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memory's 第30話



調子はどう?

梅澤:あ、若月さん


若月:ベスト8に7ペア、上出来じゃない?


梅澤:独占するつもりでしたから…


若月:凄い自信だな笑私の時はそんなこと考えたことも無かったよ?


梅澤:え?


若月:毎年出れるか心配だったし正直全国決まるまでが一番大変だと思ってたよ?


梅澤:……


若月:そりゃあ東京都で負けるわけにはいかなかったけどもさ、そんなのやってみないとわからなかったんだから


梅澤:それでも独占を5年連続


若月:でも5年だよ?そのあとは続かなかったよ?結局そんなもんなんだよ、そしてそれが普通になってしまう、それがおかしいんだよ。勝手に周りは期待して負けたら監督のせい、それは監督の宿命だからしょうがない。だけど頑張ってる選手の努力を否定するかのように5年しかとか前のチームの方がよかったとか言い出す、今いる選手が頑張ってるんだからそれは失礼でしょ?


梅澤:はい


若月:だからこそ何ペア全国行ったとかではなくいいチームを作りなさい。いい?テニスは個人競技だけども仲間を蔑ろにするような選手が上手くなるわけない、そして仲間が1人に頼るのではなく信じれるチームじゃないとなにをしても上手くいかない


梅澤:頼るのではなく信じる…


若月:みんな勘違いしてしまうからねそこを


梅澤:私はもしかしたら宗則や洋平に頼りすぎなのでしょうか?


若月:その答えはのちにわかるよ


梅澤:…はい


若月:じゃあ準決勝見ていくから


梅澤:はい、どうせなら一緒に見ませんか?私ベンチ入らないので


若月:そっか、ベスト4は独占だもんね笑


梅澤:若月さんってそんなにいじめる人でしたっけ?

ーーー

〇〇:安斉さんお手柔らかにお願いします


安斉:こっちのセリフだよ


武博:秋也、さっきの試合の〇〇なんだったんだ?


秋也:たまにある天然スイッチですから気にしないでくださいよ笑


遥香:うわぁ…凄い…これ本当に〇〇くん?顔つきが全然違う…


紗耶:なんか悔しいけど、かっこよかったんだよね…


遥香:え!?


紗耶:なんか仲間のために戦ってる感じがしてさ、絶対に勝つって思いが凄かった


遥香:そっか…


紗耶:あ!カッコいいってプレーがだよ!?人としては秋也くんが好きだし!


宗則:なんでこんなところで公開告白してるんだよ


紗耶:え!?き、キャプテン!?


宗則:まぁ知ってるからいいけどよ笑


紗耶:ぜ、ぜ、絶対言ったらダメですからね!?


宗則:言わない言わない笑


紗耶:言ったらどうなるかわかりますよね?


宗則:え?


洋平:誓った方がいいぞ宗則


宗則:え?


洋平:俺はそう言ったからな


宗則:ち、誓います…


紗耶:お願いします


浩介:本当に何があったんですか?


洋平:俺は何も言わない


梅澤:さて、準決勝組来なさい、ここからは自分たちの戦いってことはわかるよね?


宗則:はい


梅澤:全国のために何かを試すのか、今の勝利のために勝ちに行くのか、全て任せるけど目的、目標を持って試合をしなさい、いいね?


全員:はい!


梅澤:ひとつひとつにこだわり徹底をする、そうやって強くなる、ここまで来たならわかってるだろうけど改めて言わせてもらうから、わかった〇〇?


〇〇:はい


梅澤:いい試合を見させてもらえることを期待してるよ


全員:はい!


洋平:行くぞ〜


宗則:あ、〇〇


〇〇:なんすか?


宗則:決勝で戦えることをすこーしだけ期待してる笑


〇〇:はぁぁ!?


宗則:3年を甘く見るなよってことだ


〇〇:…


宗則:ま、そういうことだから


〇〇:インターハイって3年生にとってはなんですか?


宗則:うーん…今は答えないよ


〇〇:…


宗則:とりあえず頑張れよ、武博もお前らが来るまでは普通に団体戦で試合出まくってた選手なんだからな?


〇〇:わかってます


宗則:そういうことだから、じゃ


秋也:行くぞ〇〇


〇〇:あ、うん


秋也:キャプテンなんだって?


〇〇:3年を甘く見るなよって


秋也:お前甘く見てたのか?


〇〇:いや、見てはいないけど決勝のことしか頭の中で考えてなくて


秋也:…お前らしいけど俺らは高校での実績なんか無い奴らだぞ?


〇〇:そうだね


秋也:だからこそ俺らは決勝で勝つことよりも目の前の1試合1試合に向き合っていくことが大事なんだよ、今俺らは都大会ベスト4しか実績ないよ


〇〇:そうだね…ごめん


秋也:それに安斉さんと武博さんとやると俺らだって押され気味になること多いだろ


〇〇:レギュラー陣とやると毎回毎回大変だしね


秋也:今は次の試合に勝とう


〇〇:わかった


秋也:お前の本当に先しか見ないところは変わらないよな笑


〇〇:俺は全国優勝しか見てないから


秋也:それは今を勝ってからだ


〇〇:おう


遥香:あ、〇〇くん


〇〇:ん?


遥香:見てこれ


〇〇:お!


遥香:今日は忘れてないよ!


〇〇:ん?忘れてた?


遥香:違う!前につけ忘れてたから!


〇〇:あーそういうことか!もう気にしなくていいのに笑


遥香:そういうわけには…


〇〇:ま、見ててよ、いい試合してくるから


遥香:うん!


若月:あれマネージャーだよね?


梅澤:はい


若月:〇〇くんはマネージャーのことが好きなのか?


梅澤:うーん…本人は気づいてないでしょうけどね


若月:テニスに夢中ってこと?


梅澤:なんというか…テニス以外は無頓着なんですよね、学校生活も問題ないですけどそれがなんか不気味で…


若月:あっははは笑


梅澤:え?なんですか?


若月:そっくりじゃん梅と笑


梅澤:え?〇〇がですか?


若月:興味あることにはとことん!興味ないことでもそこそこやれてしまうのは興味あることに影響されたくないから!まさにそっくり笑


梅澤:そうなんですかね…


若月:似てる似てる笑どこかわかるところもあるから笑


梅澤:……


若月:だからこそ気になるなぁ笑珠美もいい選手って言ってたし、もし本当にいい選手ならうちに欲しいしねー


梅澤:え?今からですか?


若月:早めに声かけておかないとあのチャラ男に取られたくないしね笑


梅澤:どーもでぇーす…

ーーー

安斉:さて、本番と練習は違うからな?


秋也:もちろんです


武博:〇〇と本気でやれるのは嬉しいなぁ


〇〇:お手柔らかにお願いします


安斉:それは無理だ、俺らは全力でお前らを潰すよ


〇〇:なら、全力でいかせていただきます


秋也:俺らも簡単には譲れませんからね


武博:面白いなぁお前らはやっぱ

パァーンパァーン!
スパーン!

若月:うん、いい乱打だね


梅澤:そうですか?


若月:ちゃんと乱打の意味わかってるじゃん、いい教え方してるからじゃない?


梅澤:基礎はおそらく東口先生が教えたのかと思います


若月:…天才肌の指導者だけど理屈は持ってたからね


梅澤:スカウトしてる時に大京中見ましたけどあれは監督いなくても勝てるチームでした


若月:映像だけは見たけど正直大学生とも遜色なかったよ


梅澤:だからてっきりあのメンバーはみんなで固まってそのまま大京高校に行くと思ってたんですけど


若月:バラバラになってみんなと戦いたいっていうのは彼らの向上心なのかそれともはたまた違うなにかを持っていたのか


梅澤:そこまでは教えてくれなかったですけど彼らは自分たちの意思を信じてましたから


若月:それだけでも面白い子達だよ、本当に彼らが3年になった時が楽しみ

レディ!

〇〇:秋也、1本目いっていい?


秋也:なんで?


〇〇:1本目からいくとは思ってないだろ


秋也:フォロー走っておくわ


〇〇:頼んだ

サービスサイド乃木坂高校 安斉・神組
レシーブサイド乃木坂高校 時川・太田組
セブンゲームマッチプレイ!

パチパチパチパチ👏

安斉:ス…パァーン!


秋也:うお!パァーン!パシッ


武博:おっしゃあああ!ナイスサーブ!!


若月:いいクイックサーブだねー


梅澤:安斉は不器用なんですけどサーブの使い分けは上手いんです


若月:3年生が勝つか、1年生が怖いもの知らずで向かっていけるか…楽しみだね


秋也:悪い


〇〇:あんなサーブ隠し持ってたのか


秋也:あのクイックは速いぞ


〇〇:気をつけておくわ

1-0!

〜〜〜

パァーン!

浩介:よし!サンキュー!


洋平:……


瑠奈:あ、ヤバい…洋…


裕太:え?


洋平:…ん?…ぷっ


宗則:✌︎('ω'✌︎ )


洋平:どういうわけだよ笑


宗則:俺らは絶対王者じゃねぇぞ?ただの準決勝まで上がってきた4ペアのうちの1つだよ


洋平:……


宗則:いいじゃねぇか。全国には行けるんだから、もっと楽しもうぜ、優勝はおまけなんだから…うぐっ!


洋平:なーにが優勝はおまけだよ、俺たちは勝つんだよ


宗則:しょぉいうよーへーぎゃひいちじゃんしぃんしょーしてりゅ


洋平:うるせえ!こっからやってやるんだ!


瑠奈:ふふふ


裕太:え?何?


瑠奈:私よりも宗則さんの方がこういう時は頼りになるんだよね…羨ましいけど面白い


裕太:ん?どういうこと?


瑠奈:なんでもない


裕太:急に笑ったりすると怖いよ?


瑠奈:楠木?今すぐしばかれたい?


裕太:そういうところ那須さんに似ないで

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