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memory's 第27話


翌朝

〇〇:おはよう〜


真夏:おはよう!早いね!


〇〇:なんか目が冴えちゃってさ〜


真夏:じゃあ朝ごはん食べる?出来てるよ?


〇〇:食べる!今日なに?


真夏:鯖の塩焼きと卵焼きと味噌汁と昨日のカレーあるよ?


〇〇:全部食べる!


真夏:はいはい笑


〇〇:ねぇまなっちゃん


真夏:なに?


〇〇:まなっちゃんってなんで寮母やってるの?


真夏:私が部のマネージャーだった話したっけ?


〇〇:うん、先生の先輩だったんだよね?


真夏:私運動神経無かったから笑


〇〇:なんとなくわかる


真夏:おい


〇〇:それでそれで?


真夏:卒業した後調理の専門学校行ってね、レストランとか食堂に就職しようか悩んでたらうちの学校の改革で、部専門の寮が出来ることになってそれで寮母兼調理師として校長先生から呼ばれたの


〇〇:山崎校長?


真夏:れなちのお父さんがまだ校長だった頃ね


〇〇:れなち?


真夏:今の校長先生のあだ名よ?私達の後輩だから


〇〇:マジ!?


真夏:元々近くに下宿をさせて推薦者を呼んでたんだけど、寮に入れて学校生活とか部活に集中出来るようにしたのは前任の校長のおかげなの、それで私も寮母を5年やってるの


〇〇:なるほどね〜


真夏:はい朝ごはん


〇〇:あざす!いただきます!


真夏:あなた達みたいな子がいると楽しくて結局辞める理由も見つからないしこの高校に恩もあるからねー、それに…〇〇くんみたいな選手は初めてよ?


〇〇:ん?どういうこと?


真夏:なにするかわからない天才的な選手笑


〇〇:俺天才?


真夏:考え方が面白いのよ、それは人がどれだけ努力しても思いつかないこともあるから、それは天から与えてくれたものよ?それは自信もって?私は梅ちゃんや山下もそうだし若月や生ちゃんも天才的なところあったけど久保ちゃんや珠ちゃんみたいな天才的な努力家もいたからいろんな天才がいるのよ、だからあなたには発想の天才がある。あとはそのために努力を惜しまないで、強くなっていきなさい


〇〇:知らない名前いっぱい出てきたけど…まなっちゃんに期待されたら、頑張らないとな〜


真夏:期待はしてるわよ?でもどんな結果であれ怪我なくここに帰ってきてほしいのが寮母としては一番だからね?


〇〇:ありがとう…まなっちゃんって…


真夏:うん


〇〇:優しくて美人なのになんでモテないんだろうね?


真夏:あれ?ここにデスソースが…


〇〇:無事に帰る前にここから行けないよ?

ーーー

ガラガラガラ…

紗耶:おはよう〜ごめん少し寝坊した…


遥香:おはよう!大丈夫だよ?昨日のうちにほぼ終わってたから


紗耶:スコア整理してたら寝落ちしちゃった…


遥香:私も家帰ってからお風呂入ってすぐ寝ちゃった…


紗耶:疲れてるよねさすがに


梅澤:それを1人でやってたからな与田は


遥香:おはようございます


紗耶:おはようございます!


梅澤:おはよう、準備出来た?


遥香:大丈夫です


梅澤:じゃあ車に乗せて行こう


紗耶:祐希さんって1年から1人でやってたんですか?


梅澤:そうだよ?


遥香:すごいなぁ…


梅澤:あいつは弱音は吐かないタイプだけど時に爆発したしめちゃくちゃ怒られることもやったけど、挫けずにここまでよくやったと思うよ

バタン

梅澤:与田は元々マネージャーとしている予定ではなかったんだよ


遥香:そうなんですか?


梅澤:うちの部は一時的にマネージャーいなかったんだよ


紗耶:そうなんですか?


梅澤:私が監督やる前に部内恋愛でガタガタにした奴がいてね、それでマネージャー禁止にして祐希はそれを知らなくてマネージャーやりたいって言い出したんだよ


遥香:凄い勢い笑


梅澤:いや、天然なんだよ笑知らないのにボケーっとしてるしそもそもマネージャー禁止って言ってるのになんでやりたいんだよって言ったら、たった一言、テニスが好きだからです、それじゃダメですか?だって言われたらもう否定も何もないよ、それで与田を入れた


紗耶:なんかカッコいいけど祐希さんらしいところも笑


梅澤:あいつも色々あったけど宗則とか洋平とかに厳しく育てられてここまで来たからね、3年の結束力は選手だけではなくて与田を含めてのものなんだよ


遥香:そうなんですね


梅澤:だからお前達も3年になった時に同じようになっていたら、インターハイ優勝どころか三冠狙えるんじゃないか?


遥香:三冠…


紗耶:重い…


梅澤:でも目標としては持てる理由はあるぞ?あの2人がいる、そして今回インターハイメンバーに入れなかった中にはいいのがまだいるからな


遥香:もう新チームのこと考えてるんですか?


梅澤:監督としては今を戦いながらも先を見据えてるよ。ただし今はインターハイ中だから先のことなんて考えずにこのチームで勝つことしか見えてないよ


紗耶:先生カッコいい…


梅澤:今は今を楽しもう!


遥香:はい!

ーーー

パアーン!
スパーン!

洋平:俊変わってくれ


俊:はい


洋平:秋也いくぞ!

パアーン

浩介:スー…パアーン


〇〇:タタッ…パアーン!


浩介:ポーン


〇〇:パーン!


浩介:うお!ポーン


〇〇:スパーン!うし!


浩介:遠慮しろ!笑


〇〇:いひひひ笑


宗則:おーす


武博:おはー


〇〇:おはようございます


宗則:先生は?


俊:まだ来てないっす


宗則:了解、武博打とうぜ


安斉:俊空いてる?打とう


俊:はい


〇〇:まぁまぁ調子いいっす


浩介:でも油断すんなよ?次勝てなかったらインターハイに出れないんだから


〇〇:もちろんっす


浩介:よし、終わろうか、戻って水分補給とビタミン剤飲もう


〇〇:そういえばまなっちゃんからバナナとはちみつレモンも貰いましたよ?


浩介:え?俺もらってない!


〇〇:俺の特権じゃ!!


遥香:え…被った…


〇〇:あ、かっきーおはよう


遥香:えーっと…


浩介:賀喜のその左手のやつなに?


〇〇:どうしたの?


遥香:いや…その…


紗耶:美味しそうなはちみつレモン!


遥香:いや!その!ち、違うよ!今日出るみなさんに食べてもらいたくて!


浩介:賀喜…笑


紗耶:もしかして…


遥香:だ、だから!みんなに!


紗耶:はい!〇〇くんにだって!


〇〇:ほえ?みんなにじゃないの?


紗耶:かっきー恥ずかしがり屋さんだから!笑


〇〇:え?いいの?


遥香:えーっと…え、う、うん///


〇〇:おー!じゃあ浩介さんにまなっちゃんのあげます!


浩介:サンキュー!


〇〇:じゃあかっきーいただきます!モグモグ


遥香:ど、どう?


〇〇:おーすっぱ甘い…美味い!


遥香:良かった〜


〇〇:これ食ったら元気になるわ〜ありがとう!


遥香:う、うん///


紗耶:ニヤニヤ


梅澤:なにしてんだ?


浩介:先生おはようございます


〇〇:おはようございます


梅澤:おはよう、練習終わったのか?


浩介:いい感じです


〇〇:調子良さそうです!


梅澤:そうか、それで賀喜はなんで悶えてるんだ?


紗耶:先生〜実はですね!


遥香:やめて!やめて!


洋平:おはようございます


秋也:おはようございます


梅澤:おはよう、寮組が練習終わったのか?


洋平:俊がやってるくらいですかね?


梅澤:今日は少し涼しいから試合はやりやすいな、それでも水分補給はしっかりしておきなよ


洋平:わかりました


梅澤:ところで〇〇は何を食べてるの?


〇〇:はちみつレモンっす!


梅澤:へぇ〜真夏さんの?


〇〇:まなっちゃんのは浩介さんが持ってます、これはかっきーが作ってくれました


梅澤:お?賀喜?


遥香:へ!?いや!これは!


秋也:ダダ漏れだぞ?


〇〇:秋也食うか?美味いぞ?


秋也:お、食べる、モグモグ…美味いよかっきー


遥香:え?あ、ありがとう


浩介:反応が違うぞ賀喜?笑


遥香:浩介さん?


浩介:よーし、もうちょいアップするか〜


遥香:逃がさん!


紗耶:かっきーも素直だね〜笑


秋也:それを天然で全く気づかない〇〇も面白いけどな笑


紗耶:秋也くんはそういうのあったとしてもわからない人?


秋也:恋愛のこと?それなら俺はもう割り切ってるからな〜


紗耶:割り切ってるって?


秋也:今はテニスしてる方が楽しいからね〜


紗耶:秋也くんこの前他のクラスの子に告白されてなかった?


秋也:それなら紗耶だってこの前告白されてたろ?


紗耶:え!?なんで知ってるの!?


秋也:顔真っ赤にしてたな笑


紗耶:見てたのか!!こらっ!!


梅澤:うちに緊張感というのは無いのか…おーい、お前らわかってるだろうけど今日の1試合目からインターハイ決めの試合だからな?少しは緊張というものはないのか?


洋平:適度な緊張はみんな持ってるけどそれぞれで違うからいいんじゃないですか?今年のチームは何しても緩いですよ?


梅澤:宗則がいなくてもなにも変わらないからあと3年はこれっていいのか?


洋平:先生次第ですよ?笑


梅澤:洋平終わったら覚えておけよ?


洋平:マジっすか????


梅澤:それは冗談だけどまぁ去年よりも成績はいいからなこの時点で


宗則:そうっすね


洋平:練習終わったか


宗則:今年は正直あの1年2人のおかげで負けず嫌いに拍車がかかったようなもんですよ?全ペアが最終日まで残ってるのが本当に凄いです


梅澤:それはそうだな


宗則:レベルも上がったし1年に負けてられなかったから3年も気合い入れてました、だからあいつらがこの空気と今のチームを左右してます。むしろあいつらがうるさくなかったらヤバいです


洋平:今日も〇〇なんて緊張してるのか朝早く起きてまなっちゃんと話してましたよ?だから本人達が一番色んなこと感じてますよ


梅澤:時々あいつらに頼ってしまうこともあるけどまだ1年だしな、どこか忘れてしまう


宗則:わかります、浩介が次のキャプテンですけど結局はあいつらが主役ですから


梅澤:浩介が一番難しいだろうなぁ…


洋平:そこを越えられないとあいつもチームも終わります。俺は主役じゃないと受け入れることも大事ですよ


宗則:主役じゃないと思わなきゃいけないのか?


洋平:そういうこともあるって話だよ


宗則:ふーん


洋平:なんだよ


宗則:俺はお前と2人で主役だと思ってるからな、まぁいいや、少し走ってくるかー


梅澤:宗則が主役かもしれないけど、洋平がいなかったらここまでこれなかったと思ってるのかもよ?


洋平:なんか…恥ずかしいです笑


遥香:先生もう少しで始まります


梅澤:よし、集合!いいか?朝から一番大事な試合が始まる。わかってるな?


部員:はい!


梅澤:私は回りながらアドバイスするから。ここで自分達の力を発揮することが出来ればインターハイに行けるし、本選でも勝てるだろう。だからこそ内容よりも結果、そしてよく考えて冷静に丁寧に正確にプレーしよう。自分達を信じて、応援する人も応援の力で全国に連れていけるよう全力で応援しよう!よし!いこう!


部員:はい!お願いします!


梅澤:ふぅ…マネージャー頼んだよ、私だけではなにも出来ない、1人でも多く全国へ連れて行きたい


遥香:はい!


紗耶:わかりました!


宗則:よーし選手集まれ!


洋平:おう


浩介:おーい集合


〇〇:なんすか?


宗則:さてと、お前ら今日までの練習思い出せよ…


〇〇:……


武博:…死ぬ


安斉:思い出したら地獄…


洋平:あー!宗則殴りてぇ!!


浩介:宗則さんがやらかして何度も何度も罰走させられました…


宗則:おい…


〇〇:入部してからまだ3ヶ月なのにこんなにも首を絞めたい人初めてですわ


秋也:そもそもお前も喧嘩に乗るからだろ


〇〇:それは宗則さんが余計なことするからだ!


宗則:だーうるせぇ!ともかくだ!俺らがやってきた練習量と質は間違いなく東京トップだし全国でもトップだ!そんな俺らが負けるわけねぇだろ!だからやるんだよ!俺達は全員全国へ行くんだ!


洋平:まぁ色々あったけど…俺達が一番つえーからな


浩介:俊もたまにはなんか言えよ


俊:勝てばいいだけでしょ


武博:カッコいいな俊


安斉:〇〇も秋也もやるぞ


秋也:当然です


〇〇:いきましょうや!!


紗耶:私たちも頑張ります!


遥香:私がぐるぐる回るのでなにかあったら呼んでください!


宗則:それじゃあ…みんなで…いくぞ!


部員:おう!

ーーー

秋也:準備いいか?


〇〇:トイレもスッキリとしたしあとはやるだけよ


秋也:ならいいか笑


紗耶:ドリンク持ってきたよ!


秋也:紗耶ありがとう


〇〇:あれ?今日は紗耶なの?


紗耶:うん、さっきかっきーが回るって言ってたでしょ?だから私がいるから…って不満?


〇〇:そういうわけじゃない笑


秋也:紗耶の方が色んなところ回ってるイメージだからだろ?


〇〇:ま、まぁ…


紗耶:悪かったわね💢かっきーじゃなくて💢


秋也:怒るなよ笑〇〇って試合前は他のこと気にしてねぇんだよ、目の前の相手のことしか考えてないよ


紗耶:こんな天然物をかっきーはよくコントロールしてるよ…


秋也:コントロールというか無理矢理付き合ってるというか笑


〇〇:よし、審判来たからいくか


秋也:ドリンク飲んでいくぞ


〇〇:サンキュー…ゴクゴク…うし!


秋也:ゴクゴク…紗耶サンキュー…いくか


〇〇:おう!


遥香:あ!〇〇くん!


〇〇:お?どうした?


遥香:バッ!これ!頑張ってね!


〇〇:お!バッ!頑張ってくるよ!


遥香:私行くね!頑張って!


〇〇:おっしゃ!


紗耶:噂のリストバンド?ニヤニヤ


遥香:も、もういくね!俊さんのところ行ってくる!


紗耶:可愛い♡

パァーンパコーン

梅澤:始まりそう?


紗耶:先生、なにか伝えますか?


梅澤:大丈夫、やばそうになったら教えて


紗耶:その場面ありますかね?


梅澤:もしそうだとしたら団体メンバー剥奪だな笑


紗耶:怖い…


梅澤:じゃあこっちは任せたよ

レディ!

秋也:ふぅ…


〇〇:緊張してるな笑


秋也:インターハイ決めの試合だぞ?


〇〇:大事な1試合だけどいつもの試合とも言えるなぁ


秋也:そういえば全中の決勝もそんなこと言ってたな


〇〇:周り見ればお前と応援してくれてる仲間と相手とコートしか見えてねえんだ、なら勝とうぜ


秋也:ふっ…そうだな笑


〇〇:負けたらあのバカに死ぬほど煽られるぜ?


秋也:考えるだけでイライラするな…笑


〇〇:よし、やろうぜ笑


秋也:おう

サービスサイド乃木坂高校 時川・太田組
レシーブサイド早應大付属校 丸山・赤木組
7ゲームマッチ…プレイボール!

部員:一本先行…せーの!

一本先行!

秋也:スー…パァーン!


丸山:オラー


秋也:パコーン


赤木:ごめん!


丸山:ふっ!


〇〇:パコーン!よっしゃー!


紗耶:ナイス!

ナイスボールもう一本!

秋也:ラッキー


〇〇:ナイスボール、次も


秋也:おう

1-0

秋也:スー…パァーン


赤木:パコーン


秋也:パァーン


丸山:ポーン


秋也:タタッ…スポーン


紗耶:上手い!


丸山:ふっ!


〇〇:タッタッタッタ…パァーン!


秋也:おっしゃーナイス!


〇〇:よっしゃ!ナイス!

ストレート展開からの逆クロスへ速いロブ打ってスマッシュで叩く、いい一年生ペア

2-0

〇〇:スー…パーン

フォルト

〇〇:スー…ポーン


丸山:パーン!


〇〇:ポーン


丸山:くっ!スパーン


〇〇:タタッ…パーン!おっしゃ!


紗耶:あんな上手かったっけ?


梅澤:あれくらいはやるよ〇〇は


紗耶:先生


梅澤:そもそもムラっ気がある選手だからあんまり思われないし秋也が目立つ試合が多い時は〇〇が手を抜いたりしてるように見えるからね


紗耶:でも実際は結構動いたりしてますよね?


梅澤:気づかないんだよ、本当に気になるのは〇〇だってことがな


紗耶:なるほど…


梅澤:じゃあ私はいくからこのままでいけって言っておいて


紗耶:わかりました


〇〇:あれ?先生なんだって?


紗耶:あれ?1ゲーム目終わったの?


秋也:スコア係見てろよ笑


紗耶:わぁ!ごめーん!!

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