見出し画像

共通テスト日本史について〜資料問題との向き合い方〜

センター試験が終わり、新しく「大学入学共通テスト」(以後、「共通テスト」と略す)が始まります。2021年1月16日(土)・17日(日)がその第1回ということになります。では、どのように変わるのか、そして、そのためどのような「対策」が必要になるか、説明いたします。いうまでもなく、ここでは日本史に絞って説明いたします。

共通テストがどのようなものになるのか、私たちは2017年と2018年の試行調査からうかがい知ることができます。そこから言えるのは、

文字史料・グラフ・絵画など様々な資料を用い、歴史の基本知識をふまえ、多面的に考察し、初見の情報と向き合う問題が増える

ということです。

とりわけ「資料」が重要になってくるというのは、多くの先生方や予備学校関係の方が言われていることです。2018年試行調査に限って言えば、全体の半分近くがグラフ・絵画・史料など資料の読み取りを求める問題でした。(裏を返せば、半分は資料問題ではないということ。だから資料対策だけやるというのは危険です。)

私は、まえにこちらで、歴史学習において覚えるため、忘れないためにどうしたらいいか、説明しました。そこでいいたかったことのひとつは、

感情を動かしながら繰り返し向き合う。

というものでした。では、感情を動かす上で必要なことはなんでしょうか?それは学習する対象のことをイメージすることです。近代であれば、歴史上の人物の画像ぐらいすぐに出てくるはずです。なかには動画が残っているものだってあります。

教科書にある「縄文土器」といっても、具体的なイメージができなければ覚えることはできません。だから写真を見たり遺跡のある場所を示した地図を見たりするのです。こういったことは、歴史学習をする上での基本です。教科書だけに向き合ってその内容を理解し覚えることなど不可能です。教科書で書かれていることの内容を具体的にイメージするために、授業や図版などがあるのです。

たとえば、ほとんどの図版には官位相当表が載っています。あの官位相当表は覚えるためにあるのではありません。律令の位階制のイメージをつかんだり、教科書にある知識の肉付けのためにあるのです。官位相当表を通して、具体的に位階がどれだけあったのか、位階と官職の対応はどういったものであったのか、などをイメージするためにあるのです。また、あの官位相当表を見れば「国司になるのは中下級貴族」という知識の肉付けにもなるのです。

文字資料も同じです。『隋書』倭国伝の資料を通して、607年の推古朝の遣使で隋皇帝が怒っている様子を知り、イメージをつかみ知識を肉付けするためにあるのです。

こういった様々な資料を確認しながら学習することは、特殊なものではありません。むしろ王道の学習です。そして、知識を定着させる上では不可欠なことであり、効率的なことでもあります。

共通テストに話を戻しましょう。私は共通テスト日本史の資料問題は、こういった文字史料・グラフ・絵画・地図など様々な資料を用い、イメージを掴みながら進める歴史学習の延長にあると考えています。

大事なことなのでもう一度言います。

資料問題で確実に点を取るためには、普段から図版を使い様々な資料を確認してイメージを掴みながら学習を進める

ことが大切です。

図版は山川出版とうほう浜島書店などがあります。山川出版の図版は、対応する教科書のページが書かれているので便利です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?