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現在進行形の10年

今朝8時半頃、宮城沖でM4.8の地震がありました。

私の住む地域では震度1~2程度ですが、それにしても慣れとは恐ろしいもの。
この程度の揺れだと、「ああ、またか」と思う程度で終わってしまうのです。

2.13の地震以降、実は小さな余震はちょくちょくありました。そもそも2.13の福島沖地震自体が3.11の余震と言われていますから、余震の余震と言ったところでしょうか。
3.11の時は、本震以降も震度4クラスの余震はしばらくあり、4.11には震度5弱の余震もありました。


東日本大震災は、確かに3.11の被害が一番大きかったのですけれど、その後の余震で私の家の屋根も少しずつ瓦が落ちていきましたし、日を追うごとに壁のひび割れの本数が増えていきました。


下記の写真は、自宅の罹災証明の為に撮影した1枚です。ブルーシートを押さえている瓦も、余震でしょっちゅうずれてシートがめくれ上がり、そのたびに屋根に登って押さえ直していたものです。

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「船酔い」ならぬ「地震酔い」に悩まされてたのもこの頃でしょうか。


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この頃、あの頃を彷彿とさせるように、頻繁に余震が発生しているわけですが、もう地震酔いも起きないですし、先日の浅生鴨さんのYou Tubeでも指摘されていたように、2.13の被害が大きく取り上げられることもありません。
地震があるのが、日常生活の一部と化しているのでしょうか。

これは私自身の反省として書くのですが、私があまり外出しないから気が付かなかっただけで、やはり3.11ほどではないにしても、2.13であちこちで被害が出ているのは間違いありません。
近所の中学校の体育館はかなりダメージを受け、先ほど側を通ってきたら、損傷した窓が外され、工事業者が入って復旧作業に当たっていました。
その向かい側にある公園の鳥居は、倒壊して、石柱の一部が残るのみ。

だから、確かに「あの日から10年」ではあるのですけれど、2.13も含め、私にとっては現在進行系の3.11なのです。
それだけに、「あの日から10年」のタグがついているのに、3.11とは全く無関係の投稿をされていたり、「『がんばっぺ福島』の言葉がトラウマになった」という投稿を見ると、非常に複雑な思いに駆られます。

「がんばっぺ」の姿勢は、ある人にとっては正解でもあるし、別の人にとっては不正解。
それがモザイクのように入り交じるのが、被災地なのです。

こちらは、2014年にアクアマリンふくしまを訪れた際に、水族館の近くで、撮影すべきか散々迷った1枚です。

迷ったのは、自分が「被災者の立場に立ってではなく、ただの好奇心で撮影しようとしてはいないか?」という迷いがあったため。

復興途中の写真ですが、ガムテープの文字に、3.11の爪痕を後世に伝えようという意思を強く感じ、一枚だけ撮影しました。

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正確な被害は分かりませんが、アクアマリンのある小名浜地区も、甚大な津波の被害を受けたのは間違いありません。

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確かに、連日の震災報道がトラウマになった人もいたでしょうし、トラウマをあおるようなビジネスをしていた人たちもいました。
また、被災地でも、これからは3.11とは無関係な世代が増えていくのでしょう。

ですが、当の被災者達は、当時はそんな報道を見る余裕すらありませんでした。避難した人達も、地元に残った私達も、明日を迎えるだけで精一杯だった日々。
一方で、「同情されるだけの存在になりたくない」と願う人も多いのです。その願いを持つ人々が、現在「◯◯プライド」を掲げて、各地で活躍していると言えるでしょう。
それは、岩手や宮城だけでなく、やはり被災者が出てている茨城や千葉などの地域だって同じことだと思うのです。

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確かに、noteで書く以上、1人でも多くの人に読んでもらいたいと思うのは自然な感情なのかもしれません。

ですが、せめて「#あの日から10年」のタグをつける以上は、画面の向こうにいる人に思いを馳せる内容であってほしい。それが発信者側のマナーではないでしょうか。

ここ数日、「#あの日から10年」のハッシュタグがついているにも関わらず、明らかに個人の文を読んでほしいためだけに投稿されているものが目に付き、どうしても書かずにはいられませんでした。
(とはいっても、気にしない人は気にしないで投稿するでしょうけれど)

あと2日で3.11を迎えます。
その翌日から、劇的に状況が変化するわけではないでしょう。
それでも一歩ずつ歩みを進め、その間に別の災害に襲われても匍匐前進を続け、ここまで来ました。

その姿は、決して観客を意識したショーではないのです。






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