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【俳句ポスト入選】
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正直なところ、今回は諦めモードだったんです。
御存知のように、福島は東日本大震災の際に、原発事故に見舞われました。
で、原発の「廃炉」に向けて、現在は「処理水」の問題が差し迫っています。
簡単に言うと、高濃度の放射性物質で汚染された水を、ALPSという施設で処理して「処理水」にして、海洋放出しようというもの。
その際、放出される水には、「トリチウム」という放射性物質(水素の同位体)が含まれます。
で、「ベクレル」というのは、ある物質が放出する「放射線」の単位を差します。
放射性物質はある程度放射線を放出し終わると、別の物質に変化するのですが、そもそも、そんな知識を一般人が有している訳がありません。
そんな「ベクレル」の文字や「処理水」、「海洋放出」などに、11年経った今でも振り回されている地、福島。
原発事故のときは、広島大学や長崎大学の先生方が福島にいらっしゃって、日々、尽力してくださいました。
あの夏の日の負の遺産は、半世紀以上経った福島で、その研究結果が活用されたのです。
そんな思いから、生まれた句でした。
処理水の海洋放出については、どちらの立場に立っても大きな論争を呼ぶので、その是非については語るつもりはありません。
ですが、今でも原発事故は、福島に大きな爪痕を残している。
選者の方々も、今回は選句基準が難しかったのではないでしょうか。
もちろん反戦の意味も込めているのですけれど、今回の兼題は、私にとって、やはり「原発事故」を想起させられ、平常心では詠みにくい季語でした。
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