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学校名が変わるということ

私の地元で、少子化の流れに逆らえず、来年度に統廃合になる学校があります。
福島県は、公立高校の事情がちょっと特殊な地域で、今から四半世紀前までは、都市部の公立高校は別学が当たり前でした。
なので、例えば郡山市で言えば、


安積高校=男子校
安積女子高校=女子校

のようなネーミングが当たり前だったのです。
2021年現在では、公立高校の別学は消滅し、引き合いに出した安積女子高校も、安積黎明(あさかれいめい)高校という名前に変わりました。

ここで、別学→共学に伴って起こるのは次のような変化ではないでしょうか。


1.校名の変更


これは、元が女子校だった学校が変更するパターンがほとんどでした。学校名に「女子」が入っていたので、当然と言えば当然かもしれません。
ちなみに、福島県内で主だった女子校は、安積黎明高校以外では、次のような校名変更を行っています。


・福島女子高校→橘高校
・郡山女子高校→郡山東高校
・白河女子高校→白河旭高校
・会津女子高校→葵高校
・若松女子高校→会津学鳳(がくほう)高校
・磐城女子高校→磐城桜が丘高校

まだ他にもあるけれど、今の子供達は別学だったことを知らない生徒も増えているのかもしれません。

2.制服が変わった

これも、結構わかりやすい変化ではないでしょうか。
私の高校は、県内でもかなり共学化が早かった学校なのですが(県内で2番め)、その前に創立記念の一環として、制服がモデルチェンジしました。
ただ、女子校→共学だけではなく、男子校→共学でも結構制服は変わっていますね。
郡山市内だと、郡山高校の制服が、共学化の際にコシノヒロコ氏デザインの「ブランド制服」として、有名になりました。

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制服のモデルチェンジは、特に女子生徒にとっては大きな関心事ですから、私の高校もモデルチェンジ初年度は、入試の倍率がすごいことになったようです。


ちなみに、同じ郡山市内の高校でも



安積高校→制服なし(ただし男子は概ね市販の学ランを着用。女子はEASTBOYなどを愛用しているようです)
安積黎明高校→女子の制服はそのまま維持。男子のみ学ランを制服として制定。


でした。
両校とも歴史が明治時代まで遡る名門校のためか、共学化についてはかなり同窓会の反対もあったとかで、制服についてもほぼ伝統が守られています。

3.校歌が変わった

他の高校は知りませんが、私の学校は、途中で校歌も変わりました。
私が3年生の時に共学になったので、新しい校歌はほぼ記憶にありません(苦笑)。
一応、生徒の知らないところで校長が作詞、当時の音楽の先生が作曲して、ある日唐突に新しい校歌が発表されました。
古い校歌は何となく覚えているんですけれどね(笑)。


校名のブランド力の低下


とまあ、私自身が校名の変更に伴う様々な変化を経験しているわけです。
なので、S高校とN高校(一応仮名にさせて下さい)の統廃合については、「時代の流れだし、仕方ないんじゃない?」と、結構冷静な目で眺めています。

まず、廃校が決まっているN高校。
これは、市町村合併でN町がS市に吸収合併されたときから、ある程度予測できたことだと思います。ただでさえ、山間部で子どもが減っていますしね。
私の時代でも、ちょっと成績が優秀な子はS市内でアパートを借りて一人暮らしをしたり、T村の専用の寮に入って勉強していました。(今でもあるようです)

問題は、S高校の方かな~。
オリンピック選手の出身校ですし、市内で一番古い学校なので、校名にこだわる気持ちは、まあ分からなくもないのです。
ただし往年の頃のブランド力は、かつてほどはないと、言わざるを得ません。
ここ十数年ほど、制服をコロコロ変えてみたり、学科編成を小まめにモデルチェンジしてみたりと迷走気味だったので、一方的に学校名の変更を申し渡されても不思議ではないというか…。

ちなみに、私の学校の校名変更の際は、同窓会などで3つの案が提示され、それについて生徒のアンケートもありました。
(最終的に、生徒の投票数で決まった)
制服チェンジについても、先輩方のアンケートを基に変更したようです。

同じ市内にある高校で、前例があるにも関わらず、そういう手順をすっ飛ばして校名変更が決まったというのは、「生徒や同窓生に聞くだけ無駄だ」と判断されたように思えるのですが…。

どの程度、本気で「反対意見を提示して」いたのか

もう一つ。
以前からN高校とS高校の統廃合については、可能性が示されていました。
それについて、どの程度本気で、生徒や同窓生は反対意見を提示していたのでしょう。
校名の変更は私も驚きでしたが、それよりも、現役の学生がどれだけ真剣に学業や高校生活と向かい合っているかを提示できていなかったから、このような判断が下されたのではないか…というのが、私の推測です。

学力で全てが判断されるべきとは思いませんが、制服を改めれば、規律の乱れが服装に現れたり(婉曲表現ですみません)、それに合わせてまた制服を変えたりと、学校の方針もかなり迷走していたと言えます。その状態で「私達を信用して下さい」と言っても、少々無理があるのではないでしょうか。

こう言うと反発されそうですが、安穏と「伝統にあぐらをかいている」状態では、やはり学校の魅力に欠けるのではないかと思うのですが。。。



それほど悪いことではないのでは?


学校名が変わることで、ショックを受ける人もいるのかもしれませんが、当の現役の高校生はどのように考えているのでしょう。


私達の経験を踏まえると、意外と現役生はすんなり受け入れそうな気がします。

***
少し前に本来のライティング業務で首都圏の公立高校の入試事情を調べていて知ったのですが、高校の統廃合って、何も地方特有の問題ではないのですよね。
千葉県でも今年度から公立高校の入試制度が変わりますし、全国的に見ても、今まで「個性の尊重」に囚われすぎて、学業を疎かにする高校生が増えすぎたとも言えるのかもしれません。

S高校の新しい校名ですが、個人的な感想としては、字面だけで言うなら結構悪くないとは思います。(「創英」が入ります)
これを機に、「就職率UP」なり、「資格取得の指導に力を入れます」なり。
何らかの実績を残すのが、少子化の中で同校が生き残る方法だと思うのですが。。。
どうなるのでしょうね?


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