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劇評

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2014年12月の記事一覧

てがみ座『汽水域』

12/5(金)観劇。シアタートラム

てがみ座のサイトに、この作品についてこう書かれている。

──   ──   ──   ──   ── 
ニホンウナギは日本から3000km先、マリアナ諸島西方で生まれる。
潮流を漂いながら、フィリピン沖で黒潮に乗り、遙かな日本の河川を目指す。
フィリピンの河口でウナギの密漁をしていた、かつての少年は自らのルーツをもとめて、日本へ向かう潮流に乗る。
過去を問い

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終演した舞台の感想。『うえる』

11/30観劇。
昨年のアジア舞台芸術祭2013のワークショップ参加演出家だったシンガポールのチョン・ツェシェンが、そこで披露した短編をフルサイズにリメイク。短編もフルサイズも国際共同制作で、俳優はシンガポール人、日本人の混合。昨年のアジア舞台芸術祭のテーマが「稲作、米」で、『うえる』は、稲を植える、米に飢えるの意味も含み、食にまつわるさまざまなエピソードから家族や地域などの共同体を描いていること

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終演した舞台の感想。『ザ・モニュメント』

公演は終わっているけど、KJプランニングス『ザ・モニュメント 記念碑』の感想。
12/4(初日)観劇。

人間と戦争についてではなく、人間の中に巣食う戦争について、グロテスクさを避けることなく書かれた物語。95年にカナダで初演、作者はコリーン・ワグナー。残虐な犯罪の告白や直接的な暴力の描写など、さまざまな“重苦しい話”が次々と現れる。
戦争中に犯した罪によって死刑判決を受けた若い兵士ステッコを、翻

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