テンセント10~12月期3割減益 党の意向、業績を左右

増収減益の原因は、稼ぎ頭のゲームが当局の新作認可を得られないためで、これは不可抗力である。テンセントのゲーム事業は、今後も比重は低下していく。高収益部門だったため、その過程で全体の利益率に影響を与えるのは仕方がない。

すでにテンセントに関わるニュースは、①WeChat、 ②投資、③金融に関わるものがほとんどである。ゲームは主役ではない。

①は、WeChat のミニプログラムが、スマホアプリの在り方を変えている。いちいちアプリをダウンロードする必要がなくなり、WeChat自体が新しいOSと化しつつある。最近では「好物圏」という機能を追加し、ネット通販にも近付きつつある。

②は、この10年間で700社以上に投資し、そのうちすでに63社が上場、企業価値60億元以上の会社は122社に及ぶ。アリババ以外のネット通販大手をほぼ囲い込み、OMOでもアリババに対抗する一大勢力だ。動画視聴、音楽などゲーム以外のエンタメでも支配的存在である。テンセント内でも最も神秘的部門、と称されている。

③は、系列の中国初のネットバンク「微衆銀行」の業績は絶好調、アリババと呉越同舟で設立したやはり中国初のネット保険「衆安保険」は、全保険会社中13位にまで駆け上がった。また国有四大銀行の1つ「中国銀行」と提携、直近では保険大手の中国人民保険との戦略提携を発表した。

もはや各部門の売上の消長を見ていれば理解できる存在ではないのだ。ゲームでは国家に生死を握られていても、一方では国有大企業が、AI戦略やビッグデータを求めて、門前に列をなしている。逆に国家のカギを握っているのだ。

テンセントに関しては、広く活動の全貌を見ていきたい。


コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/