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日本語指導ボランティア日記5

今回はちょっと先生らしいかも…!

6月12日

インド出身のCさんを担当しました。
留学生として来日しており、日本語を使って働きたいとのことで、
JLPTのN2受験を考えているのだとか。
N2は英検でいう2級とか、その辺りです。
読解が難しいということで、問題集をいっしょに解いてみましょう…

と、始めようとしたところで、
いつものAさんにも声をかけられ、合流することに。
またレベル別の2人を受け持つことになりました。き、きつい。
私自身が前回と違うことをしたかったので、
読解ベースで進めることにしました。

読解問題の解き方にはコツがあります。
それは「問題文からではなく、設問と選択肢から目を通すこと」です。
何を聞かれるかを頭に入れた上で問題文を読むと、
拾い上げるポイントが分かりやすくなります。
また、その設問の意味が理解できているかも、確認しなければなりません。自分の受けた日本語教育能力検定でも読解問題をたくさん解いたので
読解の解説、どんと来い!状態。わーい今日は得意分野だ〜!

Cさんがどこまで理解しているかを推し量る意味も込めて、
設問から問題文まで、すべて音読してもらいました。
目と耳で文章を理解することは、語学学習の基本でもあります。
それなりに詰まることなく読めるので
文章の意味はおおまかに理解しているようですが、
漢字の読みにはつまりがちでした。
ここでAさんの出番!Cさんが読めない漢字の読みを聞いてみるなどして
なんとか2人に対して授業するように工夫しました。

音読の後、2人にそれぞれ回答を聞きます。
そして、なぜそう思ったのかを日本語で説明してもらいます。
これがなかなかよい授業になりました。
(Aさんにとっては、すこし難しかったかもしれませんが…)
答えが割れると、互いの意見を聞くことができる訳です。
その上で改めて考えると、やっぱりこっちだ、と気づいてくれます。
「気づき」は学びの上でとても大事な要素です。

正答率はなんとN3レベルのAさんの方が高いという結果になりました。
未学習の文形がたくさんあると言っていた割には文章の大意を
Cさんと同じ程度には掴んでいる様子です。
もしかしたら、Cさん以上、かも。
中国出身なので漢字には抵抗がないというのもすこしあるかとは思います。
(しかし「わからない漢字いっぱい」とも言うので、
日本と中国の漢字に差があるのも事実なのでしょう)

Cさんはあえて難しく書かれた文章の理解に苦戦している様でした。
たとえば

キラキラと装飾された文章が
とにかく素晴らしいと褒め称える訳ではなく
むしろ飾らずシンプルに書かれた文章の方が
はるかに美しいと感じるのです。

問題文をアレンジ

という、まさに装飾の多い文章を理解しきれていない様なので
装飾部分を消してみましょうと提案しました。

キラキラと装飾された文章が

とにかく素晴らしいと褒め称える訳ではなく
むしろ飾らずシンプルに書かれた文章の方が
はるかに美しいと感じるのです
 ↓
装飾された文章が
素晴らしい訳ではなく
シンプルに書かれた文章の方が
美しいと感じる。

省き方は人それぞれ

これで言いたいことがグッと分かりやすくなりました。
日本語特有の文末にくるモダリティ表現や否定表現が、
直前の内容を肯定しているのか否定しているのか、
はたまた事実なのか想像なのかを、複雑にしています。
私が読んでも、意地悪な問題文だなぁと思います。

問題文を改めて解説し、答えと照らし合わせていくと
フムフムと納得した様子を見せてくれるので
今回ばかりは少し手応えのある回となりました。
やっと、先生らしい知識をお披露目できたことに安堵。

初〜中級は日本語の概念を伝える段階にあたるので
教える側も四苦八苦するのは当然なのかもしれません。
Cさんは日本語で説明したことを8割ほど理解していたので
やりやすい状態であったのは事実です。

ゆくゆくはオンラインでも教えたいのですが
初級の指導ができる様にならないと
日本語教師です!と胸を張って言えないなと思いました。

国家資格、どうなるのかな〜。

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