お隣さんシリーズ おすそ分けのジャックフルーツ(スリランカ)
住んでいるアパートの隣に気さくなおじさんが家族と一緒に住んでいた。しばしば顔を合わせ、その度に挨拶をしてくれる。
「ぼくは日本人が大好きだ。日本人の親友がいるんだ。」日本人と関わりがあるから私にも積極的に話しかけてくれるのかな。
初めて会ってから数日後、
「フルーツをあげるよ、ジャックフルーツを食べたことがあるかい」
「お菓子は食べたことはありますが、そのまま食べたことはありません。」
「田舎にも家があってそこの庭でとれたんだ。」
「すごい。おうちでフルーツが取れるんですね。」
「スリランカでは普通のことさ。」
なるほど、うらやましい。
私も庭付きの家でとれたフルーツを季節ごとに食べられたらいいのに。将来実現しようとひそかに決意した。
会話を終えると、彼は自室へ戻り、ジャックフルーツとバナナを持ってきてくれた。ものすごい量だ。これは一人暮らしでは食べきれない。とても太っ腹な人だなと思った。
そして、初めてジャックフルーツを抱えてみた。バスケットボールよりも一回りは大きいだろうか。形はボールというよりもダチョウの卵といった感じである。皮はトゲトゲしている。これが木から落ちて、人に当たったらひとたまりもないなと考えてしまった。
大きすぎるので、床に新聞を敷いて切ることにした。「切り方が分からない」と言うとお隣さんが切ってくれた。初めて近くで見て圧倒されてどう扱えばいいかわからなかったが、普通に切るだけだった。自分でもできたな。
半分に切ると、果肉が現れる。ニンニクやミカンのように果肉が細かく分かれており、それぞれはジャガイモほどの大きさだった。これをほじくりだしてさらに乗せる。手間の多さが期待感をあげる。
果肉の周りにはガムのようなものがついており、一度くっついたらなかなかしつこい。ジャックフルーツを切るときにナイフについた。いくら洗っても取れない。途方に暮れた。このガムみたいなものは何かに利用されているのだろうか。大昔なら、建築資材にはなったかもしれない。
早速、食べてみた。みずみずしくておいしい。予想に反して臭みもない。ドリアンと見た目は似ているが、食べやすさの観点からは全くの別物と言えるだろう。もっと詳細な味の感想を書きたいのだが、日本で食べることがほとんどない味だ。
果肉を乾燥させたお菓子を食べたことがあるのだが、そのまま食べた方が断然おいしい。クセもあまりなく甘くておいしいので、機会があれば、是非食べてみて欲しい。