ゾンビランドナナ #025

 アパートに戻ってしばらくして、ミチルが目を覚ました。
 あんな話をした後なので気にかけていたが、何事もなかったようで安心した。
 
 帰りに買ってきた食材を冷蔵庫にしまう。コハルに不摂生を指摘されたからではない。ただの気まぐれだ。
 冷蔵庫を閉めると、ミチルがこちらを覗き込んできた。
 
「どうしましたか?」
「いえ。ナナしゃん、昨日はなんだか不安そうな顔をしてました。今日は元気そうで、わたし安心しちゃいました」
「それは......」

 気のせいだろう。だって、今日は仕事があった日よりも疲れている。
 情報量の多い一日は疲れる。
 謎は増えた。だが、確かに胸につかえていたものが落ちたような感覚はあった。
 
 どうして?
 狙われているのがミチルではなく、柊ナナだと分かったから?
 
 今の柊ナナの目的は、犬飼ミチルと、ミチルとの生活を守ること。
 だったら――
 
 いや。やっぱり、気のせいだ。

ちゃんとしたキーボードが欲しいのですがコロナで収入が吹っ飛びました