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びっくりのインド ● 43 ● 帰国前日

私はこれまで計 30 回引越したけれど、どんなに前から計画して行動を開始しても最後はどうしても やっつけ になる。
あれしてない、これもしてない、あれ荷造りしてない、これもまだ、面倒だからあとは全部捨てよう... になって、最後は徹夜だ。
海を越えて引越しするときは、暫く暮らした場所を去ることに対して感傷的になる余裕がなく、とりあえず飛行機に乗ってしまえば、やり残したことや忘れたことがあっても後戻りできないから、毎回 「あー、早く空港へ行ってチェックインを済ませてからビールかワインを一杯飲んでホッとしたい」 と思う。

ところが今回は、行きと帰りの荷物がほぼ同じで、お土産も買わず、日本から持ってきたシャンプーや石鹸などを使いきったから荷物が軽くなって、インドで買ったカシミアのセーターを入れたらパッキングが終わった。

日本のような送別会もなかった。
しかし 1 つ、オフィスの慣例になっていることがあって、それは...

日本に帰国する人にインドの服をプレゼントする

そして、その服を着てハイヤーで空港へ行くことだ。

私の前任のチヨコ先生もインドの服を着て出発した。
彼女はモデルの仕事もしているだけあって長身、インドの服も見事に着こなしていたが、私はインドの服が似合わないだろうから困ったものだと思った。

チヨコ先生はこんな感じの服で出発。
色はピンク。
引用:Shopclues

スタッフの一人が洋服屋さんに連れていってくれて 「惠白さんはこの服が似合うと思います!」 と太鼓判を押してくれたのは 金色の服 だった。

私のはこんな感じの服。
金の服を着るのは人生で多分最初で最後。
引用:NIHAL FASHIONS の web サイト

この服を着て、巨大なスーツケースを2つコロコロするのは大変そうだ。
慣れてないから車の乗り降りも苦労しそう。
日本なら 「是非この服を着て旅立ってください」 なんてことはないだろうが、ここは インド、びっくりの国! ゴールドの服で出発 Why not? だ。
せめてもの救いは、インドで買ったスーツケースの色が、この服の色に合いそうなことか。

インドで買ったもの 3 つのうちの 1 つ。
サムソナイトのスーツケース。

出発の準備を済ませ、毎夜のルーティーンになっていた 屋上を散歩 をして、空の星を眺めながらヤシの木が風で揺れるときのバサバサという音を聞きつつ、バンガロールの風を深く吸った。
それから、いつものように蚊取り線香をたいて窓の外に置いて寝た。

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