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毎日ナナしゃん ~After Story~ (121)

※この記事は重大なネタバレを含みません





 私、キョウヤ、モエ、そしてコハルとヒヨリを合わせて計五人。順に梯子を上り、地下室を出る。だが問題が二つあった。
 
「柊。ここの入り口はどうする?」
「あ……」

 なんとか開くことはできたものの、閉め方が分からない。いくら人気が無い倉庫とはいえ、誰かに侵入されない保障はない。一応手動で扉を閉じることは可能だが、力を入れると簡単に開いてしまう。これでは、どうぞ入って下さいと言わんばかりの状況である。

「何か適当に板でも置いて隠しておくのはどうかしら?」
「そうだな、なるべく避けたいが……最終手段だな」

 私とコハルが唸っていると、モエが地下室の扉目がけて走ってくる。何事かと思いよく見ると、大きなコンクリートブロックを両手で抱えるようにして持っている。
 
「モエちゃん、何をして――」
「ええーーーーーーーい! です!!」

 ごおん! と音を立ててブロックが衝突する。扉立て付けが少し歪んだ。
 
「おい真壁、何のつもりだ」

 キョウヤがモエの肩を掴んで抑えつける。モエは足をばたつかせて抵抗した。
 
「ドアを開かないように歪ませるです! そうすれば、誰も入れないです」
「そんな無茶苦茶な――……いや」

 案外、理にかなっているのではないか?
 この地下空間の存在に気付く人間はそういないだろう。だとすれば、偶然立ち入った人間の目を誤魔化せればいい。
 どうせ私達は人数がいるので最終手段として物理的に扉を破壊することができる上、ジンの救出に成功すればテレポートなり何なりで簡単に中に入ることができる。
 
「そうですね、やっちゃいましょう!」
「……ねえお姉ちゃん、しばらく見ない間に柊はおかしくなっちゃったのかな?」
「だめよヒヨリ。あまり見ないで」
「おい何だ二人とも。あとキョウヤさんもそんな引き気味で見てないで助けてください。あの、聞いてますか?」




つづく

ちゃんとしたキーボードが欲しいのですがコロナで収入が吹っ飛びました