ピアノとソナタ 第2話
池田さんが転校してきてから1週間
あっという間にクラスどころか学校に馴染んだ
びっくりするのは誰とでも話せるコミュニケーション能力の高さと時におしとやかなことがギャップを作り学年問わず人気になった
もちろんモテた
なのに…
瑛紗:ねぇ!〇〇お昼一緒にご飯食べよ!
〇〇:え?えーっと…総馬と美空ちゃんもいるなら…
瑛紗:は?なにそれ?誰かいないと私と食べたくないってこと!!?
〇〇:そ、そ、そ、そういうわけでは…
瑛紗:それになんで美空は下で呼べるのに私は呼ばないの!!?
〇〇:えー…っと…ま、まだ1週間しか経ってないし…それに池田さんはモテて…うぐっ
瑛紗:池田さん禁止、瑛紗って呼んで
〇〇:て、て、…れ…そ、そなた…
瑛紗:ぷっ…あはは笑そなたって何よ笑いつの時代の呼び方なの笑笑
総馬:完全に遊ばれてるな笑
美空:でも〇〇があんな風にタジタジになるのも面白いよね笑
池田さんはモテてるのになぜ僕にこんなに突っかかってくるんだ…
謎が謎でしょうがない…
瑛紗:ん?なに?モグモグ
〇〇:え?いや…その…
瑛紗:言いたいことあるなら言いなさい!
〇〇:ど、どうして僕なんかと一緒にいるんですか?
瑛紗:なに?嫌なの?
〇〇:い、嫌というか…その…
瑛紗:早く食べないと休み時間無くなるよ?
〇〇:あ、はい…
総馬:完全に負けてる笑
美空:ねえ瑛紗?
瑛紗:なに?
美空:〇〇イジメすぎると〇〇が瑛紗のこと嫌いになるよ笑
瑛紗:嫌いになったら好きにさせればいい
総馬:こっわ笑
〇〇:……
ーーーーーーーーー
まぁまぁいいじゃない可愛げのある子じゃない笑
〇〇:そんなこと言わないで対策教えてください久保先生!
久保:対策って笑君は本当にそういうところウブだね〜笑
〇〇:う、ウブ…
久保:まぁじっくり考えなさい笑案外その池田さん?に乗ってみるのも君の人生には面白いことになるかもしれないよ?
〇〇:そうとは思えないんですけど…
久保:今だけよ?そんなこと大人になると経験出来なくなるかもしれないんだから
〇〇:……
久保:ま、あと30分は学校にいるから、好きに考えなさい笑
ガチャバタン
〇〇:ふぅ…
♪〜
僕はピアノが嫌いではない、好きだ
でももう…コンクールに出るのは嫌だ
好きなように弾き好きなように音を奏でる
それでいいんだ
久保先生は放課後時々弾きにくる僕に音楽室を貸してくれる
僕は…この時間だけは…
♪〜
総馬:あ
美空:〇〇だね
総馬:いつ聞いてもいい音だよな
美空:うん
総馬:帰ろっか
美空:アイス買って帰ろ!
♪〜
僕はいつも同じような人生を送ってきた
それでいいんだ
生きることが苦しい時もある
それは誰しもがあることだ
でも…きっと神様が試練を与えたとすればあの時母親を恨まずにピアノを恨めばもしかしたら違う人生だったのかもしれない…
そうやってたらればを繰り返すくらいなら
なにもしなくていい
ダーン♪
〇〇:ふぅ…
ガチャ
久保:終わった?
〇〇:ありがとうございました
久保:いつ聞いてもいい音出すわね〜
〇〇:もう上手くないですよ笑
久保:それ聞いたら他の人達嫉妬しちゃうわね笑もう帰りなさい、私もこれから会議だから
〇〇:はい、さようなら
久保:お疲れ様でした!
僕はいつも湘南の波の音聞いて帰る
波の音は時に優しく時に怖く
人を動かすものだと思う
〇〇:え?
夕陽が落ちる海には
瑛紗:ん?お!〇〇じゃん!
〇〇:え?風邪ひいて休んでたんじゃ…
瑛紗:ん?もう治ったよ?
〇〇:早すぎるって…
瑛紗:なーんだ、ズル休みバレちゃった笑
〇〇:こんなところに居たらバレるって…
瑛紗:えへ笑
〇〇:どうしてここに?
瑛紗:んーなんとなく?海見たくなって。〇〇は?
〇〇:僕も…なんとなく…
瑛紗:本当のこと言っていいのに笑毎回ここ通って帰るって笑
〇〇:え?
瑛紗:総馬から聞いたから笑1人で帰る時は海見て帰るって
〇〇:あ、うん
瑛紗:それでここに来たの私は!
〇〇:え?
瑛紗:いいよねー海は、人の心みたいに感情があるようでさ、なんかこう…虹みたいな綺麗な時もあれば黒のような色で何も見えなくなったり見せてくれなかったりするじゃない?でもそれって私達にとって見本を見せてくれてるようで凄い…
彼女はアーティスティックなところがある
言葉の一つ一つがまるで水玉のように弾けて光り人の心を放さなくなる
彼女の横顔もそれによく似合う
〇〇:ふふ
瑛紗:ん?なに?
〇〇:あ、いや、なんでもないです…
瑛紗:絶対語ってるのをバカにしたな?
〇〇:そんなことないです!ただ…
瑛紗:ただ?
〇〇:横顔が…き、き、綺麗だなって…
瑛紗:え///
〇〇:///
瑛紗:そんなこと言えるんだーへぇー笑
〇〇:もう言わない…
瑛紗:なに!!?もう少しくらい褒めなさい!!バシャ
〇〇:うわ!冷たい!
瑛紗:おらおら!
〇〇:制服汚れちゃう!
瑛紗:明日休みなんだからクリーニング出せばいい!!
〇〇:え!!
もし、時間を戻せるなら
もし、この瞬間を止めれるなら
たらればになるくらいなら…
それでも僕は、
君といる時間を大切にして
君が僕を引き摺り込むように
君が描いていた世界に生きてみたい
そう変わっていく
きっかけだった
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