新・女房という漢字にカチンときた訳「謎の1セント硬貨」向井万起男著 から生まれたエッセイ

向井万起男氏って何者なんだろうかと、おもむろに裏表紙に目をやる。ほー、女性宇宙飛行士向井千秋さんの夫さんなんだ。俄然読む気が湧いてきた。
読み初めから、ひっかかる単語があり、その単語の羅列に私の何かがバチンと弾けた。
その単語とは「女房」である。
16ページ中に41回使われていた。女房は一回で、あとは「彼女」で良いではないか。
しかしまてよ、確かに「女房」という言葉は普通に使われていた、いや、使っていた。
この作品はいつ書かれたんだろうと、再び裏表紙を開く。
2009年か。今から14年前だ。私の年代になると、ついこの前ではあるが、若い頃は10年後は途方もない未来に感じたものだ。特に昨今は10年一昔どころか、1年一昔と言えるほど社会の変化は早い。
もし、2009年にこの本を読んでいたら、これほどまでにか「女房」のふた文字を意識しなかったのかもしれない。
2023年に読んでしまった私は、「ニョウボウ」が頭の中をこだまし始めてまもなくバチンと弾け、パタンと本を閉じ、ボンっと放り投げたのだ。
女に房って書いて女房だ。

『「女房」とは、一人住みの「房」、すなわち部屋を与えられ、宮中や貴族の屋敷に仕えた女性のことです。‥‥。女房の主たる役割は、自分の仕える主人が、天皇に寵愛されたり、男性貴族たちに信頼されたりするように努めることであったからです。』教育出版出

これは私の想像を超えていた。
天皇や男性貴族に寵愛される立場なら、一歩譲って納得しよう。しかし、寵愛を受ける姫に仕える女官!!屋敷に仕える女性!!
歴史のどこで、女房=妻となったのか。
漢字の成り立ちなど気にせずに、ただの記号として読めばなんてことはない。余計なエネルギーを使うこともないか。
その点、英語は楽かもしれない。26個のアルファベットには意味はない。しかも、綴りを覚えるのではなく、単語をひとまとめに記号として覚えるのだと、娘が教えてくれた。
なるほどである。
それにしても、現代に見合った配偶者の呼び方はないものか。主人も夫も亭主も腑に落ちず、もっぱら「相方」を使っている私なのだ。

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