 もちろん、創作活動の存続の危機は、これまで何度もあった。大学受験の時もそうだし、大学生の時や就職活動の時、あの忌まわしい研究室生時代の時も、おれはそろそろこういう事をやめなければいけないのかもしれない、と思う事が何度かあった。実際、DTMも漫画もやめてしまった。結構やってきてしんどかったし、上達するのにかかる時間と自分の今後の人生を秤にかけた時、どうやらこれ以上は無理だなと思ったのもあった。漫画もDTMも時間がかかる。時間がかかると他のやりたい事も出来なくなってくる。何かをするために、何かを切り捨てる。

 しかし小説だけは、文章だけは別だった。小説は小学校の頃から書いていて、他の趣味に浮気する事もあったが、十年以上ずっとやり続けてきた事だった。それが良い事か悪い事か、あるいは上手いのか下手なのかは別にして、そういう経験は自分にとって財産であったと思う。それが、自分が生きる上での拠り所、つらい事があった時に精神的に頼れる部分だったと思う。

 だが、今までの積み重ねを精神病が悪化する事で全部壊してしまった。

 私は現在「軽微双極性障害」という障害に罹患している。双極性障害と何が違うんだと言われても、私にも分からない。とにかく診断の時にそう言われたのである。

 でも確かに、自分の人生を振り返ると、私は昔から情緒不安定だったと思う。中高生時代は朝から遅刻していたし、抑うつや不安の症状もひどかった。躁状態については特には無いが、気分の上下が激しいという点では一致している。

 その障害が、研究室での生活で悪化した。研究室時代の話は長くなるのでここでは控えるが、とにかく就活と研究の二つが同時に襲い掛かってきて、激しいストレスでぼろぼろの精神状態だったし、元をたどればそれが原因で内定を辞退したというのもある。

 内定辞退後は家族との不仲がさらに酷くなり、家を出て一人暮らしを始めた。就活も始めたはいいものの、上手くはいかなかった。アルバイト歴も無し、大学時代はサークル活動にかまけていた元学生を、まじめに見てくれるところなんてどこにもなかった。

 最近は卒業後三年までは新卒枠を使えるだなんて決まりができたらしいけど、そんなの嘘だ。大学を一度卒業したら「既卒」という烙印がついて、新卒というランクから一段階下がるようになる。そしてその時点で、新卒枠など無いも同然となる――どの企業だって、既卒というバツがついた人間を雇いたいとは思わない。就活浪人という言葉自体が死語化しているくらい、卒業後の新卒就活は上手くいかない。

 何だかんだあって、エンジニア専門の就職支援セミナーにたどり着く事が出来たが、アルバイトを始めるも仕事中に精神が悪化してしまいすぐに退職。セミナーの担当の人から「仕事が出来る状態とは思えない」と言われてしまう。

 アルバイトもまともにできない状態で、ここでようやく「自分は社会的に一定水準を満たしてないほどの精神病なのか」と自覚するようになった。その時までは、このままやっていけば仕事も見つかるしまだ未来は安泰だ、と思えていたのだが、仕事が出来ない状態だと言われると途端に不安になってしまった。今のままでもつらいのに、これからもっと階段を上がっていかなければならないのか、と。

 精神状態が悪いので当然、創作活動も出来なくなってくる。創作活動が出来なくなるとアイデンティティ崩壊となってまたさらに精神状態が悪くなる……の負の循環になってしまった。

 その後一ヶ月かけて、先月ようやくアルバイトに再就職する事が出来た。動画編集や撮影の仕事であったが、一日中仕事をするのは想像以上に大変で、特に「他人から拘束される」という事に自分はかなりのストレスを感じるようであった。

 仕事が始まってからさらに何もかもが変わってしまったように思える。バイトの前日は明日が来る事に怯えるし、一日が終わった後の達成感というのも一ヶ月経って無くなってしまった。今の環境がかなり良い事もあって、「こんな良い環境でも働くのはこんなにも自分に向いてないのか」と思うようになってしまった。

 これはもう地獄である。社会復帰する予定であったのに、こんなにも働くのがつらく、そしてそういう行為を一生続けていかなければならないのかと思うと、かなり気が滅入る。少し前まで「書く」を仕事にする事も考えていたのだが、こうして働いていると、「書く」事を仕事になんててんで出来るはずがない、とも思ってしまう。

 そして、仕事が終わった後は創作活動というものも出来ないので、どんどんとアイデンティティというか、積み重ねてきたものが崩れてしまう。今までは思い浮かんできた小説のアイデアが、今では何にも思いつかなくなっているし、何かを書こうにも何にも思いつかなくなってさらに負のサイクルへと巻き込まれてしまう。
 
 体力を増やせれば、と思う。体力を増やすにはやっぱり仕事をしなければいけないのだろう。そう思うと気持ちは少し楽になるが、これから生きていくのにずっと辛い試練をして疲れていかなければならないのか、と思うとやっぱり、また気持ちが重くなる。もう少し適当に生きてみたいとも思うのだが、将来に不安が出来てしまうのも怖い。いったい、どう生きればいいのだろうか。

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