ゾンビランドナナ #021

 何度かコンビニの派遣に行き、何度か私用でコンビニに行った。
 先立つものがない生活は瞬く間に時間が過ぎるが、先立つものがある生活は光の速さで時が経つ。
 
 週末。
 前日は少し多めに酒を飲んだ。コハルが置いていった酒だ。
 そのせいか、起きたら夕方だった。
 急いで身支度をする。ジャンパーを着て玄関を出ようとする。
 ミチルはまだ眠ったままだ。少し肌寒くなってきたことに気付き、タオルケットの上から薄い毛布を掛けた。
 
「行ってきます」

 返事は無い。
 
 喫茶店までは歩いてすぐである。
 自転車があればもっとすぐだ。なんならコハルのバイクに迎えに来て貰いたいところだが、渡されていた番号に電話をかけても応答は無かった。

 たまにはコンビニと派遣先の工場以外の場所に歩くのもいいかも知れない。
 少し歩いて、もう息が白くなっていることに気がつく。
 そう言えば、ここはこの間、変な男を追いかけて来た場所だった。
 結局、あれは何だったのだろう。突然コハルが来たことと何か関係があるのか?
 いや、考えすぎか。
 
 遠目に、コハルが手を振っていることに気がついた。
 前と同じような格好だった。
 柊ナナは小走りでそちらへ向かう。
 
「待たせたな」
「今来たところよ」
「本当か? 時間も指定してなかったのに」
「ふふ」

ちゃんとしたキーボードが欲しいのですがコロナで収入が吹っ飛びました