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青森県南部地方の秋

青森に住んでいた期間は短かったので特に望郷の念が湧く、という程ではないのですが。
それでも1年で一番鮮烈な記憶が蘇ってくるのが、秋かもしれません。

1.菊の花

何度か書いていますが、私が住んでいたのは南部地方。
秋の思い出はいくつかあるのですが、第一に思い出すのは菊畑でしょうか。

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食用菊にもいくつか品種があるのですが、南部地方で栽培されているのは、「阿房宮あぼうきゅう」という品種です。
こちらの拝借してきた写真の背後に映っているのは、恐らく名久井なくい岳。
青森らしく、リンゴの栽培は南部地方でも行われているのですが、やはり南部らしい風景というと、私はこの菊畑の光景を思い出します。

ちなみに、お味は比較的癖が少ないかな?と思います。菊特有の芳香はありますが、苦味が少なく甘みが強いのが阿房宮の特徴。
調理法は、味噌汁の薬味やおひたしなど。
出回る時期が限られるので、日常的に使うならば、「干し菊」がおすすめですね。
干し菊は菊の花びらをむしり取り、蒸して乾燥させ、板状に仕上げたものです。

ただ、お値段が少々張るので(苦笑)、私の家ではスーパーで安く出回っていた生の菊花を買ってきていました。
菊の花がビニール袋にぎゅうぎゅうに押し込まれているのですが、結構な数が入っているんです。
花びらだけを外すのは子供の役目で、これが結構大変なんです😅
茹でるとかなり嵩が減りますから、大量に花びらをむしらなければなりませんしね。

それでも私は菊の花が好きで、前もって家の裏手にあるクルミの木(確かサワグルミだったと思います)の根本からクルミを拾い、これまた一個ずつ殻を割り、薄皮を剥いて、すり鉢でクルミの実を擦ってあえ衣を作る。
本当に気の遠くなるような作業ですが、たまにやっていました。
クルミ衣と菊の花が持つ、ダブルの甘みとコク。
これがあれば、他のおかずはいらない!と言い切れるくらい、好きでした(笑)。

今では、私にとって幻の味です。

2.馬肉

馬肉自体は、福島でも会津地方でよく食べられているようですが、我が家の食卓に登っていたのは、青森在住時代です。
今ではどうかわかりませんが、庶民の味方?の代表格である豚肉よりも、馬肉のほうが安かったんですよ。
南部地方は、かつて名馬の産地でもありました。
その影響なのかはわかりませんが馬肉がよく出回っており、私が馬肉が好きになったのも南部地方の影響でしょう。

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また、馬肉は脂がしつこくないので、牛肉よりも胃もたれしにくいんです。
南部地方で特に馬肉文化が盛んなのは五戸町のようですが、その周辺でもよく食べているのではないでしょうか。
桜鍋をよく食べていたのは、やはり秋から冬の時期だった気がします。

そういえば、牧場というと牛のイメージがありますが、馬の牧場を見たのも青森在住時代。

五戸町に「まきば温泉」という施設があり、我が家も時々訪れていたのですが、その途中に牧場があって、馬が放牧されているのが印象的でした。
多分、「三浦牧場」さんではないかと思います。地図で確認する限りでは国道4号線沿いにあるということで、間違いがなさそう。

3.鮭

鮭の遡上を見たのは、青森在住のときだけですね。

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南部地方の代表的な河川と言うと馬淵川まべちがわですが、この川の支流にも、鮭が遡上していたんです。

住んでいたのは海沿いの町ではないですが、馬淵川の河口からはそこそこ距離があったはずで、あの小さい体でよくぞここまで帰ってきた!と感動したものです。

で、給食のメニューにも「鮭のホイル包み焼き」なんていう、「給食でそんなメニューが出るの!?」という贅沢なメニューもありました。

4.きのこ

私が住んでいたのは普通の民家だったのですが、自然豊かな土地だったからでしょうか。
何と、家の裏手に毎年食用きのこが生えていたんです。
地元の言葉では「カックイ」と呼ばれていましたが、正式名称は「ナラタケ」。

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本当に、採っても採ってもしばらく生え続けてくるので、家計の上でも非常に大助かりのキノコだったと思います。
味もキノコの旨味がよく出るタイプだったので、洋食にも和食にも合う万能なキノコ。

他にも親が山菜採り(趣味+実用)の一環として、あちこちに出かけて時には完熟のなめこも取ってきたりしたのですが、私にとってやっぱり身近だったのは、カックイですね~。
キノコご飯を始め、鍋物やちょっと変化球でスープスパゲティなどにも使用しました。
スーパーなどには出回らないので(道の駅では売っていることがあるかも)、やっぱりあの頃ならではの味です。

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こうして振り返ってみると。
夏の青森や弘前のねぶた(ねぷた)も憧れるけれど。
南部地方が真価を発揮するのは、やはり収穫の秋なのかもしれません。


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