民間と役所との連携について
転職以来、民間企業や団体から「一度、情報交換を」というお話をよくいただきます
ありがたい限りです
前職では、逆の立場でした
以下、両側から、つらつらと書いていきます
<役所側>
地方自治体のミッションは、地方自治法に規定の通り「住民の福祉の増進」です
官民連携でも、その実現のために、官民連携の方が「良ければ」そちらを選択することになります
「良ければ」をもう少し具体的にいうと、
・役所単体では実施できない(思いつかない、ノウハウがない、スキルを持つ人がいない、お金がないなど)ことができる
・役所単体よりコスト対効果が見込める(一部コストの民間負担など)
気を付けなくてはならないのは、「住民の福祉の増進」より民間側のメリット(後述)が目立つこと、更に効果的な選択肢を逃してしまうことでしょうか。もちろん収賄罪など法令違反は論外です
また、その連携スキームに拡張性や継続性があることが大事です。コスト対効果的に、国の補助金がなくなっても確保される必要があります
いずれにしろ、進捗や効果の積極的アピールなど透明性が重要です
また、どんな組み方であれ、役所側に最低限の人手がかかります
(予算をとる、役所内で調整する、決裁をとる、報告/広報するなど)
特に、予算をとるのは大変ですが、国などの補助制度があると、国も後押ししているわけで、庁内でコンセンサスを取りやすくなります
当然、年度や状況に応じて優先順位があります。優先順位が高い方が、予算やコンセンサスが取りやすい(対応する人手もある)
<民間側>
以下の種類のメリットがあり、そのコストと合わせて考えます
・売上
・商品開発/事業開発/ニーズ調査
・製品PR:子ども食堂やイベントなどへの提供など
・社名PR:ネーミングライツなどで知名度をアップし、住民の関心を高め足を運んでもらうなど
・会社イメージのPR:SDGsなど
・採用/人材獲得:産官学プロジェクトなど
・顧客満足度/従業員満足度向上:社会貢献活動など
・会社/団体の理念やビジョンの実現
ちなみに、売上が定量的でわかりやすいし予算もつきやすいですが、役所側からしてみると、連携スキームが難しいです(ふるさと納税の返礼品なんかはありそうです)
イベント等への協賛(寄付)などは、社名PRや製品PRですね。
連携は信頼関係がベース
自治体と民間側の折り合うところが、連携事業になるのですが、そのためには連携前からの対話が必要です
折り合うポイントやアイデアは対話の中からでてきますし、その中で相互理解と信頼関係が築かれれば、前に進むと思います
また、いざ、連携事業がスタートしても、通常、トラブルや想定外も発生しますし、そのたびに折り合うポイントを整理・改善していかないといけないので、ここでも対話が必要になってきます
難しいのは、役所側は、通常2~3年毎に人事異動があるため、担当が変わる都度、信頼関係を再構築する必要があることです。この辺、もう少し役所側がチームで仕事できるようになると、民間側も追加の労力が不要になり、社会的なコストが下がると思います
世田谷区では
世田谷区では、官民連携提案窓口(「せたがやCo-Lab(せたがやコラボ)」)で随時募集しております
テーマ設定型と民間提案型の2種類ございます
また、世田谷区は以前より、「参加と協働」を旗印としております
今、日本社会全体としても、デジタル化が進み、社会も人々の幸福の形も多様化していくなかで、求められる「住民の福祉」も多様化しており、役所だけの行政サービスで「誰一人取り残さない」ことは困難な状況です
今後、ますます官民連携の必要性が高まります
そのためには、官民連携のしくみも、もっと数をこなせて、成功確率が高いもの、優先順位付けが効率的に行われるように進化していかなくてはなりません
また、民間と役所が信頼関係を構築し、ニーズやアイデアを出し合い、連携事業のスタートとなるつなぐ場が必要です
私も、「住民の福祉の増進」のため、成功確率や優先順位が高そうなものをどんどんつないでいきたいと思います
~おまけ
世田谷区では、28の地区に分け、それぞれにまちづくりセンターという身近な区役所(出先機関、以下まちセン)があります
今回、まちセンごとに、その地区やまちセンを紹介する動画を作りました
ご関係があったり、気になる地区の動画を、ぜひ、ご視聴ください。またチャンネル登録やいいね、フィードバック*も温かい目でよろしくお願いします、励みになります
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