僕がこんなにモテるわけ 第4話
幸也:そろそろお前捕まった方がいいぞ?
保乃:モテないとか言ってこんな若い子に手を出していたんですね
〇〇:違う違う違う違う!!!
美玖:なにが違うんですか!〇〇先生!
幸也:…先生?
保乃:先生って?
美玖:中学の頃の塾の先生です!
幸也:あ、そういうこと
〇〇:だから言ったじゃん…
美玖:先生にいつか会えると思って頑張りました!
保乃:いつか会えるって言われてるけどなにがあったんですか?
美玖:先生のおかげで行きたかった高校に受かりました!そのお礼をしたくて…
〇〇:ぼ、僕はただ授業してただけだから…
授業というよりもカリキュラムに沿ってマニュアル化された塾の資料を覚えてそれをやっていただけとは今この状況では言えるわけはなかった
幸也:まぁ懐かしい再会はあとにしまして、インターンは2週間続きますので体調管理をしてまずはこの会社のことをよく知って楽しく過ごしてほしいと思いますのでよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
保乃:それではこのまま各部署に行きますので私についてきてくださいね!
〇〇:ふぅ…とりあえず動画はいいか…
トントン
〇〇:ん?
美玖:〇〇さん!
〇〇:あ、あれ?みんなと行かないとダメですよ?
美玖:はい!またあとで会いましょう!👋
幸也:お前って本当にモテなかったよな?
〇〇:え?
幸也:なんか保乃ちゃんといい昨日の里奈ちゃんといいお前の周りにいる子達が可愛くて羨ましいよ笑
〇〇:そ、そういうわけでは…
幸也:冗談だよ笑ただあと1人くらいそういう子出て来たら誰かは奪うぞ笑
この発言が本気なのかどうかはわからないけど幸也の言う通りガルフが現れてから自分の周りにはおそらく人生で関わることなど…それどころか会うことすら無かったのでは?忘れかけているのはあと2ヶ月で僕がどうなるかわからないということだ。本当に死ぬのか?そうなるとあのお金はどうなるのか?そしてここにいる人達はどうなるのか?わからないだらけで過ごす日々、変化していく自分の考えに対して残り少ない時間が僕に答えを教えてくれるだろうか?
…さん、〇〇さん
〇〇:ん?あ、保乃さん
保乃:お昼行きませんか?
〇〇:え?あ、もうそんな時間か
保乃:どうしたんですかそんなぼーっとして笑
〇〇:いや、なんかここ最近自分の周りが目まぐるしくて
保乃:目まぐるしい?
〇〇:それこそ保乃さんに出会ってから自分の人生の中でこんなに人と関わったり話したり色んなことが起きて自分がわからない時があるんです
保乃:わからない…
〇〇:今の自分が誰なのかわからない…違う人のような感じがするんです
保乃:…大丈夫ですよ
〇〇:え?
保乃:それは自分が今一番成長してるってことじゃないですか?
〇〇:どういうことですか?
保乃:だって子供の身長はどんどん変わると視線と視界が変わるじゃないですか?それって新しい世界なんですよ?
〇〇:新しい世界…
保乃:今まで見えなかったものが見えるようになったらそれは新しい自分に成長してるんですよ
〇〇:……
保乃:だからそれを怖がらずに楽しみましょ?世界が変われば自分も変わるんですから!
〇〇:…ありがとうございます
保乃:どういたしまして!
〇〇:…例えはよくわからなかったですけど笑
保乃:あー!そんなこと言うんですね!バカだって言いたいんだ!
〇〇:一言もそんなこと言ってません!
彼女の明るさに助けられた
人の成長は時に思わぬ怖さを生む
受け入れていくしかない
目を背けたくなるようなこともある
逃げずに立ち向かう
いつかはまたその時がやってくるのだから
と、思い始めた
ーーー
〇〇:お疲れ様でした
お疲れ様でした
最近僕の挨拶に返してくれることが多くなった
前まで一切気にも止めてなかったであろうに
〜〜〜
ガルフ:自分が変われば周りが変わる
〜〜〜
変わり方次第でいろんなことがあるのだが僕の場合は好転したようだ
お疲れ様です!
〇〇:ん?あ?え?い、インターンとっくに終わってるよね?
美玖:はい!待ってました!
そんなまっすぐな目で見られたらなにも言えない
美玖:ダメでしたか…?
〇〇:ダメというか…よく待ってたなって…
美玖:待てますよ先生のためなら
〇〇:…え?
美玖:ん?
〇〇:先生はやめて、もう違うし
美玖:私にとってはいつまでも先生ですよ?
〇〇:え、あ、うん…
美玖:懐かしい話でもしながら帰りましょ?
〇〇:いや、さすがにインターン生とは…
保乃:あれ?〇〇さん?
〇〇:あ、保乃さんお疲れ様です
美玖:え…保乃さん…?
保乃:あれ?あなたインターンの金村さんよね?
美玖:あ、はい!お疲れ様です!
保乃:…〇〇さん?まさか…
〇〇:いや!違います!これは!その!…あ!じ、じゃあ帰ります!お疲れ様でした!
保乃:許さん…
美玖:……
ーーー
〇〇:死ぬところだった…
ガルフ:あっはっはっは笑モテる男は辛いな!
〇〇:うわ!急に現れるんだから…
ガルフ:いやーしかしあの時のお前の青ざめる顔がもうおかしくてたまらなかったよ笑
〇〇:今なら死ねるって思いました…
ガルフ:そう言うな笑これで4人が揃ったな
〇〇:4人?
ガルフ:言ってなかったか?お前は4人の人から言い寄られるんだ
〇〇:知らなかった…
ガルフ:まぁ4人目はもう会ってるんだがな
〇〇:…え?
ガルフ:ふっ、まぁそれが分かればお前はこんなことにならなかったんだけどな笑
〇〇:はぁ…
ガルフ:しかしどうだ?モテるというのは?
〇〇:なんか…大変で…
ガルフ:お前が求めていたことだろ?
〇〇:いや…誰か1人で良かったのに急に4人というか3人が目の前に現れると…なんというか…
ガルフ:なんというか?
〇〇:困るというか…
ガルフ:いいか?人は常に選択を迫られる生き物なんだ。それを感じるというのは生きているということでもある。そして今お前が新しいことに進んでいるということでもある
〇〇:はい…
ガルフ:それはお前が目を背けてきたことでもある
〇〇:……
ガルフ:生きている以上は逃げ続けても結局は逃れられないこともある。その時にお前がどうしようが勝手だが受け止めて立ち向かわない限りいずれはまたその選択が来る。永遠に繰り返すだけなんだよ
〇〇:それとこれなにが関係あるんですか?
ガルフ:つまりは…お前逃げるなよ
〇〇:…
ガルフ:この状況を楽しめ、そして一生に一度の人生をお前なりに作れ、いいな
〇〇:はい
ーーー
ガチャッ
バサッ!
〇〇:ん…んんん?
久美:寝ぼけてんの?
〇〇:疲れてたしまだ9時だよ?
久美:いいから!今日私に付き合ってくれない?
〇〇:なにするの?
久美:買い物付き合って!
〇〇:え?
久美:私の服選んで!
〇〇:久美の方がおしゃれじゃん?
久美:最近〇〇がオシャレになったからセンス本当にいいのか気になるし…好み気になるし…ボソッ
〇〇:ん??
久美:とにかく行こう!ほら!
〇〇:ちょっと!まだなんにも!
〜〜〜
久美とこういうことをするのは小学生以来だと思う
そもそも久美は中学でも高校でもモテていた
ただ誰かと付き合うことはなかった
久美自身は気にも止めてないが確かに保乃さんや松田さんと見比べても美人である
でも幼なじみなのに変わりはないわけで
久美:これどう?
〇〇:どうって久美の方がセンス良いんだから…
久美:なんでそんな投げやりなわけ!?
〇〇:だって本当のことだし…
久美:見た目変わっても根っこの部分はそう簡単に変わらないか
〇〇:え?なに?
久美:なんでもない!じゃあこれとこれならどっちがいい?
〇〇:それならこっちかな?
久美:なんで?
〇〇:こっちの方が久美っぽい
久美:そう?
〇〇:うん、色も明るくてストライプが似合うかなって
久美:……
〇〇:え?ダメ?
久美:ちゃんとわかってるんだなって
〇〇:ん?
久美:実は私もこっちがいいって思ってた!
〇〇:それならそっちって最初から言えばよかったじゃん!
久美:〇〇も選ばないと今後モテないよ!?
〇〇:……いつもモテてないから
久美:そのための練習でしょ?ほら、次行こう?
〇〇:あ、うん
久美は引っ張ることに関しては天才的だ
小学生でも中学生でも女の子だろうが男の子だろうが関係なくリーダーシップを発揮できた人で僕の場合はそれに巻き込まれていたのだが今となってはこう見るとそれが彼女の良さというのがよくわかる
そしてなにより彼女は僕がどんな時でも近くにいて、なにがあっても味方だった
久美:ねぇ、ご飯食べて帰ろうよ?
〇〇:え?いいけど…なに食べる?
久美:もんじゃに決まってるでしょ?
〇〇:…また?
久美:いいじゃん!〇〇となら気を使わないし!
〇〇:久美と行くとほぼもんじゃ!それか餃子じゃん!
久美:文句ありますか?
〇〇:…ありません
久美:よし、行くぞー!
〜〜〜
店員:お待たせしました!シーフードもんじゃと明太もちチーズもんじゃです
久美:ありがとうございます♪
店員:ヘラで焦げ目を作りながら食べてください!
久美:はーい♪
〇〇:久しぶりにもんじゃ美味しそうだな
久美:でしょ!?ていうかいつぶり?2人だけで行くの
〇〇:多分3年前くらいかな
久美:熱っ!あ、美味しい
〇〇:聞いてないし…
久美:聞いてるよ?そっかあれか、お父さん亡くなってお葬式終わった翌日の時だ
〇〇:…時間の流れって速いよな
久美:…おじさんが元気だったらもしかしたら〇〇も
〇〇:たらればのことを考えるほど僕も子供じゃないよ…受け入れるしかなかったから…
久美:そうだね…食べよ食べよ!もんじゃは熱いうちに食べよ!
〇〇:この話振ったの久美じゃん笑
久美は時に天然なところもある
ただその全てが計算だったり時に大きな勘違いだったりするものだからあざといのか可愛いのかわからない
ただ計算してる時は妙に不自然である
久美:あーお腹いっぱい!
〇〇:最後に焼きそば食べるからでしょ?
久美:目の前に美味しそうなものがあったら食べない理由無いでしょ?
〇〇:おかげで俺もお腹いっぱい…
久美:ねぇ、近いしここから歩いて帰ろうよ
〇〇:うん
久美:夜風が気持ちいい
〇〇:確かに
久美:この帰り道だってもう何年も通ってるのに大人になると色々思うよね
〇〇:僕はよく下見て歩いてた
久美:暗かったもんな〜〇〇
〇〇:今は?
久美:根は暗い笑
〇〇:だよね…笑
久美:そういえばさ…この前この道でさ
〇〇:うん
久美:女性の人と歩いてたよね?
〇〇:え!?いつ!?
久美:先週かな
〇〇:あ、それもしかして保乃さんかな?
久美:保乃さん?
〇〇:うちの会社の広報部の人だよ
久美:仲良さそうだった…
〇〇:そんなことないよ
久美:ならいいけど
〇〇:え?なに?
久美:なんでもない!ねぇ!子供の頃ここでよく走ってたの覚えてる?
〇〇:久美に全然勝てなかったなぁ
久美:あの頃の〇〇可愛かったなぁ〜
〇〇:今は?
久美:…内緒
〇〇:絶対良い方じゃない…
久美:そういえば〇〇はファーストキス覚えてる?
〇〇:え?え?え?
久美:覚えてる?
〇〇:いや、、したことないから…
久美:…そう
〇〇:なんでいきなり…
久美:覚えてないなら…ボソッ
僕は知らなかった
〇〇:久美?
ガルフの言ってた4人目が
〇〇:久美?く…
僕のファーストキスの相手だとは
4人目 佐々木久美
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