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日本語指導ボランティア日記8

…撃沈。

7月24日

前期ラストですが生徒さんの人数が少なく、
こころなしか教室全体に余裕がある雰囲気。
顔なじみの生徒さんは見当たらず、
はじめましてのEさんを担当することになりました。

Eさんは家族で来日して3ヶ月ほど。
なんと日本語能力はゼロに等しいということです。
日本での生活は多分に苦労なさっているんじゃないかしら、と
老婆心ながら心配しつつ、指導に入りました。
(来日する理由の背景にはさまざまな要因があるので
安易に介入することはしないように心がけています)

前回は拗音(ゃ、ゅ、ょ)や促音(っ)といった
特殊拍を学ばれたようなので、今回は
単語の書き取りにチャレンジしてもらいました。

書き取りしますよ、という説明をするのですが、さっそく
ベルリンより分厚い言葉の壁にうんともすんとも言えなくなる私とEさん。
そこで、どんなハンマーや鉄球より強力なのが
「音声認識翻訳機@スマホ」です。
意思疎通が図れて安心したところで、さぁ、やってみましょう!

「きって」「がっこう」「ちょうちょ」
意味もあわせて教えられるように簡単な単語を出題しました。
Eさんはうーんとなりながらも一生懸命トライしてくれています。

日本語の音は「拍」という単位で区切られます。
「きって」なら「き・っ・て」
「がっこう」なら「が・っ・こ・う」(読み方はがっこー)
「ちょうちょ」なら「ちょ・う・ちょ」
拗音は小文字も含めて1拍とカウントします。
この拍感覚が、学習者にはとても難しいのです。
ここであのベルボトナル法!
「き(パン)っ(パン)て(パン)」
拍にあわせて手拍子を打ち、ヒントを出します。

長音(ー、伸ばし棒、オンビキ)は基本的に外来語に登場します。
日本語で長音は母音を重ねて表します。
ほうき(ほーき)箒
えいが(えーが)映画
ちゅうい(ちゅーい)注意
ホース
カーテン…etc

また、清音(記号なし)、濁音(゛)、半濁音(゜)の差も
判別が難しいとよく聞きます。
韓国語は同じ意味でも語頭と語中で清音・濁音が変化するので、
例えば、はは(母)とはば(幅)が同じ意味に聞こえてしまう
…ということが起こり得てしまいます。

回答を見ると
きって、は「きで」
がっこう、は「がっご」
という風に間違っていました。わかります。難しいんです。
昔、私が韓国語を学んでいた時に「선생님(ソンセンニム、先生)」が
なかなか発音できず、何回も練習したことを思い出します。
違いがわからないまま、
最後は先生から「ん〜…まぁOK(苦笑)」と言われる始末。
ない音を聞き分けるには、耳が慣れて来ないと、できません。
「ねこ」「ねっこ」
「はと」「はーと」「はっと」
これらの違いも一緒に確認しました。

問題は「ちょうちょ」。
Eさんは非常に悩んでおられ、絞り出した回答がなんと
「ち◯ち◯」。※道徳的観念から伏字にしました。
漫画のような間違い方に私の表情が崩れそうになります。
しかし、Eさんの書いた文字の筆圧が他に比べて特段に薄く、
「これですか…?」という自信なさげな眼差しに、他意は存在しません。
Eさんのレベルを鑑みて説明はしませんでしたが
いつか気づくときが来るのでしょうか。

珍回答(あっ…)が飛び出したところで書き取りは切り上げ、
残った時間で自己紹介をしました。

超初級を受け持つのは全く初めてで、例文を作るのも逆に一苦労です。
例文がおそらくレベルにあっておらず、
ほとんど音声認識翻訳機@スマホに頼ることになり、
学びにつなげることができませんでした。
自己紹介という設定もすこし難しかったかなと後から思いました。
50音表のような教材を使うべきだったかもしれません。
まだまだ経験積むべし、ですね。

そんなこんなで、
いろんな意味で撃沈してしまう回となりました。
思った以上に媒介語として英語を使ったので、
やっぱり英語、勉強し直すべきかなぁ…。

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