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宇宙業界が求める人材について

Twitterに次の記事テーマを募集しました。(投票してくださった5人の皆さん、ありがとうございました!)
本当に僅差ではありましたが、「宇宙業界が求める人材について」というテーマに一番票が入りましたので、今回はこれをテーマに記事を書かせていただきます。

結論からお伝えしますと、他企業でも活躍できる人材はもちろん宇宙業界でも活躍することができると思っています。しかし、独特だと考えているのは、「我慢」が重要になってくるということ。

「我慢」はいろんな意味で必要だと考えています。今回はこの「我慢」についてお話をさせていただきます。

※今回の記事について私の私見を述べています。
全員が全員おごり高ぶっているわけではありませんし、宇宙ビジネスをやっている人に喧嘩を売っているわけではないので、このあたりはご理解いただきたいと思います。


実際にやっていることは泥臭いということ

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これは事務系、技術系限らず共通することです。

宇宙業界ってとにかく審査ゲートが多いです。
国の予算を使って宇宙開発を行うJAXAが審査を行うことが多いわけですが、これにはJAXAのみならずメーカーなども関わります。

いざ審査会を行うとなると、会そのものの準備もありますし、一番大変なのは資料作成です。
そして審査を受けたら受けたで審査員から屁理屈に近いようなことも言われることもあるわけです。

これを聞いただけでお分かりかとは思いますが、「ザ・宇宙」とはかけ離れた仕事もたくさん行わなければならないのが実態です。


それに現状、JAXAにいけばたしかに宇宙開発を行うことができるかもしれないですが、JAXAはメーカーではないので、ものづくりはまったく行わないです。
ということは、ものを触りたい人はメーカーに行かなければなりません。

一方、メーカーでものを触れるやりがいはあったとしても、宇宙開発の根幹に携わることはできないわけです。
ロケットの詳細設計などはJAXAが最終決定をし、国から予算をもらって開発を行っていくという流れになるわけなので、メーカーが甲乙関係の甲になることはありません。

これはベンチャーに行けばすべて解決できるかもしれませんが、ベンチャーに行くと常に資金との戦いになります。
投資家を意識した開発がどうしても必要となってくる場面もあるので、本当に自分のやりたいことに熱中できる場が待っているかどうかは分かりません。

つまり、どこにいこうが「隣の芝生が青く見える」ことはよくあると思います。

自分のやりたいことはすぐできない可能性が高いこと

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これは社会人の人であれば、耳たこだと思います。別に宇宙業界に限らずどこも同じだと思っています。
そもそも入社してから自分で配属を選べることはほとんどありません。企業の人事が適性などを考慮して配属を行うわけです。

となると、技術系の場合はよく起こる現象ですが、初期の配属が自分の希望しないところでもなかなかそこから抜け出せなくなるということです。
(技術系の場合だとそんなに頻繁にジョブローテーションを行わないですからね、もちろん企業によりますが…)

そうなると、自分のやりたいことができるまでしばらくの我慢が必要になります。
これは大企業であろうがベンチャーであろうが雇われである以上、仕方のないことだと思います。

しかし、この仕方のない現実を受け入れられない人はたくさんいます。

決して自分の力が足りないわけではないのに、自分の力が不足しているせいで自分のやりたいことができないと悩んでしまう人。

自分はこんなことがやりたくてこの企業に入ったんじゃないと思い、その企業を去る人。

私の個人的な考えとしては、自分の精神を追い込んでまでその企業にすがる必要はないと思っています。自分で自分を守ることも必要です。
しかし、企業に期待をし過ぎていて、企業が自分の求めるものを出してくれないからという理由だけでいろんな判断をするのはちょっと違うなと思います。
他人への期待が大きい人は結局次の企業に行っても同じです。(少なくとも私の周りで会社を辞めていった人たちはそうでした…)


少し話が逸れましたが、じゃあ一部署耐えれば自分がやりたいことをやれるのかというとそうでもないです。(学生の皆さんには残酷な現実を突きつけます笑)
計画管理や予算のお仕事をやりたくないなと思ってもそっちが向いていると企業が判断すればそっちになる可能性が高いです。もちろん本人の希望もある程度は聞いてくれると思いますが…


しかし、実態として玉突き人事、つまり自分の行きたいポジションに空きができてやっと入れるというふうにジョブローテーションを行っている企業が多いのではないでしょうか。
こうなるとタイミングなども大切になってくるわけです。

ですので、やりたいことができるという保証はない。
だからこそ、今後副業が解禁されていくようであれば、自分の興味あることに挑戦することが必要です。
こういったチャンスを逃す人はいつまで経っても自分のやりたいことはできないと思います。


想像以上に業界の進みは遅いことを認識すること

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宇宙は良くも悪くも業界の進みが遅いです。

ネットワーク系のビジネスであれば、数年で大きく跳ねることもありますが、宇宙はそうはいきません。

結局、一般大衆が宇宙を利用するまでに至っていないことが根本原因であると考えています。


スマホでいろんなアプリは利用しても、宇宙を利用してなにかやっている意識って一般消費者にはないじゃないですか。
もちろん気象衛星や測位衛星などなくてはならないインフラ的な存在もたくさんあるんですけどね。
でも自ら金を払ってまで使いたいという宇宙系のサービスって特にないと思うんですよね。

これは我々宇宙業界に携わっている者に責任があると私は思うわけです。

宇宙ビジネスやりたい、となると、みんなハードに行っちゃうじゃないですか。
衛星開発、ロケット開発、宇宙関連機器の開発、ハードの製作支援などなど。

これか宇宙コンサルとか結局ハードがないとほとんど何もできないようなビジネスばかり。

みんなハードにこだわりあるのは分かるんですが、もっと宇宙をツールとして利用するところに重きを置かないとずっと進歩しないままだと思うんですよね。

例えば、宇宙教育。
もっと自治体に寄り添ってやってみていいと思いますし、こういったソフトなサービスの積み重ねが宇宙業界の進歩を速めていくと思います。
教育業界はプレイヤーが多いので、スピンインも期待できますしね。
(このあたり私が今実際にビジネス化できないか考えているので、あまり深くは語らないようにしますね笑)

あとは宇宙のゲームとはアニメとかでもいいんですよ。
そもそも宇宙に興味持っている人なんてほんと一握りなんだから、宇宙に対して消費したいと思わせることから始めるのが重要だと思っています。

いろいろと語ってしまいましたが、とにかく既存の宇宙関連企業に入っても業界の進みは非常に遅いです。
これを「我慢」するのか、「打ち破ろう」とするのかはあなた次第。


おごり高ぶっても意味がないこと

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最後にこれ!
宇宙関連企業に勤めている、または宇宙関連の研究をしている自分が大好きなそこのあなた!
非常に危険だと思います。

別にすごくないですよ、あなた。
本当にこれを認識することが大切です。

外に行くとニッチな業界にいるがゆえに「すごい仕事をしている」と思われがちかもしれません。
でも実際にやっていることってメジャーな業界の企業とそんなに変わらないのが実態ですよね?

こういった自分はすごいことをやっているという驕りが成長を止めます。

宇宙に対して過度なプライドは必要ありません。
現実を正しく見ることが必要です。


さいごに

精神論のようなところも多くなってしまいましたが、私は最低でもこの4つの「我慢」が必須だと思います。
(4つ目は人としてやってはいけないことだと思いますけどね。)

もっと実態を知りたい人はお気軽にTwitterでDMなどください。
たくさんお話しましょう。

私は現状にまったく満足していません。
ですので、ずっと我慢をする気もありません。

私としては少しでも高い志を持つ人が宇宙業界を目指していただけるとうれしいです。
そしてどんどん新しいことを共に行っていければと思っています。






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