【エッセイ】10・2 連覇、8年越しのリベンジ
2022年10月2日、オリックス・バファローズが東北楽天ゴールデンイーグルスに勝利。優勝争いをしていた、福岡ソフトバンクホークスが千葉ロッテマリーンズに敗れたため、マジック点灯なしの逆転リーグ優勝を果たす。
チームとしては、前身のオリックス・ブルーウェーブが連覇を果たした、95年・96年以来のリーグ連覇となった。
この10月2日という日付、優勝争いをしているチームは、福岡ソフトバンクホークス。オリックス・バファローズファンにとっては、並々ならぬ思いが湧く。
2014年10月2日、対福岡ソフトバンクホークス戦。オリックスが勝てばオリックスにマジック1が点灯。ソフトバンクが勝てば、ソフトバンクが優勝という試合だった。
結果は、延長10回1対2でソフトバンクの勝ち。オリックスは目前で優勝を逃してしまう。
「8年前の雪辱を」残り試合が少なくなるにつれ、ファンの間で言われた言葉。「何としてでも、10・2までもつれ込ませたい」優勝を、連覇をとファンは願う。
4回裏、ノーアウト満塁の場面で田嶋投手から交代し、マウンドへ上がったのは、あの日松田選手にサヨナラヒットを浴びた比嘉投手。ギッテンス選手に2点タイムリーを打たれ先制されてしまう。
ダメかもしれない。果報は寝て待て、だと感じテレビを消した。
5回表、6番頓宮選手、7番紅林選手とヒットを打ち、8番代打山足選手。
#時代は山足のハッシュタグがSNS内で踊る。フォアボールを選び、満塁。
9番伏見選手がライトへのタイムリーヒットを打ち、1点差に詰める。続く1番、福田選手。レフトへの逆転タイムリーヒット。望みをつなぐ。
だが、ソフトバンクがロッテとの戦いで先制している状況。優勝するには、まだ劣勢だ。
状況が変わったのは、ロッテ対ソフトバンクの6回裏。6番、山口選手による逆転3ランホームラン。
SNSのタイムラインから伝わる熱気と試合速報。可能性は限りなく0ではない。
テレビを点け、祈るような気持ちで画面を見つめる。
9回表、チャンステーマの一つである、「讃丑歌」が流れる。この曲は、オリックスファンで知られる、ガガガSPのコザック前田氏が楽曲を手掛け、オリックス・バファローズの応援団『大阪紅牛會』へ提供を行った曲である。
↑ガガガSP 「讃丑歌」 作詞・作曲 コザック前田 · 和田益典
↑讃丑歌 –原曲version- (マルチテーマ) · 大阪紅牛會 · Bs関西外野応援団作詞班
横断幕にも使われる、ファンにとって大切な合言葉。
声は出せないけれども、球場のスピーカーから聞こえる音に合わせ手拍子を送る、現地のファン。
手を合わせ、勝利を祈る。テレビの前でこのフレーズを何度も歌う。
声が出せる時勢であれば、スタンドからの大合唱が聞こえたであろう。
伏見選手のダメ押しタイムリーヒット。ダグアウトの金網越しには、ベンチ入りが叶わなかった安達了一選手の姿。あの敗戦を経験している選手の一人だ。
「あの日の忘れ物を取りに」いつしか合言葉となっていた言葉を胸に秘めて。
9回裏、守護神平野佳寿選手が出てくると思った。しかし、出てきたのは、今シーズン中継ぎ・抑えとして頭角を現した阿部翔太選手。打者3人、13球で勝利を修める。優勝の行方はロッテ対ソフトバンクの試合結果に委ねられた。
90秒後、スタジアムのビジョンに映し出された映像でロッテの髙部選手がフライを捕球するさまを確かめる。
優勝。26年ぶりの連覇。あの日の借りを返した結果。思わず、テレビの前で大きな歓声を上げた。
昨年に引き続き、相手チームの勝負結果に左右されるという展開。ロッテと楽天に至っては、昨年も優勝を左右する存在だった。
2004年の球団再編問題により、オリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズが合併し、オリックス・バファローズが、新たに東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生した。この2球団が今のパ・リーグを面白くさせていること。なんとも感慨深い。
2014年の優勝を争ったシーズン。オリックス公式Twitterをフォローしていたにも関わらず、ろくに順位も、勝敗も気にしていなかった私。
記憶にあるのは、オリックス公式Twitterで「サトタツ――!!(注:佐藤達也投手)」と叫ぶような呟きをしていたこと。金子千尋、西勇輝、ディクソン、松葉貴大という先発投手陣で勝ち星を重ねていたことぐらい。主力の野手はT-岡田、安達、坂口、糸井、伊藤光といった選手達。おぼろげなことしか理解していない。あとになって、後悔した。こんな良い時があったのかと、恥ずかしくなった。そんな、にわかでライトな茶の間オリ姫。
ひょんなことがきっかけで、10年ほど前からオリックスというチームを追いかけるようになり、パ・リーグの順位表を下から見ていた。勝てる試合で星を落としていた頃からすれば、見違えるほど、この3年弱で強くなったチーム。個々の能力とチームの結束が合わさり、本当に魅力的なチームになったと思う。
まずは、クライマックスシリーズ突破。日本シリーズ進出へ。そして、日本一という頂に上り詰めてほしい。相手はおそらく、昨年と同じ東京ヤクルトスワローズ。オリックスとしては26年ぶりの日本一、バファローズとしては初めての日本一。何としてでも、悲願を達成してほしいと望む。
参考資料
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