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居場所とは、居ていい場所

〇アタッチメント

先日、NHKスペシャルで「アタッチメント」について取り上げてました
「アタッチメント」とは、愛着のことで、不安や恐怖を感じたときに「特定のだれか」にくっついて安心感を得ようとする本能的な欲求や行動のことだそうで、子どもに対して使われるのが一般的です
しかし、少子高齢化時代を迎え、独居高齢者や引きこもりの増加など、孤立・孤独の問題への対策として、全年齢を対象にした「アタッチメント」が、今、注目されているとのこと

自分の解釈では
アタッチメントとは、愛着というより、依存に近く、
「人間の幸福度(安心感)は、よいアタッチメント先を複数持つことで引き上げられる」
ということではないかと
東京大学先端科学技術研究センターの熊谷准教授の「自立とは、依存先を増やすこと」にも通じます

〇地域コミュニティ

さて、依存先候補の一つに地域コミュニティがあげられます
カラオケやダンスなど趣味のクラブもあれば、町内会など地縁組織もあります
いずれも、何らかの活動に参加することでアタッチメントが生まれるので、活動に参加していない幽霊部員だとなかなかアタッチメントが生まれにくいのではと推測します

自分も町内会には入っているものの、回覧板を回しているだけで、古着回収やお祭りなど町内会活動に参加しているわけではないので、町内会へのアタッチメントがあるか、と問われると微妙な感じです(すみません)

さて、92万人が暮らす世田谷区にはどれくらいの地域コミュニティがあるのでしょう?
調べてみたら、区役所と関わりがあり、公表可能な市民活動団体が1,709団体ありました
こちらのExcelファイルご参照のとおり、町内会やPTA、NPO、任意団体などが入っての数字です
面積が広く人口も多い世田谷区で、1,709団体が多いのかどうかわかりませんが、それぞれの団体が活発に活動され、毎年どんどん新しい団体が生まれているとよいなあ、と思います

ただ、これまで、町内会やNPOなどいろんな団体の方と話して来ましたが、多くの団体は、個々に活動が完結しており、なかなか、他の団体と情報交換、連携したりできていない、またメンバーが固定化しがちで、タコつぼ型になってしまっている、とおっしゃってました

そこには、個人ではなく、活動団体としての孤立・孤独問題があるのかも

〇孤立・孤独問題に中間支援機能

そんな中、世田谷区には団体同士をつなげようという動きはあり、先日、その一つの「第5回せたがや居場所サミット」に行ってきました
約50の団体がブースを出され、お互いのブースを見学しては、お話をしている姿をみると、なぜか癒されます
もちろん多くの一般参加者もいらっしゃいました
高齢者だけでなく、若者の居場所を作られている団体も思いのほか多く出展されてました
団体活動というと、どうしてもターゲットの年代をもった団体になりがちですが、そろそろ、多世代が活動できる居場所もでてきてもよいのではと期待しています、そうすると団体内の世代交代もスムーズかもしれません

印象深かったのは、トークセッションで、居場所の利用者の方が発言された
「居場所とは、居ていい場所」
という言葉です
「アタッチメント」の説明にあった「安心感」が、居場所の本質なんだなあ、と考えさせられました

そういえば、区政の目指すべき方向性「持続可能な未来を確保し、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷をともにつくる」にも、しっかり「安心して」と入っております

せたがや居場所サミットは、実行委員会形式で開催されており、実行委員会メンバーには大変、大変、感謝しております

昨年、地域包括ケアの最先端地域である東近江市の市民活動を見学してきました
市民活動が複数の中間支援組織により、ゆるやかに連携しており、各市民活動には、市役所の職員が普通に主要メンバーとして参加していました
有名な魅知普請曼荼羅(上部の掲載ルールも秀逸)をみるとよくわかります

行政の役割としては、活動場所(箱)を用意するのが主軸ですが、「中間支援」の視点で、区民の、そして市民活動団体の孤独・孤立問題に、関係者と対話しながら一緒に改善していくことが、今後、ますます必要だな、と感じた次第です

尚、せたがや居場所サミットを世田谷区は後援しておりますし、世田谷区には中間支援組織が6団体活動中でございます

せたがや居場所サミットは、以前の投稿「地域活動デビュー!しよっ」でも触れましたが、その中で生涯現役ネットワークが主催する「生涯現役フェア」という同様のイベントも紹介しております、今年の秋も開催予定のようなので、こちらも楽しみにしております
皆様も、タイミング合えば、足を運んでみてください

〇おまけ

5月31日で、区役所に転職して丸2年になります
4年の任期なので、丁度、折り返し地点です
あっという間でしたが、いろんなことがありました。次回以降に、つらつらと振り返ってみようと思います
もしかしたら、皆さんの地方自治体に関心を持つきっかけになるかも
*トップの写真は、喜多見の慶元寺の立派な門です

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