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Frozen Edge 真夏の氷河期 エピローグ【完】

Ⅴ あなたといきてゆく

 令和2年の夏。日本じゅうが大寒波で荒れた。
 それは『クリサンセマム』という、世界に絶望した少女たちが借り物の力で引き起こした一大事件だった。一時的に国じゅうが機能不全に陥っていたが、中止となっていた東京五輪も秋に開催されることが決まったりと、活気が戻りつつある。
 
 けど、まだ終わりじゃなかった。
 『スノードロップ』──『氷河期』世代にのみ宿る、生命を引き換えにした周囲の冷却化能力。彼女たちが借りたこの力そのものは消失していない。彼らの世代が今際に住処を凍らせるという、当初からの問題は何も解決してはいないんだ。

 やらなきゃいけないことは、以前と変わらない。
 そのために、免許も取ってもらった。バイクは私にとって必要な足だ。
 本当は車もあればなおいいんだけど、小金井ちゃんがまだ18歳じゃないからなあ。このあたりは信頼できる仲間が増えてから、かな。
 
 今日はこの地区……あいさつできるのは時間的に4~5軒くらいかな。
 まだ個人の事業所だからやることが多くて大変だ。
 でも、いいんだ。一人だけど、独りじゃないから。
 
 一軒目のお宅に着いた。ピンポンを鳴らす。
 今日は出てくれるといいなあ……

「すみません、『エピメレイア』の小金井です」

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