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小雨の中の声

少し、玄関の外に出た。23時頃だったか。
玄関前に用があったのもあるが、様々なフラストレーションが高まっていて少し気分を変えたいという思いもあった。
雨粒が顔を打ったが、それは軽く小さく、気になるほどでもなかった。

ホッ…ホッホッ…ホッホッ……

耳を澄ませた。しばらくしてもう一度聞こえたその声は、紛れもなくアオバズクのものだった。

今年も来たか。
当然世代は変わっているが、ずいぶん長い付き合いになったものだ。今年もまた聞けることをありがたく思いつつ、良いとはいい難い営巣木の状況を考え先が心配にもなる。今年も繁殖が成功することを祈りたい。

1時間後、もう一度外に出た。この記事に添える写真を撮ることが目的だったが、アオバの声はまだ聞こえていた。
見に行きたい気持ちを抑え、玄関に戻った。まだ早すぎるよね、見に行くのには。まずは余計なプレッシャーに晒されることなく、例年通り定着してね。

物干し竿には雨粒が増えていた。
しかし、雨はさらに弱まり、アオバの声は前よりはっきりと聞こえていた。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

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