その目的は「組織のために働く」に変わりやすい:労働組合のその先

アマゾン。巨大な組織。その中で格差が広がっています。組織の利益をどのように分配するのか。「データエンジニア」「倉庫関連従事者」との間には、何倍にもなる格差があると記事に書いてありました。

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倉庫関連従事者たちが労働組合を結成しようとしている。そこかしこに小さな労働組合ができ、やがて連携->連合していく事だろう。そして、組合活動専任の組織要員が生まれる。

専任者の活動目的が「組合員すべての利益のために」となっていく。全体として「データエンジニア」と「倉庫関連従事者」の格差は数字としては縮まるのだが、それは「薄く広く」となっていく。

「組合員の平等」を重んじれば、薄利分配となる。同時にアマゾンの従業者でない専任者の報酬も用意しなければならない。労働組合が組合員以外からの圧力などで崩壊しないように、自主自立のために組合員から「組合費」を徴収することになる。

そして、経営者に対してより強いプレッシャーや調査能力を発揮してもらうために、政治家へのアプローチも必要となる。票に繋がる組合員数を引っ提げて、政治家への資金協力も戦術とし加わっていく。

やげて、労働組合の目的が変わっていく。組織のために働くようになる。倉庫関連従事者が立ち上げた「声なき声」を拾い集めて鋭く要求する目的から、徐々に距離ができてくる。その隙間に、組合離脱の風が吹く。

風化する労働組合。構成員は減っていき、その力は衰退する。政治家も票に繋がりにくい組織として付き合い方が変わってくる。「声なき声」は、さらに小さくなり、世間の雑音の中で、聞き取れなくなっていく。

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上記は、妄想です。ですが、若干、経験したことも含まれています。あの時、「あれ? なんか、ちがう・・・」と思ったことを書きました。

アマゾンの倉庫関連従事者たちの声。どこかで、変質して妙な翻訳で政治家に届き、政治家の演説からは「現場で働く人たちの思い」として伝わらない。

本当の窮状を知るすべは、SNSなのかもしれません。SNSから経営者へ直接訴える手法の方が、"毒々しい" ですが、効果はあるのだと思うのです。ですが、その毒で自身が死んでしまうかもしれません。

あるべき姿は、「現場の窮状をきちんと把握し消化し、労使ともに元気になる方向へ力強く歩む」ということ。つまり、"誠実な経営" に尽きるのだろうと思うのです。これがなければ、窮状は束となり人格を持ち、本当の解決とは別の道へ力強く歩んでしまう。

労使ともに誠実であろうとすること。それが "誠実な資本主義" を醸し出すのだと思っています。

#日経COMEMO #NIKKEI

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