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【📗006〜010】あかりびとにオススメ本10選(後半)

前半からだいぶ間が空いてしまいましたが、
やっとこさ後半をご紹介します!
今回は前半に比べると、長めの本が多いラインナップとなりました。


灯台の光はなぜ遠くまで届くのか/テレサ・レヴィット

先月、オッペンハイマーの映画を見に行きました。
原子爆弾の生みの親の、その天才すぎる頭脳と葛藤を描いた作品。
正直物理学はさっぱりで、途中何度もウトウトしてしまったのですが(3時間映画はRRRだけでよろしい)、

「光は粒子としても波としても振る舞う」
「物理学300年の歴史の成果が大量破壊兵器なのか?」


と言う2つの台詞だけは鮮明に覚えています。

フレネルレンズでお馴染みのオーギュスタン・ジャン・フレネルは、
「光の波動説」を唱えたフランスの物理学者です。
そんなフレネルの発明から始まり、
灯台の歴史を物理学と世界史の視点で辿っているのが、この本です。
300ページ近くある本ですが、日本についての記載は1Pあるかないか。
灯台史のスケールの大きさにクラクラします。

ちなみに表紙は、薄闇の中で輝く室戸岬灯台のお写真です!かっこいい!


お雇い外国人の見た近代日本/R・H・ブラントン

「ほう。君は物書きを自称していながら、一次資料も読まないのかね?随分と自分の知識に自信があるようだ」
とか嫌味を言われそうなので、皆さんご存知とは思いますが紹介しておきます笑

お気に入りのパートは「横須賀造船所」からの「天皇陛下に拝謁を賜る」かな〜。
日本人やフランス人に対してプリプリ文句を言っていたかと思えば、
天皇陛下の前では流石のブラントンもちょっと緊張しているのが伝わってくるのが、なんかいい。

後半の「日本の灯台」は、それぞれの灯台を建設した頃の様子が事細かに書かれていて、幻想夜話を書く際の参考にしています。


潮騒/三島由紀夫

爆萌え恋愛小説です。
三島由紀夫と聞いて多くの人がイメージする思想強めな要素は、一切ありません。だから安心して読んで。そこにあるのは美しき灯台の光と、ただただ可愛い男女のピュアすぎる恋愛模様です。三島由紀夫作品を読んで「え、カワイイ…」って口にするとは思わなかったな。

舞台は伊勢湾の小島・歌島。三重県の神島がモデルになっています。

以前私も灯台見学のために神島を訪れたのですが、
島のおじいちゃまに「島に嫁に来んか?」と声をかけられたのがいい思い出です笑

神島灯台へ続く二百段の石段と山道は心が挫けそうになりますが、
その分灯台に会えた喜びはひとしおですので、皆さんもぜひ訪れてみてください。

潮騒の主人公が息切れ一つしないで駆け上がって行く
灯台への道。私は途中で休憩しないと無理でした。


沈黙/遠藤周作

灯台とは無関係ですが、海の物語と言えば、
私の中で外すことのできない作品です。
高校2年生の夏に母から貰った本を、今でも大切に持っています。

たぶん、この小説に出会っていなかったら、進む大学も違っただろうし、
今のこの仕事に辿り着いた世界線はなかったと思います。

広すぎる海を前にした人間が言葉を失うように、
この作品を語る言葉を私は持っていません。

自らの信仰心と戦う宣教師も、ユダのように狡猾なキチジローも、
みんな私の分身です。

マーティン・スコセッシ監督の映画も素晴らしいです。
沈黙ほど重厚なBGMはないと思い知らされました。

『人間がこんなに哀しいのに 主よ 海があまりに碧いのです』


孤島苦の琉球史/伊波普猷

逆光に登場する水禍・コドクは「蠱毒」ではなく「孤島苦」です。

沖縄学の父と言われる伊波普猷の書物をはじめ、
沖縄が辿った歴史を可能な限り学んでいく中で、
コドクのバックボーンについて深く考えさせられました。

逆光ももうすぐ佳境。
ぜひコドクの悲しみや苦しみに、思いを馳せてください。


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