【直違の紋に誓って】第三章 若木萌ゆ~台連寺(3)
「我々が、奥羽同盟の信義の為に戦ったのは、西軍の暴挙に憤ったからでありましょう。あの時の薩長の暴挙を許そうとは思いません。彼らは我々のことを一方的に断罪しようとした。
ですが、薩長が二本松のことをあまりにも知らなかったように、二本松の者もまた、薩長を知ろうとはしなかった。鬼の如く、思いこんでいた。彼らを憎んでいたからこそ、あの戦いに命を賭しました」
剛介は、野津との会話を思い出しながら続けた。
「しかし、薩長の全員がそのような鬼であったわけではございませぬ。薩摩の者に情け