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久しぶりに会う彼女のことを「分かっている」のは。

「マジさー、今の彼氏、私のこと分かってっからさー。」

そう語る彼女は、私の小学校からの友人。小さくて幼い顔立ちは、今や化粧をバッチリきめて大人びている。

キリッとした眉、長い睫毛、鋭いアイライン、爪をこする癖は変わらず、いや、爪先まで綺麗にネイルをしているのでそこも違うか。


さっきから話している彼氏とやらは3ヶ月前に知り合い、先月付き合ってそろそろ交際が1ヶ月経つらしい。聞く限り悪い人ではなさそうだ。容姿端麗でもあるそうで、居酒屋に着いてから頼んだポテトサラダがやってくるまで「顔がいい」という単語を5回以上言っていた。自慢の彼氏なんだろう。にこやかに話を聞く。


でも1つ、喉元に引っかかるのは「分かっている」という言葉だった。


私はやってきたポテトサラダをつまむ。彼女と会うのは4年ぶり、そりゃ、久々に会うけれど今だってそう、時が経ったとしても変わらない関係でいつものように話せる。

私はその彼女のことをどれだけ「分かっている」のかな、と考えた。考えていたらいつのまにか箸を舐っており、あ、これは行儀が悪いと急いで箸を戻し、また聞く姿勢へと戻す。

彼女はその間も話し続けていた。

昔からお喋りな人だ。


彼女は5杯ほどお酒を飲み、上機嫌。私は車で来たので、もちろんソフトドリンク。急遽泊めることになったので車に乗せ、途中ドラッグストアへ寄って、安い缶チューハイを数本買い、家まで走らせた。その間も彼女は、仕事の愚痴を挟みながら彼氏の話をしていた。


帰宅し、お風呂を沸かせ、先に入りなーと声を掛ける。彼女がお風呂に入っている間は缶チューハイを開け、あ、先に飲んでもいいのかなと思いつつ、いや、もうあっちは飲んでいるんだよなと言い聞かせグィッと飲んだ。

居酒屋でしこたま食べたけれど軽くつまみでも作るか、と台所に立つ。それが出来上がる頃を見計らっていたかのように彼女は戻ってきた。


久々に彼女のすっぴんを見たのだが、随分スッキリとしていた。爪も付け爪だった。それだけ普段身嗜みを整えているのだから尊敬に値するし、付け爪煎じて飲もうかなとすら思える。


台所にやってきた彼女はだし巻き卵をつまみ食い。「せっかくお風呂入った後なんだからフォークなりお箸なり使えばいいものを…」というと「へへへ」と笑う。

あ、その笑った顔、昔から変わんないね。


ほんの数時間で、彼女の身の回りのことは十分理解した。ポテトサラダをつまみながら考えていたことがどうでもよくなる程に。お喋りな彼女だから、彼氏が「分かっている」っていうのも、何だか分かっちゃうかも、なんて。


でもね、やっぱり昔から変わらないところを見て「分かる」っていうのもいいもんだよ。

長い付き合いですもの、そこだけは。

ま、幸せになりなね。

集まり次第、こちらのnoteにてどんな事に使ったのか報告をさせて頂きます。サポートの調理はお任せあれ!