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直違の紋に誓って

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実在した二本松少年隊の一人、武谷剛介を主人公とした小説です。 二本松藩がどのように戊辰戦争に巻き込まれ、藩の誇りを賭けて戦ったのか。そして、明治の「西南戦争」は戊辰戦争の敗者にと…
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2022年12月の記事一覧

【直違の紋に誓って】Spin Off~父の背中(5)

 ――来る時は急峻に感じられた坂道も、帰りはあっという間である。うっかり前のめりになって…

k_maru027
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【直違の紋に誓って】Spin Off~父の背中(4)

 そうか。父は別に会津を厭わしく思っていたわけではないのか。むしろ、相当な恩義を会津に対…

k_maru027
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【直違の紋に誓って】Spin Off~父の背中(3)

 翌朝、朝早くから父は庭先で竹刀を振っていた。そうしたところを見ると、やはり、体育の教師…

k_maru027
1年前
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【直違の紋に誓って】Spin Off~父の背中(2)

 来春の受験に備えて福島の師範学校を見学したいと言うと、貞信は、数日今村家に宿泊させても…

k_maru027
1年前
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【直違の紋に誓って】Spin Off~父の背中(1)

 遠藤貞信は、物心ついたときには母と二人暮らしだった。自分が生まれたからには、当然父もい…

k_maru027
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【直違の紋に誓って】終章~若木たちの行方

翌日、天には柔らかな蒼穹が広がっていた。剛介は荷を背負うと、深々と義母に頭を下げた。 「…

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【直違の紋に誓って】第三章 若木萌ゆ~台連寺(3)

「我々が、奥羽同盟の信義の為に戦ったのは、西軍の暴挙に憤ったからでありましょう。あの時の薩長の暴挙を許そうとは思いません。彼らは我々のことを一方的に断罪しようとした。  ですが、薩長が二本松のことをあまりにも知らなかったように、二本松の者もまた、薩長を知ろうとはしなかった。鬼の如く、思いこんでいた。彼らを憎んでいたからこそ、あの戦いに命を賭しました」  剛介は、野津との会話を思い出しながら続けた。 「しかし、薩長の全員がそのような鬼であったわけではございませぬ。薩摩の者に情け

【直違の紋に誓って】第三章 若木萌ゆ~台連寺(2)

「確かに、三浦の言う通りだった。あの後、三浦に再び説教されたわ。武谷殿のご子息を会津に置…

k_maru027
1年前
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【直違の紋に誓って】第三章 若木萌ゆ~台連寺(1)

 三月。  二本松から毎日福島に通うにはどうしても無理がある距離なので、福島では下宿に入…

k_maru027
1年前
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