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第4回:半紙×水彩絵の具(その2)

今回は、『半紙×水彩絵の具」(その1)の時よりも技法にさらに磨きをかけて(...…と、自分で思っている)制作した作品を取り上げます。

1.両面彩色×透過光のみ撮影


 実は、(その1)で紹介させていただいたバックライト撮影では、周囲の自然光(または室内照明)はそのままで、背後から強い光を当てているだけでした。

 その後、室内の照明を落として完全に透過光だけで撮影する方法に変えました。また、(その1)では半紙の表にだけ彩色していたのを、裏表両面彩色に変えました。絵柄は、主に表面に描いています。

 この技法で撮ったのがこちらです:

無題 Untitled

 こちらが撮影の舞台裏です。洗濯物を干すのに使うピンチ付きハンガーに、彩色した半紙と光源(携帯LEDライト)を吊るしています。

 このあと廊下の照明を落とし、床に腰を下ろして下から仰ぐ形で数枚撮影した中で一番鮮明に撮れたのが、上の作品です。

2.両面彩色×透過光×偶然


 次の画像は、1と同じ方法で制作している途中で、偶然から作品になってしまった(してしまった)ものです。

無題 Untitled

 なんとなく立体的な感じになっていると思うのですが、それは半紙にあてがっていたサランラップが写り込んだためです。

 この作品では、半紙の両面に彩色している時にピンチで挟む部分を塗り残すの忘れてしまったのです。絵の具を乾かすときもピンチで吊るすので、全面が絵の具で濡れている半紙はピンチを汚してしまいます。そこで、ピンチの汚れ防止のため、ピンチと半紙の間にサランラップをかませたのです。
 
 その状態で表面に模様を描きながらバックライトで試し撮りをしていたところサランラップが写り込んでしまったのですが、意外にイケてる感じがしたので、そのままTwitterに投稿したのが、上の作品です。
 
 模様の方は、センターに赤い塊が見えているだけなので、もっともっと描きこむつもりだったと思います。偶然、途中でイイ感じになったので、そこで完成したことにしてしまった作品です。

 私は作品の出来上がり姿をあらかじめイメージすることが出来ません。仕方ないので、ともかく気の向くまま、手が動くまま描いていって、イイ感じになってきたと思ったところで、作品が完成したことにしています。この作品の場合、サランラップが写り込んだという偶然から、作品が完成したとみなすタイミングが前倒しされた格好です。

3.(半紙×水彩絵の具)+(トレーシング・ペーパー×色鉛筆)


 次は、「半紙×水彩絵の具」に含めるのは、ちょっと無理があるかもしれない作品です。実は、ここでは半紙と水彩絵の具に加えて、トレーシング・ペーパーと色鉛筆を使っています。
 半紙を透過してくる光でトレーシング・ペーパーに描いた模様を撮影したらどうなるか、実験してみたかったのです。


ちょっと変 /A bit weird


 絵柄はすべてトレーシング・ペーパーの表側に色鉛筆で描き、トレーシング・ペーパーの裏側には背景色としてクリーム色を、これもまた色鉛筆で塗りました。すると、肉眼では、この状態で完成しているように見えました。
 そこで、面倒臭い実験なんかしないでこのままいってしまおうと、スマホカメラを向けたのですが、ダメでした。
 正面からの光では表面がテカり、裏からの光では光の抜けが強すぎ、どちらも、模様がぼやけてしまうのです。

 そこで、当初の計画どおりトレーシング・ペーパーの背後に両面彩色した半紙を配置し、半紙の背後からの透過光で撮影したのが、上の作品です。光と色の具合は、この方が格段によくなりました。一応、実験は成功したものと思っています。

 スマホをオブジェにさらに寄せて撮影したのが、次の作品です。これだと少し寄せすぎかなと思っています。

 寄せ方の程度に差はあれ、上の二作品とも、相当に寄せて(アップで)撮っているのは同じです。原画は、こんな感じです。


4.工夫する楽しさ


 私は絵をきちんと学んだことがありません。ですから、筆遣いで表現できることは、ごくごく限られています。自分の中でウズウズしているもの、パチパチ弾けているもの、ヌタヌタとぐろを巻いているものを表現するためには、筆以外にも、ありとあらゆるものを動員して工夫するしかありません
 
 そうしてこの三ヶ月ほど試行錯誤してきたのですが、そのうちに作品の作り方を工夫すること自体を、とても楽しく感じるようになりました。
 今では、自分の中にあるものを表出したい気分が強まるより先に、作り方の工夫が頭に浮かんでくることがあります
  今回紹介させていただいた、半紙を透過してくる光でトレーシング・ペーパーに描いた模様を撮影する実験などは、工夫先行の典型だと思います。

 これからも、色々な技法を試すのを楽しみながら、自分の中で動き回っているものを表現していきたいと思っています。

 ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうごさいました。


『第4回:半紙×水彩絵の具(その2)』おわり






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