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僕がそんなにモテるわけ 第3話

幸也:松田さんはディレクターやって何年目なんですか?


里奈:5年になります!でもなかなか難しいですよ〜担当も増えてきたから休みも無いし…ね!安藤さん!


安藤:それはごめんなさい…頼んだらやってくれるから笑


幸也:言ったら断らないのは〇〇と一緒です笑な、〇〇笑


〇〇:断らない…です…


里奈:断れないですよね!むしろ断ると次が無いんじゃないかと思って気づいたらこんなにおしゃれなんて忘れてしまう…


幸也:おしゃれしたらすごくよくなると思いますよ?


安藤:そうよーこう見えて社内でも人気なんだから!


幸也:そうなんですか?


安藤:メイクして現場来れば絶対モテるのに…


里奈:アイラインとファンデくらいはしてますよ?


安藤:もっとやりなさいよ!


〇〇:ははは…


里奈:佐藤〇〇さんは…


幸也:え?フルネーム?


里奈:あ!佐藤さんだと現場とかだと被る時あるからフルネームの方がいいかな?って


幸也:それなら下の名前でいいよな?笑ありきたりな名前だし笑


〇〇:ありきたりは余計だよ…


里奈:いいんですか?


〇〇:ま、松田さんが良ければですが…


里奈:じゃあ〇〇さん!私そんなに可愛くないですか?


〇〇:え!?いや…その…


幸也:言ってあげろよ笑


〇〇:か、か、可哀想…


安藤:え?


幸也:え?


里奈:え?ひ、酷い…


〇〇:違います!違います!可愛いです!


幸也:あーびっくりした笑言い間違いにも程があるだろ?


〇〇:本当にすみません…


里奈:そっか…可愛いか…うんうん


安藤:ごめんね、よく1人の世界に入ったり謎の行動したりするの笑


幸也:確かに謎なところ多い子ですよね、初対面ですけど掴みどころが無いというか…


安藤:だから〇〇さんみたいな方とは合うかもしれませんよ?


〇〇:え?


幸也:確かに謎の多い者同士…


里奈:えーそんなに褒めてもなにもありませんよ♡


安藤:大丈夫、なにもないから

ーーー

安藤:今日はありがとうございました


幸也:いえいえ、こちらこそお誘いしてしまいすみませんでした


安藤:楽しい時間でした♪


里奈:〇〇さん!


〇〇:は、はい!


里奈:可哀想って言われたこと忘れません!笑


〇〇:え!?いや、すみませんでした…


里奈:お詫びとして今からもう一軒奢ってください!


〇〇:え!?


幸也:おー?いいじゃん!行ってこいよ!俺は安藤さんと行ってくるから


安藤:松田もあまり迷惑かけるんじゃないよ?


里奈:はーい!行きましょう!


〇〇:うえ?は、はい!


里奈:嫌でしたか?


〇〇:な、なにがですか?


里奈:私と行くの…


〇〇:いや、ちょっと驚いただけです…


里奈:なにがですか?


〇〇:急に誘われたので…


里奈:誘ったらダメなんですか?

だからどうして女性はそんな見上げる目線を駆使してくるんだ…
その技はなんなんだと思うがただ僕の身長が少し高いだけではないかとも思うなどまさにテンパるというのを頭でも表情でも感じていた

〇〇:僕なんか幸也のおまけみたいなもんでしたし…


里奈:えー幸也さんチャラそうだし安藤さんが取ったらダメって目をしてたし笑


〇〇:消去法ですか…


里奈:違いますよー笑〇〇さんがいいなぁって思ってただけです!


〇〇:聞いててそう思わないのですが…


里奈:あんまり国語得意じゃないので…すみません笑

それは国語というよりは教養の部分では…

里奈:あ!ここで飲みませんか?


〇〇:ん?え?中華?


里奈:ここロケハンの時に1人で来たことあるんですけど美味しいですよ?

明らかに町中華感溢れる古さを漂う店構え
保乃さんと言い最近の女の子は自分のイメージとか気にしないのかと思ったが目の前にいる松田さんはそもそもオシャレをしていなかった

里奈:2人でーす!


店員:テーブルどうぞー


〇〇:ロケハンってなんですか?


里奈:ロケ地の視察のことですねードラマだったりCMの撮影地をイメージ通りのところを見つけるために行くんです


〇〇:なるほど


里奈:それに私おしゃれとか苦手なので堅苦しいところ苦手なんですよね…さっきのところとか笑


〇〇:わかります…僕も同じです…


里奈:僕はって〇〇さんおしゃれじゃないですか?


〇〇:いや…その…実はこれお店で僕に似合うやつって言ってそれをそのまま買っただけなので…


里奈:…ぷっ笑あっはっはっは!なんですかそれ笑じゃあさっきのお店も?


〇〇:女性もいるしお店の雰囲気に飲まれました…


里奈:え、嬉しい!


〇〇:え?


里奈:私のこと女性と思ってくれたんですね!


〇〇:え?だってそうじゃないですか?


里奈:現場だと指示したりどうしても気を抜く場面もあったりあるいは睡眠時間確保のためにノーメイクで行ったりするので女に思われなくて


〇〇:松田さんはちゃんと女性だと思います


里奈:へ?


〇〇:違うんですか?


里奈:…そっか


店員:はい、瓶ビール


里奈:あ、ありがとうございます!とりあえず飲みましょう!

パチン!

〇〇:ん?え?


ガルフ:お前は天然なんだかどうかわからないな笑


〇〇:というかこんなところに出て来れるんですね…


ガルフ:時間も止められるからな


〇〇:勉強になります…


ガルフ:ところで、彼女のことどう思う?


〇〇:え?いや、なんか、すごい積極的て明るくて…


ガルフ:女としては?


〇〇:え!?いや、それは…


ガルフ:ふ、まぁいい…お前のその根の部分は変わりにくいしな


〇〇:はぁ…


ガルフ:この時間を楽しめ、そしてお前とはなんなのかを彼女達は教えてくれる


〇〇:なんなのか…


ガルフ:それじゃあな

パチン!

里奈:あーこぼれた!


〇〇:ん?おわ!ご、ごめんなさい!


里奈:なんでも謝らなくていいのに笑


〇〇:え?


里奈:謝るのが癖になってますよね?そんなのやめた方がいいですよ?


〇〇:……


里奈:私最初銀行員だったんですけどその時も〇〇さんと同じように謝ることが当たり前になっていたんです。でもそれじゃあ私の意見なんて聞いてないし理解もしてくれないんですよ。だから思い切って転職して自分の頭の中で描いたことを表現できる世界に入ったんです


〇〇:それで映像ディレクターを…


里奈:まぁもちろん前の仕事が嫌いとかではなくて嫌いな自分になっていくのが嫌いだったんですよね


〇〇:嫌いな自分…


里奈:だから〇〇さん見てると自分の昔によく似てて…それで私のことわかってくれるかなーって笑


〇〇:いや、松田さんは頑張ってますよ


里奈:え?


〇〇:必死に頑張って自分のしたいことのために一歩踏み出した、それだけですごいです


里奈:そんなことないですよ…

ちょっと照れが見えた彼女のはにかんだ笑顔は僕の心を少し動かしたような気がした

時々思う
人とは変わりたいという心が無ければ遠くのものも近くにあるものにすら気づかない
視野を広げてみればいろんなことが変わる
でもその時の僕は気づいていなかった
いや、気づくのが怖かったんだと思う

里奈:パクッ


〇〇:へ?


里奈:ん?


〇〇:今…トマトのヘタ食べましたよね?


里奈:…食べれる食べれる!


〇〇:いやいや!無理しないで!


里奈:もう食べちゃいました!


〇〇:ひぃやああああああああ!!

ーーー

里奈:ごちそうさまでした!すみません無理矢理連れてきたのに奢ってもらって


〇〇:いいんですよ


里奈:じゃあ今度は私が奢ります!


〇〇:いや!本当に気持ちだけいただきます!


里奈:それじゃあ…お礼何しようかな〜


〇〇:お、お礼?


里奈:今の仕事落ち着いたら今度はデートしましょ?


〇〇:んが!?で、デート!?


里奈:デートというよりも普通に遊びに行きましょ!よし!じゃあ連絡先教えてください!


〇〇:え!?あ、はい!

保乃さんとは違う明るさ
引っ張ってくれる強さ
優しさも違う
人というのはこんなにも同じ言葉で表すのが難しいのかと人と関わっていくのがわかっていく自分がいた

その日夢を見た
そこはどこかの大きな部屋でいくつかの机があった
見覚えがある…
わかった…
教室だ
大学の時にバイトしていた塾の教室だ
でもなぜ?
後ろでガラガラと音がする
振り向くと…

ピピピ…チュンチュン…

〇〇:…朝か

ーーー

〇〇:インターンですか?


保乃:はい!うちの会社で今年からやるみたいなんですよね〜


幸也:会社も大きくなってきたってことよ


〇〇:それでなんで僕が?


保乃:システム開発部でうちのホームページあるじゃないですか?あれでインターンのことを紹介する動画載せようと思ってまして、出来ますよね?


〇〇:載せること自体は簡単なので全然大丈夫ですけど…


幸也:けど?


〇〇:誰が映像撮るんですか?


保乃:そこなんです!それでお願いがあります!


〇〇:…まさか

ーーー

幸也:それでは今日から2週間よろしくお願いします

よろしくお願いします

保乃:私は広報部の田村保乃と言います。よろしくお願いします


幸也:営業部の川口幸也です


〇〇:えーっと…この度…皆様のインターンの様子を撮ることになりました…佐藤〇〇です

その時だった

ガタッ!

〇〇:え?


幸也:え?


保乃:ほにょ?

〇〇…さん?

〇〇:え?あ、はい?

嘘…本当に会えた…

幸也:会えた?


保乃:…〇〇さん?


〇〇:えーっと…どちら様でしょうか?

す、すみません!金村です!

〇〇:んあ!?


美玖:中学生の時お世話になりました!金村美玖です!


幸也:お前中学生に手を出してたのか?


保乃:今すぐ担当から外します!


〇〇:ま、待ってくれー!

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