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中国メディア2018年の十大ネット用語を発表。「仏系」に注目!

12月下旬、国家語言資源監測与研究中心が「2018年度十大網絡用語」を発表した。「網絡」はインターネットの意味で、このランキングはインターネットで流行った10の単語ということ。「錦鯉」「杠精」「skr」「仏系」「確認過眼神」「官宣」「C位」「土味情話」「皮一下」「燃焼我的卡路里」が選ばれた。

■順当な1位~3位

1位 錦鯉

微博(Weibo)の懸賞募集で使われた錦鯉のマークに由来する言葉。当選者は「中国錦鯉」と呼ばれてネット上で話題となった。ここまでなら微笑ましい光景だが、前もって当選者が決まっていたという噂が立ち、一気に炎上。「錦鯉」人気がますます急上昇し、幸運の象徴となった。上昇志向は相変わらず強し。

2位 杠精

2017年のテレビ番組『中国有嘻哈』をきっかけに広まった言葉。「自分の見方を変えず、どんな事情でも争いにしてしまう人たち」という意味。客観性とは無縁で、他人が何を言っても反発する。そうしないと自分の存在を確認できない。何とかして優越感を得ようとする。自分の姿を見ているようでおかしかったのかも。

3位 skr

人気歌手『呉亦凡』の口癖から広まった言葉。もともとは「タイヤのきしむ摩擦音」を表す擬音語だが、「感心した気持ち「や「賛意」を表すようになった。言語感覚に訴えるので外国人にはわかりにくいが、日本で使われる「www」のようなもの(少し違うか)。

■世相の変化を映す「仏系」

4位 仏系

2014年に日本の雑誌『ノンノ』が紹介した「仏系男子」から広まった言葉。2017年に中国のSNSに登場すると、すぐにネット上を席巻した。今では仏系男子、仏系子女、仏系父母、仏系生活、仏系乗客、仏系従業員、仏系恋愛、仏系飲食などと、なんでもかんでも「仏」が付くようになった。文化的に重要なので、押さえておきたいトレンドだ。

たとえば、仏系青年。これは「浮世に嫌気がさし、達観した男子」のこと。90后(90年以降に生まれた世代)の「仏系青年」たちの背景はこのような感じだ。

高度経済成長とともに育った。物質も財産も豊かになる一方で、物質的な欠乏感はなく、欲求も比較的小さい。物質の所有に関して前世代ほど敏感ではない。

つまり、中国の90后は冷めている。子供をよい学校に入学させ、せっせと毎日送迎しても、子供の将来は普通の人と変わらない。こんなに疲れることはない。親の世代が自分たちにしてくれたことには意味がない、と見切っているのだ。

また、努力して成功するのは、10年、20年前よりはるかに難しいと感じている。戸籍、マンション、教育、医療、社会保障等、彼らの背負う負担は巨大になるばかりだからだ。そこで、無理に上昇を指向せず、平淡で安穏な日々を送りたい。こういう感覚が広く支持を集めているのである。

この傾向に対して、無気力だとして警鐘を鳴らす言説も多い。「仏系」が負け組となって社会から顧みられない存在になっていくのか、あるいは、中国社会全体が達観するようになるのか。いまのところ、「錦鯉」狙いで「杠精」の方がまだまだ勢いがある感じだが、何が起こるか分からない中国だけに、「仏系」にも注目しておいた方がいいだろう。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/