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日本語指導ボランティア日記6
「〜がたる」の意味ですか?
…「物語る」ですか?え?違う……??
6月26日
先週は息子の体調不良でお休みだったので、すこし時間が空いた分、
やや気持ちの緩んだ状態からスタートしてしまいました。
今回は、以前一度受け持ったBさんを教えることに。
私は毎回「聞きたいこと、わからないことはありますか?」から始めます。
その人の課題を探るためです。
初めの質問はN1レベルの聴解問題で、
なぜ答えが1番なのかということでした。
問題の内容の要約はこうです。
職員がボランティアを集めてこう説明しました。
「これから袋詰めをお願いします。あらかじめ段ボール箱に種類ごとに品物を区分けしてあるので、ひとつづつ入れていってください」
さて、ボランティアはこれから何をしますか?
1.袋詰め
2.段ボールに分ける
音読した後に、なぜ2番だと思ったかの説明をしてもらいました。
あらかじめ、段ボール箱を用意してあるのでそこに入れていけと言う指示
であると解釈していたようです。なるほど、そう考えるのですね。
「ボランティアにお願いした」という前段がわかっていれば
段ボールからモノが「出ていく」イメージがわきますが、
そこを拾えていなかったために、
段ボールに「入れていく」イメージをしてしまったのかもしれません。
文章の前後の結びつけがうまくいっていないのでしょう。
ボランティアがこれからすることは、「袋詰め」です。
引き続き質問が飛んできます。
文中にも出てきた「てある」についてです。
下記4つの意味の違いはなんですか?です。
こわしてある
こわしている
こわれてある
こわれている
まず、自動詞と他動詞で分けます。
〜をこわす(壊す)=他動詞(原因となる現象)
〜がこわれる(壊れる)=自動詞(原因から起こる結果)
壊す、だから、壊れる。自/他で対になっています。
補助動詞「てある」「ている」が付くことにより、結果が起こった状態を
表しています。
こわす(自)+てある/ている →こわしてある/こわしている
こわれる(他)+てある/ている →こわれてある(?)/こわれている
「てある」には意図的な意味が含まれ、
「ている」はその場の減少を客観的に述べていると棲み分けられます。
注目なのは「こわれてある」ですが、、
自動詞が意味する第三者的な「結果」の状態を
「意図的」に継続しているという組み合わせになってしまい、
「そんな表現は存在しない」と答えなければなりません。
「こわしてある」は、
壊した状態をそのまま放置しているというイメージです。
その対になるのは「こわれている」です。
壊れた状態をそのまま描写しています。
では「こわしている」は何でしょうか?
進行形でしょうか?
壊す行為をちょうど今行っているところ、です。
ただ、壊しにくいものを、時間をかけて壊す…。
自然な表現ではありません。
そもそも「壊す」は瞬間動詞だと思われるので、
継続の表現が合いませんね。「無い表現」と教えた方が良さそうです。
こわしてある(壊した状態を意図的にそのままおいている)
こわれている(壊れたという状態が続いている)
こわしている →存在しない
こわれてある →存在しない
振り返ってやっとここまで整頓できました。
最後に「〜がたる」の意味は何ですか?と聞かれました。
思い当たるモダリティ表現(助動詞)が思い浮かびません。
物語る、ではないんですよね。なんだ?
これです、とBさんが差し出したスマホの画面には
「〜たがる」の文字が。
あ〜!それは第三者の要望を示す言葉です笑。
うーん、総じて自分の知識があまりにもついてきておらず、
情けなさがにじんでしまいます。
がんばって復習を重ねていくしかありません。
言語の世界の奥深さを痛感します。しかし、
人生をかけてゆっくり紐解く研究課題でもあり、私は楽しく感じます。
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