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フクシマの3.11被害~内陸編

本日末吉先生のTwitterのリツイートをきっかけに、浅生鴨さんのYou Tubeにハマっていました。
その中で「飯坂温泉」のところで「内陸部の被害」についての言及があったので、まずは内陸部の被害について取り上げてみたいと思います。



1.山津波の被害


3.11のとき、海岸部や原発立地も確かに大変だったとしか言いようがないのですが、私が「山津波」という言葉を知ったのも3.11です。

海岸から70キロ離れた土地でも、大地震でこのような災害が起こる可能性を認識している人は、どれだけいるでしょうか。

原発は必ず海岸部にあるから無関係、津波も「内陸部にあるからその心配はない」と思い込んでいる人はいませんか?
地震でダムが決壊すれば、山津波に襲われる危険性もあるのです。長沼地区は市内では奥地になりますが、農業用溜め池(=藤沼湖)が決壊して土石流が発生。結果的に8人が犠牲になり、一人(当時1歳)は遺体が10年経った今でも、見つかっていません。

県内では内陸部唯一の山津波の被害例ですが、誰がこのような事態を想像したでしょうか。

繰り返しになりますが、原発から70キロ離れた土地です。距離感がつかみにくいかもしれませんが、東京駅から70キロというと、大体これくらいの同心円に入る計算ですね。

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グーグルマップで調べたら、この同心円の中に狭山湖も奥多摩湖も含まれていますね。後は神奈川の宮ヶ瀬ダムも?
さらに、奥多摩ダムは耐震性調査の結果が、明示されていない気が。。。
これが万が一決壊したらと考えると、非常に怖くないでしょうか。

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さらに怖いのは、2.13の地震で倒壊した建物は、3.11のときには大丈夫だったのに、今回の地震でだめになったところも多いこと。
今回You Tubeの中では触れませんでしたが、岳温泉と2.13の地震による土砂崩れで再建の見通しが経っていない「エビスサーキット」は、5kmほどの位置関係にあります。

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県外にどれだけニュースが流れたか分かりませんが、前に触れたように、3.11の影響で地盤が緩んでいる場所は、県内のあちこちにあるのかもしれません。

地質上の変化などについては調査結果はこれから出るのでしょうけれど、同じように3.11で大きく揺れた首都圏も、条件は一緒だと思うのです。

地震多発地域の上に住んでいる以上、どこでも災害は起こり得る。
当たり前の事のようですが、それを前提とした行動や意識は一人ひとりが自覚しないと、なかなか改善していかないのかもしれません。

2.物理的な壁と心理上の壁



「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはよく言ったもので、2.13のときも真夜中にも関わらず、ガソリンスタンドに行列ができていたというのが、非常に気になりました。
その心理的な根底としては

・避難するのにガソリンが必要
・今の時期に灯油がなかったら凍死する

といった不安だったと思います。一種のパニックですね。

ただ、ちょっと落ち着いて考えてほしいのですが。
そもそもなぜ3.11のときは、あれほど石油製品や食料品が回ってこなかったのでしょう?

物理的な遮断もですが、やはり原発事故のために「福島に行くのは止めておこう」と考えた人が多かったからではないでしょうか?
ということは、逆説的な発想として「原発の事故さえ起きなければ、当座の飲み食いは何とかなる」とも言えます。
風評被害の一種とも言えますが、農家でない我が家は、避難民でも無いのに食糧が手に入らない(そもそも地元に流通してこない)のが、一番こたえました。

確か復旧するまで3週間~1カ月近くはかかった気がします。
「食料の備蓄が~」といいますが、それだけ食品がまともに入ってこない状況って、想像できましたか?

ここで、考えてほしいのが「心理上の壁」について。
ぶっちゃけ一部の「東電社員&官僚」。

「国民の命を預かっている自覚はありますか?」

2.13の対応を見ていても、一番改善されていないのは、ここではないかと思います。
とにかく、情報を積極的に公開しない。3.11のときも問題になりましたが、必要な情報さえ提示しないから、それを逆手に取ったデマが流れたり、デマを元にした風評被害ビジネスが成り立ってしまうとは考えないのでしょうか。

3.11が残した負の遺産は、原発だけでなく情報開示の壁が相変わらず存在するというのも、2.13で改めて目の当たりにした気がします。

※アイキャッチは、藤沼湖です。地震で大きく壊れて犠牲者が出ましたが、どうしても農業用水の為に必要ということで再建され、現在も活用されています。

追記:ひっそりとフォローしている「マメタイムス」のブログに、当時の内陸部の被害状況の記録が残っていました。




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