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神戸空港国際化について

神戸空港とは

神戸空港(こうべくうこう、: Kobe Airport)は、兵庫県神戸市中央区に位置する空港。運営は関西エアポート神戸株式会社が行う。愛称はマリンエア。(出典 Wikipedia)

参照 Google Map

神戸空港スペック

所在地:兵庫県神戸市中央区神戸空港
母都市:兵庫県・神戸市
種類商業運営者:関西エアポート神戸
運用時間:7:00 - 23:00
運用本数:1日80便(上限)
開港:2006年2月16日
拠点航空会社スカイマークフジドリームエアラインズ
敷地面積:156.5ha
標高:5.486 m (18ft)
滑走路:2500m X 60m
ILS:I
方角:09/27(真東ー真西)

神戸空港ができるまでの経緯

1969年 伊丹空港の騒音公害問題を受け、新設移転の方針が決まり、候補地検討がはじまる。(このとき、候補地として、播磨灘(姫路明石間)、淡路島、泉州沖を想定さていたが、アクセス面から神戸沖も有力視されていた)
1972年頃伊丹空港の騒音公害裁判がおき、社会情勢もあり革新勢力に力があったタイミングで1973年空港問題を争点とした神戸市長選挙が行われ、それまで自民共産社会から支持を受けていた宮崎市長が空港建設反対としたことで、自民党が賛成派候補を出したことで対決選挙となり、現職の反対派宮崎市長が当選し、神戸沖は反対となり、翌年泉州沖が有力候補となった。
ただ、同タイミングで、公害問題が社会問題となっており、各自治体からも反対の議決があり混沌とした。
1980年代になると、航空機の静音化や社会情勢、経済対策として空港が見直され、反対していた地域から誘致運動が起き、それは反対運動の激しかった伊丹空港でも存続運動が起きるほどであった。
1987年に関西国際空港が泉州沖で決まり着工が始まる。その後も神戸沖への空港建設運動があるなか1994年 関西国際空港が開港。翌年1995年に阪神大震災が発生。
復興振興の対策として建設が議論され1998年より環境アセスメントを開始、1999年埋め立て許可、埋め立てが開始。2001年賛成派の矢田市長が当選、2003年市議会でも賛成派議員が占め工事は加速。
2006年2月開港、日本航空、全日本空輸がそれぞれ1日10便、スカイマークが1日7便。

歴史的経緯により政治的規制

上述の通り、神戸空港建設には紆余曲折があり、また開港した2006年当時は関西国際空港の発着数がまったく伸びず、大阪市内から遠いことや、その莫大な建設費用について批判が集中していた。そのため神戸空港は、自主規制と言うかたちで、海上空港にもかかわらず、運用時間は7時から22時、1日発着数60便(30往復)、国際便やチャーター便の禁止とされ、宝の持ち腐れ状態が続くこととなった。そんな中、日本航空の経営悪化がおき、日本航空は神戸空港から撤退することとなった。幸いスカイマークがその発着枠を利用して、長崎便などを充実させることで一定の利用者数は増加した。

政治的に動く

 2016年 神戸市は 神戸空港の運営権を42年間のコンセッション方式で売却すると発表、同時期に伊丹・関西空港の一体運営を開始した関西エアポート社への売却を視野にしているものと思え、結果的に関西エアポートを含む企業グループが落札し、2018年より関西エアポートの子会社である関西エアポート神戸が民間運営を開始した。
 3空港一体運営が開始されることとなり、吉村大阪市長、井戸兵庫県知事、松井大阪府知事より相次いで関西3空港懇談会の開催を希望する声があがり、2017年に開催を視野に、神戸空港の規制緩和について議論がはじまった。
 そんな折、2018年9月に台風21号が関西地方を襲い、関西国際空港連絡橋がタンカーの衝突により通行できない事態や、高潮による電源設備の水没などで、関西国際空港が機能不全に陥ったことでバックアップとしての神戸空港のあり方が再注目さることとなった。
 2018年末に8年ぶりに関西3空港懇談会が開催され、2019年5月の懇談会において発着枠60便から80便、22時までが23時の延長が認められ、2025年までに国際化については追加検討という方針となった

規制緩和

2020年から順次発着枠が拡大され夏にはスカイマークが増便、10月からフジドリームエアラインズ(FDA)が新規就航し、増枠20便は使い切ってしまう。これについてはさらに増便について今後求めていくこととなった。
運用時間は2021年3月末よりスカイマークが羽田空港便の最終便を遅らせ、22時過ぎ着で運用を開始した。

国際化合意

関西、大阪(伊丹)、神戸空港の役割を官民で話し合う「関西3空港懇談会」が18日、大阪市内で開かれ、2030年前後に神戸空港に国際線の定期便を就航させることで合意した。発着回数の上限は1日40回とする。国際定期便に先立ち、大阪・関西万博がある25年に国際チャーター便の受け入れを解禁する。神戸空港の国際化は、3空港の中で「関空優先」の役割分担から長らく不可能とみられていたが、将来的なインバウンド(訪日客)の増加を見据え、事態が転換した。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202209/0015651413.shtml

神戸新聞 2022年9月18日記事

神戸市は長年 神戸空港の国際化を希望していたが、開港以来低迷していた関西国際空港との兼ね合いもあり、認可されずにいましたが、2022年9月の「関西3空港懇談会」において、条件付きであるものの国際化の合意が得られたといいます。

国際化したらどうなる?

2025年より、国際チャーター便から開始し、2030年(概ねIR開業前後と思われる)から国際化を実施する予定となり、それに合わせて国際線ターミナルなどを整備することになる。
また、現在1日80便(往復)に限定されている発着枠を2025年までに120便とし2030年には国際線枠として+40便の160便とすることなります。

神戸空港国際化のメリット

まず、2030年には関西国際空港の国際線需要が逼迫すると思われ、近距離アジア枠の一部を振り分けることができる。
また、国際都市神戸としての知名度を上げることができ、ポートアイランドや三宮などへのオフィス需要が向上することが考えられる。
さらに、新幹線の駅である新神戸駅まで9.3km タクシーでも20分以内、電車で乗り継いで35分程度と神戸空港を拠点として中国地方や関西、中部地方へのアクセスが大幅に改善でき、国内外から需要があると考えられる

どこ便ができる?

神戸空港は現状2500m(約8200ft)の滑走路を所持しており、ボーイングB787やB777,エアバスA330などの発着が可能であるが、より遠方に飛ぶためにはその分燃料を多く積む必要があり、荷重が増えると滑走距離が必要になるため、一般的なボーイングB737-800で想定すると、航続距離は約5000kmの距離となる、その距離であればアジア諸国(シンガポール、タイ、インドネシア)、グアム、サイパンまでいける。また定員を減らし、航続距離を伸ばせばハワイ(6770km)までいけるぐらいの距離になります。また、兵庫県の重工業企業などからインドへの直行便の期待もあります

国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001158583.pdf
直線距離(Google Map)

これからどうする?

国際線ターミナルビル建設が必要

国際線ターミナルビルの建設費用は概ね80~100億円程度が必要となる
また、CIQ施設(検疫)の設置も必要になるため2030年に向けて建設する予定。

【参考】 
那覇空港 国際線ターミナルビル 事業費80億円 2014年供用開始
中部空港 LCCターミナル  事業費80億円   3万平米
福岡空港 国際線ターミナルビル 事業費500億円 2025年共供用予定 13万6千平米

土地利用について

国際線ターミナル予定地としては既存国内線ターミナルの東になると思われ、西側空き地は国内線ターミナルの拡張に使われると思われる。
また、その他用地にも空きがあるため、拡張を想定して別場所に作られる可能性もある。
またポートライナーの車両基地を空港島に作る計画があり、空き用地売却や8両化が進めば神戸空港西駅(仮称)の新設ともに作られる予定となっている。

神戸市企業誘致推進本部 資料(筆者加筆)

空港アクセスの改善に向けた動き

ポートライナー8両化

ポートライナーとは三宮駅からポートアイランドを経由して神戸空港までを結ぶ、無人運行ができ、レールではなくタイヤで走る列車である。
ここ数年の企業進出や大学の開校により、飛行機の発着が多くある朝7時~8時台は2分に1本にも関わらず、積み残しが出るほどの混雑となっている。そこで現在6両の車両を8両化する計画である。一番懸念であった三宮駅ホームの拡張だが、隣接する商業ビル(OPA)が建て直しとして現在更地化されており、物理上可能なことで実現性が上がっている。しかしながら総事業費は数百億円必要(試算では600~800億以上)と言われております

ポートライナー新神戸延伸案

ポートライナーは現在三宮駅が終着となっているが新神戸駅まで伸ばすことで新幹線との連携がはかれる期待がある。
費用対効果及び地下鉄との競合もあり、現在は予定していないと久元神戸市長は言及している

ポートライナー 新神戸延伸案

連絡橋

神戸空港へ行く唯一の連絡橋である神戸スカイブリッジは2022年から現状片側1車線となっている車線を片側2車線にする拡幅工事を行っている。
現状でもそんなに渋滞のない道路ではあるが、これにより例えばバス専用車線とするなどの設定ができ、バス路線の拡充となり、アクセスの改善ができる。

神戸港港島トンネル延伸

新神戸トンネルから国道2号線、ポートアイランドへの神戸港港島トンネル間は信号が多く渋滞が常にひどい箇所であったが、神戸市は2022年よりようやくトンネル延伸事業を着工すると発表しました。
これにより、三宮や新神戸駅からのバスは2~3分程度時間短縮(現状20分程度)が見込めれます。事業費は数百億円と見込まれている。

2022/2/8 21:25神戸新聞NEXT

神戸市は2022年度、新神戸トンネルをポートアイランドに延ばす事業に着手する。市中心部とポーアイを地下で結ぶ神戸港港島トンネルに直接つなげ、三宮周辺の渋滞を解消。建設中の大阪湾岸道路西伸部や神戸空港へのアクセスを良くし、物流の円滑化や観光誘致を図る。

2022/2/8 21:25神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202202/0015047997.shtml

高速鉄道(軌道鉄道)案

高速鉄道(つまり普通の鉄道)案についてはまだなにも動いていないのでざっくりと書いておく

1.神戸市営地下鉄山手線三宮から分岐
2.阪神、阪急、JRいずれかの 灘駅(または 春日野道駅)付近の分岐
3.和田岬線の延伸

また神戸空港を経由して海底トンネルを建設し関西国際空港へつなぐ案もある、この場合 神戸空港が関西国際空港第3ターミナルとしての運用もできると思われる

いずれにせよ、鉄道延伸で2000億円ほど、関西国際空港までだと5000億円とも8000億円はかかるのではないかと思われるため実現性は薄いとおもわれます。

実は神戸空港はこんなに近い!

大阪の人にとっては行きなれた伊丹空港がある故に神戸空港は敬遠しがち、でも実は以外に神戸空港は近いんだぞという話をちょっと書いておきます

大阪駅から電車で最短1時間以内!

大阪駅から三ノ宮駅まで新快速で21分、三ノ宮駅から神戸空港駅まで18分、乗り換え時間を含めても1時間かからないのです。
同じ条件で、阪急梅田駅から伊丹空港までは阪急で蛍池駅まで19分、モノレールに乗り換えて4分、乗り換え時間を含めると概ね30分です。
モノレール伊丹空港駅から各航空会社の出発窓口まで10分程度歩きますので
40分程度でしょう。

新幹線駅から20分!

山陽新幹線 新神戸駅からバスで20分以内となります
中国地方からアクセスは抜群です

阪神高速道路 湾岸部西伸でアクセス改善

現在は大阪方面のシャトルバスは運行されていませんが、国際線が就航すると多くのシャトルバスが運行されることが予想されます。
その際問題となるおは日本一ともいわれる阪神高速道路 神戸線の渋滞です。しかし2030年後半に湾岸線がポートアイランドから神戸長田まで伸びてきます、場合によってはポートアイランドまでを先に開通させるかもしれません。そうなれば、神戸空港から難波までほぼ渋滞もなく50分程度で到着できます。その頃には淀川左岸線の完成も予定されてますので、梅田方面、新大阪にも同様の時間で到着可能となります。

筆者記事 未来プロジェクトより

海にある空港の強み

神戸空港の最大の特徴は海に浮かぶ島です。つまり海上アクセスが利用可能です。
2025年大阪関西万博やIR予定地になっている夢洲まで15kmしかなく、高速フェリーで20分で行くことが可能になります。
また、関空ー夢洲ー神戸空港ー兵庫県播磨地区 への観光ルートも新規でできることも期待できます

神戸空港の致命的問題

離陸着陸航路

神戸空港航路(赤線)
国土地理院地図 周辺空域

図のように神戸空港への航路は離着陸ともに明石海峡上空を通るように設定されております。これは騒音対策のために一定高度以下は陸上を飛ばないという取り決めがあるからです。また、大阪方面には伊丹空港の航路があるため、すべての航空機は一旦加古川市明石市方面から明石海峡を通過し神戸空港に向かうルートになっています。このため、離着陸が重なる時間帯はどちらかを待つ必要が出てきます。
現在 朝7時台 出発6便 到着1便 8時台 出発4便 到着4便 と概ね1時間に8便(21時台は10便(出発2 到着8)あるが)の運用となっている。これは想像するに着陸に4分、離陸に3分の時間を想定して8便なのかもしれない。毎時8便として、7-23時運用で128便が運用上の上限と思え、今後120便から160便とする場合は、関西空港や伊丹空港との航路の再編や運用時間を24時間にするなどの対応が必要だろう

まとめ

私がざっくりまとめただけで、神戸空港国際化には1000億近い費用が必要となってきます、当然神戸市だけですべてを補うわけではありませんが、少なくても数百億円の市税(特別会計)が使用されることとなります。
神戸市にそれを見合うメリットが有るのかというのが甚だ疑問に感じていrます。
 インバウンドで湧いた 豪華クルーズ船ですが、神戸港へ寄港してもお客様の殆どは大阪方面または姫路城の観光に行ってしまい、神戸にはほとんどこなかったというデータもあります。
先に述べたように 海上アクセスで夢洲IRへ行きやすいとなると 神戸空港到着後、三宮に足を踏み入れることなく大阪の夢洲に行ってしまいます。
また同様に新神戸駅とのアクセスの良さも魅力ですが、この場合も三宮は通過されるだけです。神戸市はこの莫大な費用について市民に説明する必要がありますが、なによりも魅力があり”立ち寄りたい街””泊まりたい街””また来たい街”への積極的な投資が必要だと感じます。
 私個人的には国際線ができれば利用するであろうが、若干疑問をいだいておるところであります。それに、吉村大阪府知事を始め、大阪自治体長は関西空港の問題もあるため、神戸空港の国際線化は関空が一杯になってからだ!などと言っています、これについても自分のことしか考えてないのだと思えます、2030年に国際化するのであればもう準備を始めていかないと行けないわけで、準備したにも関わらず関西国際空港に余裕があるから国際化お預けねなどと言われては困るわけです。はっきりと決めていただきたい。

参考文献

神戸市HP 神戸空港について(Q&A)(令和2年度決算反映)https://www.city.kobe.lg.jp/z/kowankyoku/kurashi/access/airport/question.html

関西散歩ブログ

未来へ羽ばたく神戸空港


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